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ケプラーの法則を導出する

更新日時 2021/05/06
ケプラーの三法則

第一法則:

「惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道上を運動する」

第二法則:

「惑星の軌道運動の面積速度は常に一定である」

第三法則:

「惑星の公転周期の2乗は楕円の長径の3乗に比例する」

ティコ・ブラーエの観測データをもとに,ケプラーは惑星の運動に対し,三つの法則を見出しました。これらの法則は,力学理論を作る上で重要な働きをしました。

ケプラーの法則は,ニュートン力学によって導出することが可能です。この記事では,その導出について詳しく解説します。

目次
  • ケプラーの第一法則(惑星の軌道は楕円軌道)の導出

  • ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)の導出

  • ケプラーの第三法則(公転周期と長径の関係)の導出

  • まとめ

ケプラーの第一法則(惑星の軌道は楕円軌道)の導出

第一法則については,別の記事ですでに証明が済んでいます→地球の公転軌道が楕円であることの導出。計算は少し大変ですが,ぜひ面倒くさがらず人生で一度は自分で計算してみると良いでしょう。ニュートン力学の原理の正しさを実感するための一つの重要な練習です。

この別記事での最後の楕円を表す式: r=1p=mC2K1+mC2AKcosθ r = \dfrac{1}{p} = \dfrac{\dfrac{mC^2}{K}}{1 + \dfrac{mC^2A}{K}\cos \theta} について,λ=mC2K,ε=mC2AK\lambda = \dfrac{mC^2}{K}, \varepsilon = \dfrac{mC^2A}{K} とおいて r=1p=λ1+εcosθ r = \dfrac{1}{p} = \dfrac{\lambda}{1 + \varepsilon\cos \theta} として書き直します。以降はこの式で議論します。

ケプラーの第二法則(面積速度一定の法則)の導出

太陽 SS,もう一方の焦点 FF,楕円の中心が xx 軸に乗っており,中心が原点 OO と重なるように,xyxy 平面をとりなおします。楕円曲線と xx 軸との交点のうち,SS に近い方を QQ,遠い方を RR とします。また,楕円曲線と yy 軸との交点の一方を NN と定義します。

ケプラーの第二法則

PPが楕円曲線上を動く時,PSQ=θ\angle PSQ = \theta とおけば,惑星と太陽で成される線分の掃く面積は ΔS=12r2Δθ \Delta S = \dfrac{1}{2}r^2 \Delta \theta よって, dSdt=12r2θ˙=12h=const.\begin{aligned} \therefore \dfrac{d{S}}{d{t}} = \dfrac{1}{2}r^2 \dot{\theta} = \dfrac{1}{2}h = \mathrm{const.} \end{aligned} ただし,二次元極座標における運動方程式で Fθ=0F_\theta = 0 としているため,r2θ˙r^2\dot{\theta} は定数でおけることに注意してください。

これはケプラーの第2法則「惑星の軌道運動の面積速度は常に一定である」に合致しています。この法則は「面積速度一定の法則」とも呼ばれます。

ケプラーの第三法則(公転周期と長径の関係)の導出

前節でつかった楕円を再掲します:

ケプラーの第三法則

楕円曲線上の点 P(x,y)P(x,y) をとります。このとき SQ=λ1+εSR=λ1ε\begin{aligned} \overline{SQ} &= \dfrac{\lambda}{1+\varepsilon} \\ \overline{SR} &= \dfrac{\lambda}{1-\varepsilon} \end{aligned} より, OQ=OR=12QR=12(SQ+SR)=λ1ε2 \overline{OQ} = \overline{OR} = \dfrac{1}{2}\overline{QR} = \dfrac{1}{2}(\overline{SQ} + \overline{SR}) = \dfrac{\lambda}{1-\varepsilon^2} また, 2NS=FQ+SQ=SQ+SR=2λ1ε2OS=OQSQ=λ1ε2λ1+ε=λε1ε2\begin{aligned} 2 \overline{NS} &= \overline{FQ} + \overline{SQ} = \overline{SQ} + \overline{SR} = \dfrac{2\lambda}{1-\varepsilon^2}\\ \overline{OS} &= \overline{OQ} - \overline{SQ} = \dfrac{\lambda}{1-\varepsilon^2} - \dfrac{\lambda}{1 + \varepsilon} = \dfrac{\lambda\varepsilon}{1 - \varepsilon^2}\\ \end{aligned} これより, ON=NS2OS2=λ1ε2 \overline{ON} = \sqrt{\overline{NS}^2 - \overline{OS}^2} = \dfrac{\lambda}{\sqrt{1-\varepsilon^2}}

これらを用いて楕円の面積と公転周期を求めていきます。

楕円の面積は S=π(λ1ε2)(λ1ε2)=πλ2(1ε2)3/2 S = \pi \left(\dfrac{\lambda}{1-\varepsilon^2}\right)\left(\dfrac{\lambda}{\sqrt{1-\varepsilon^2}}\right) = \dfrac{\pi\lambda^2}{(1-\varepsilon^2)^{3/2}}

また,公転周期は T=SdSdt=Sh/2=2πλ2h(1ε2)3/2T2=(2πλ2h)21(1ε2)3=4π2λh2OQ3 T = \dfrac{S}{\dfrac{d{S}}{d{t}}} = \dfrac{S}{h/2} = \dfrac{2\pi\lambda^2}{h(1-\varepsilon^2)^{3/2}} \\ \therefore T^2 = \left(\dfrac{2\pi\lambda^2}{h}\right)^2 \dfrac{1}{(1-\varepsilon^2)^3} = \dfrac{4\pi^2\lambda}{h^2}\overline{OQ}^3

これはケプラーの第3法則「惑星の公転周期の2乗は楕円の長径の3乗に比例する」に合致しています。これら3つの法則を合わせてKeplerの法則と呼びます。

まとめ

これらの議論によって,「太陽を不動の質点,惑星を動く質点とみなせて,両者の間には万有引力のみが働く」と仮定すれば,Keplerの法則が導かれることを示せました。ニュートン力学の偉大さの再確認ができましたね。

ニュートン力学のなかった時代の人々は,なぜ2乗と3乗のペアなんだろうと,いろいろ思いを巡らせたことでしょう。

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