高校生から味わう理論物理入門まとめ

「高校生から味わう理論物理入門」記事のまとめページです。

はじめに

物理の教科書は,わかりやすさや実用性を重視してかかれていることが多いです。ただそのことを押し出そうとするあまり,何を世界のことわりとして受け入れて,そこから何が導出されるのか,という理論物理の楽しさが失われているように感じます。物理を勉強される方々には,この点を曖昧にしないで欲しいと思います。

できるだけ少なくて簡潔な原理だけを認め,そこから全てが導ける!ということこそが理論物理の最大の美しさであると私は考えています。もちろん,全ての物理学の分野においてそのような理解ができるとは限りません。しかし,力学や電磁気学,相対性理論などのすでに確立された分野においては,ちゃんと勉強すれば,感動ポイントがたくさん広がっていることに気づくと思います。このサイトを,そのような感動を分かち合える場にしたい,というのが私の1つの大きな目標です。(力学運動方程式〜ニュートンの第2法則〜より抜粋)

力学

「力学」分野に関する記事のまとめです。順次追加予定です。

力学とは,身近にある物体の運動を,ニュートンの三法則を原理として据えて議論する学問です。力学は物理学の全ての分野の基礎とも言える,物理における最も基本的な領域であり,物理を履修している高校生にとっても,力学は避けて通れない分野です。運動方程式だのエネルギーだの,覚えることも多いし問題のパターンも多すぎてカバーしきれないよ,と嘆く学生の方もおられると思います。

高校の物理の教科書や参考書は,高校数学を超える範囲の数学が理解できていなくても物理の法則が理解できるように,天下り的に公式を与えることが多いと思います。ただ,それゆえに,意欲を持って「なぜこうなるのか」を理解しながら勉強をしようと思っている学生にとっては,天下りに知識を与えることこそが学習の妨げになってしまっていると強く感じます。初学者の中には,力学は複雑で難しいものだと,誤認している方も少なくありません。

しかし力学は,「ニュートンの三法則」を軸として認め,そこから数多の法則を導出する,というスタイルをとって確立された学問であり,その導出に少々高校の範囲を超えた数学が必要になる,というだけの話なのです。理論が複雑な構造をしているというわけでは決してありません。また,数学についても,高校の範囲を大きく超えているとは思いません。数式にも意味があります。イメージを沸かせることができます。つまり,数式は「読む」ことができます。意味を考えて読み進めていけば,理解できるはずです。

もちろん,この数学の部分をカバーしながら物理を勉強するルートは,公式暗記で押し切るルートよりも大変です。また,基礎は簡単という意味ではありませんから,時には物理に関係ない数学の部分で詰まってしまうこともあるかもしれません。ただ,このルートで一通り力学の勉強を済ませると,力学の景色がずいぶん変わって見えることでしょう。一つ高い視点から力学の構造を見渡すことができるようになり,様々な切り口から現象を議論できるようになるはずです。そして,何より,「なぜ」を一つずつ解決しながら物理を勉強することは,楽しいと思いませんか?数学を用いてとても綺麗に整頓された理論をぜひ味わってほしいと思います。

このサイトはそのような意欲ある高校生,そして大学生の勉強の一助になれるよう望まれて作られています。できるだけ簡潔でスムーズに読者が理解できるような文章をこころがけています。また,数学についても,高校範囲を超えるものはできるだけカバーしています。

また,順番にこだわりをもって並べています。上から順番に読むと,論理の飛躍なく理論的な力学を学習できることを目指して記事を作成しています。

電磁気学

熱力学

波動

「波動」分野に関する記事のまとめです。順次追加予定です。

日常には波動現象が溢れています。光の反射や屈折、ドップラー効果など、一度は耳にしたことがあるでしょう。

高校物理ではこうした波を数式で書き表すことにより、詳細に波の実体を掴みに行きます。最も基本的な波である正弦波の取り扱いを学ぶことで、波の重ね合わせによって多くの日常的な波動現象がうまく説明されるという神秘に触れることになるでしょう。

原子

量子論・量子力学

相対性理論

今日において相対性理論の参考書というのはわんさか出ています。ただ,この資料が他と差別化を図っている点は, 何が「定義」か,何が「原理」「仮定」か,何が「定理」かを明らかに示そうとする点です。 物理とは,過去の数多の天才物理学者の様々な思考の末,「このように物理量を定義すれば物事がうまく記述できるんじゃないか, そしてそうすればこの法則からこの法則が導けるんじゃないか?」という知恵の賜物です。 ただ,その思考の歴史を丁寧になぞろうとするあまり,定義,原理(仮定),定理がどれなのか曖昧になってしまっています。 何を世界のルール(原理,数学における公理などに対応する)として仮定し,何を物理量(定義,何を観察の対象とするか)とすれば, こんな法則(定理,原理や定義から導かれる結果のこと)を導くことができる,というこの流れをつかみづらくなってしまっているのです。 この点を意識して,原理,定義,定理を明確に区別できるように整理して記述しています。 また,この流れをしっかりと理解できるように,論理的な飛躍はできるだけ避けるようにしました。とにかく「ごまかさないこと」をひたすらに意識し,体系的で,ある意味数学の参考書のような相対論の解説を目指しました。 誰でもわかるように説明することよりも,「ちゃんと」理解したいと思う人に向けたサイトになっていると思います。

読者として想定するのは,相対性理論に興味がある非物理学科の人です(私も非物理学科出身です)。 この資料を読む人に前提知識は仮定しません。高校理系を卒業したレベルの人であれば,根気よく続ければ読み進められるように努力して書いています。

特殊相対性理論

相対論ではテンソルと呼ばれる新たな道具が登場します。テンソルは一言で言うと座標変換 に関係する話に強い道具です。 特殊相対性理論ではテンソルをあまり使わなくても議論することができてしまいますが,一般相対性理論までちゃんと理解しようとすると絶対に必要な知識です。

テンソルについて解説した後,特殊相対性理論の本題に入っていきます。

一般相対性理論

特殊相対性理論の章で不思議な四次元空間の議論を味わっていただいたところで,ここからはより発展的な議論を進めます。 一般相対性理論で私が特に味わっていただきたい点をいくつか挙げます。

  • どんな慣性系でみても,物理の法則の形は不変である!
  • 時空間は重力によって伸び縮みする?
  • 相対論はちゃんと古典力学を再現できる
  • ブラックホールとは?
  • アインシュタインの予言「重力は波かもしれない」
  • 宇宙は膨張している?

上記のような話をよく聞くと思いますが,これらが全て数式の上で理解できます。アインシュタインがいくら天才だといっても, もう100年も前の話です。そろそろ,一般人がアインシュタインと同じ感動を味わえてもおかしくないでしょう。

物理数学

「物理数学」分野に関する記事のまとめです。順次追加予定です。

物理を記述する言葉としては,数学が採用されています。数式で法則を記述している以上,数学の勉強は避けては通れません。

このサイトでは,理論を簡潔に議論するために,高校数学の範囲を超えた数学が用いられることもあります。ぜひ以下の記事を合わせて参考にしてくだい。

参考文献

こちらのページで参考文献を挙げさせていただいています。

→参考文献