高校数学の美しい物語

更新日時 2023/11/04

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半正多面体と準正多面体

  • 準正多面体(quasi-regular polyhedron)とは,「正多角形のみからなる」「すべての頂点まわりが合同な」「すべての辺まわりが合同な」「凸な」多面体です。ただし,正多面体は除きます。準正多面体は,後述の立方八面体と二十・十二面体の2種類のみです。

  • 半正多面体(semi-regular polyhedron, アルキメデスの立体)とは,「正多角形のみからなる」「すべての頂点まわりが合同な」「凸な」多面体です。ただし,正多面体と対称性が低い特殊な立体(角柱・反角柱・ミラーの立体)は除きます。半正多面体は13種類あります。

→ 半正多面体と準正多面体

tan を用いた図形の問題~防衛医科2024から

問題(防衛医科2024)

ABC\triangle \mathrm{ABC} があり A=518π\angle \mathrm{A} = \dfrac{5}{18} \piB=59π\angle \mathrm{B} = \dfrac{5}{9}\piC=π6\angle \mathrm{C} = \dfrac{\pi}{6} である。辺 BC\mathrm{BC} 上に BAD=π6\angle \mathrm{BAD} = \dfrac{\pi}{6} を取り B\mathrm{B} から辺 AC\mathrm{AC} に下した垂線との交点を H\mathrm{H} とし BH\mathrm{BH}AD\mathrm{AD} の交点を E\mathrm{E} とする。

  1. tan518πtan718πtanπ3tan49π\dfrac{\tan \dfrac{5}{18} \pi \tan \dfrac{7}{18} \pi}{\tan \dfrac{\pi}{3} \tan \dfrac{4}{9} \pi} を求めよ。
  2. CEH\angle \mathrm{CEH} を求めよ。

tan\tan を用いて計算する方法と初等的な方法を紹介します。

→ tan を用いた図形の問題~防衛医科2024から

陰関数定理

陰関数定理(2次元版)
  • ff を二変数の連続で微分可能な関数とする。

  • (p,q)(p,q) を,f(p,q)=0,fy(p,q)0f(p , q) = 0,\dfrac{\partial f}{\partial y} (p , q) \neq 0 を満たす点とする。

このとき,(p,q)(p , q) の近傍で定義される g(x)g(x) という関数があって f(x,g(x))=0f(x , g(x)) = 0 となる。つまり f(x,y)=0f(x,y) = 0 という形の(性質のよい)関数は局所的に y=g(x)y = g(x) と表せる

さらに g(x)g(x) の微分係数は dgdx=fxfy\dfrac{dg}{dx} = -\dfrac{f_x}{f_y} となる。

陰関数定理とは,(性質のよい)陰関数は,局所的には,ある微分可能な関数 g(x)g(x) を用いて y=g(x)y=g(x) と表せるという定理です。

→ 陰関数定理

正多角形の対角線の長さの偶数乗和と積

定理

nn 角形 A1A2AnA_1A_2\dots A_n が半径 11 の円に内接しているとき,以下の1~4が成立する。

  1. k=2n(A1Ak)2=2n\displaystyle\sum_{k=2}^n(A_1A_k)^2=2n
  2. k=2n(A1Ak)=n\displaystyle\prod_{k=2}^n(A_1A_k)=n
  3. k=2n(A1Ak)2m=n×2mCm(n>m>0)\displaystyle\sum_{k=2}^n(A_1A_k)^{2m}=n\times{}_{2m}\mathrm{C}_m\:(n>m>0)
  4. k=2n1(A1Ak)2=n2112\displaystyle\sum_{k=2}^n\dfrac{1}{(A_1A_k)^2}=\dfrac{n^2-1}{12}

3 で m=1m=1 とすると1になります。

正方形の例で式の意味を確認したあと,1~4を証明していきます。

→ 正多角形の対角線の長さの偶数乗和と積

デカルトの円定理と2通りの証明

デカルトの円定理(Descartes' Circle Theorem)

半径が r1,r2,r3,r4r_1,r_2,r_3,r_4 である4つの円が互いに外接するとき, (1r1+1r2+1r3+1r4)2=2(1r12+1r22+1r32+1r42)\left(\dfrac{1}{r_1}+\dfrac{1}{r_2}+\dfrac{1}{r_3}+\dfrac{1}{r_4}\right)^2=2\left(\dfrac{1}{r_1^2}+\dfrac{1}{r_2^2}+\dfrac{1}{r_3^2}+\dfrac{1}{r_4^2}\right) デカルトの円定理

とてもおもしろい等式です。応用と2通りの証明を紹介します。

→ デカルトの円定理と2通りの証明

複素関数論(複素解析)まとめ

複素関数論(複素解析)は,複素数上で定義された関数の微積分などを扱う分野です。

  • 複素関数の微積分の基本
  • 美しい複素積分の理論(コーシーの積分定理・ローラン展開・留数定理)
  • 楽しい応用(実積分の計算・代数学の基本定理の証明・三角関数の等式証明)

などを,勉強しやすい順番で紹介していきます。

→ 複素関数論(複素解析)まとめ

行列木定理とCayleyの定理

行列木定理(Matrix-Tree Theorem)

無向グラフ GG に対して,GG の全域木の個数は,GG のラプラシアン行列の任意の余因子と等しい。

行列木定理の意味と証明,そして応用例として Cayley の定理の証明を紹介します。

→ 行列木定理とCayleyの定理

調和数列

逆数が等差数列である数列を調和数列と言う。例えば, 13,15,17,19,...\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{5},\dfrac{1}{7},\dfrac{1}{9},... は逆数が 3,5,7,9,...3,5,7,9,... となり等差数列なので,調和数列。

→ 調和数列

重複順列の意味と例題

重複順列の公式

異なる nn 種類のものから、重複を許して rr 個取り出して並べる順列の個数は nrn^r

「重複を許して」というのは「同じものを何度選んでもよい」という意味です。

→ 重複順列の意味と例題

ブロカール点の意味とブロカール角の性質

ブロカール点(Brocard Point)

任意の三角形 ABCABC に対して, PAB=PBC=PCA\angle PAB=\angle PBC=\angle PCA を満たす点 PP が(三角形 ABCABC の内部に)ただ1つ存在する。点 PP を三角形 ABCABCブロカール点と呼ぶ。

ブロカール点

三角形のブロカール点について,意味・存在することの証明・ブロカール角の性質・第1・第2ブロカール点の関係を紹介します。

→ ブロカール点の意味とブロカール角の性質

位相空間論への第一歩~開集合・閉集合について

開集合の公理

集合 SS の部分集合族 O\mathfrak{O} が開集合系を成すとは,次の3条件を満たすことである、

  1. ,SO\emptyset , S \in \mathfrak{O}
  2. O1,O2OO_1 , O_2 \in \mathfrak{O} のとき O1O2OO_1 \cap O_2 \in \mathfrak{O}
  3. OλOO_{\lambda} \in \mathfrak{O} のとき λΛOλO\displaystyle \bigcup_{\lambda \in \Lambda} O_{\lambda} \in \mathfrak{O}(このとき Λ\Lambda は無限集合でもよい)

このとき SS に位相構造が入る といい,(S,O)(S, \mathfrak{O}) のペアを 位相空間 という。

また,O\mathfrak{O} の元を 開集合 という。開集合の補集合となる部分集合を 閉集合 という。

この記事では位相空間論(トポロジー)の基礎として一般化された開集合・閉集合について説明します。

→ 位相空間論への第一歩~開集合・閉集合について

群の剰余類とラグランジュの定理

定理

HHGG の部分群とする。このとき G=(G:H)H|G| = (G:H) |H| である。

※ 位数が無限でも成立する。

群論における以下の用語を,例を使いながらわかりやすく説明します。

  • 剰余類(右剰余類・左剰余類)
  • 剰余集合(右剰余集合・左剰余集合)
  • 部分群の指数
  • ラグランジュの定理

→ 群の剰余類とラグランジュの定理

ワイブル分布

ワイブル分布(基本形)

確率密度関数が f(t)=mtm1exp(tm)(t0)f(t)=mt^{m-1}\exp(-t^m)\:(t\geqq 0) である確率分布をワイブル分布と言う。

ワイブル分布を紹介します。製品の故障・寿命を表すのによく使われる分布です。累積分布関数・信頼度・故障率・MTTFについても説明します。

→ ワイブル分布

ヘルマート変換の意味・アフィン変換との関係

定義(ヘルマート変換)

X=axby+cY=bx+ay+d\begin{aligned}X&=ax-by+c\\ Y&=bx+ay+d\end{aligned}

という式で (x,y)(x,y)(X,Y)(X,Y) にうつすような変換をヘルマート変換と言う。

ヘルマート変換は,測量などに用いられる変換です。

→ ヘルマート変換の意味・アフィン変換との関係

ゼータ関数のオイラー積

ゼータ関数のオイラー積表示

ζ(s)=n=11ns=p111ps \zeta (s) = \sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{1}{n^s} = \prod_{p} \dfrac{1}{1-\frac{1}{p^s}}

→ ゼータ関数のオイラー積

コーシー列

定義(コーシー列)

数列 {an}\{ a_n \}コーシー列であるとは, limn,manam=0 \lim_{n,m \to \infty} |a_n - a_m| = 0 であることを表す。

イプシロンデルタ論法の表現できちんと述べると,

任意の正の実数 ε\varepsilon に対し,ある正の整数 NN があって,NN より大きい任意の整数 n,mn,m に対して anam<ε | a_n - a_m | < \varepsilon となることを表す。

この記事では,コーシー列の意味と性質について解説します。

→ コーシー列

行列のスペクトル分解

スペクトル分解(射影行列による表現)

任意の正規行列 AA は以下のように分解できる。 A=i=1NλiPλiA=\displaystyle\sum_{i=1}^N\lambda_iP_{\lambda_i} ただし,λ1,...,λN\lambda_1,...,\lambda_NAA の相異なる固有値すべてで,PλiP_{\lambda_i} は固有値 λi\lambda_i の固有空間への射影行列。

行列のスペクトル分解について,意味・例・性質をわかりやすく説明します。

→ 行列のスペクトル分解

余因子と余因子行列

余因子

正方行列に対して

ii 行目と jj 列目を除いた行列」の行列式(1)i+j(-1)^{i+j} をかけたもの

(i,j)(i,j) 余因子と言う。

線形代数の基礎である余因子余因子行列についてわかりやすく説明します。

→ 余因子と余因子行列

ピックの定理

ピックの定理(Pick's theorem)

頂点がすべて格子点上にある多角形の面積は

内側の格子点数+辺上の格子点数÷21÷2-1

ピックの定理の例

ピックの定理は,多角形の面積と格子点の数の間の関係を示す定理です。ピックの定理の意味・例・証明を紹介します。

→ ピックの定理

ディオファントス近似にまつわる入試問題

実数 rr に対して, rpq<1q2\left|r-\dfrac{p}{q}\right|<\dfrac{1}{q^2} を満たす整数 p,qp,q を探すという問題を ディオファントス近似 といいます。

この記事ではディオファントス近似にまつわる入試問題をまとめました。

是非チャレンジしてみてください。

→ ディオファントス近似にまつわる入試問題

東大数学の過去問まとめ

この記事では,東京大学の数学の過去問をまとめています。

※記事内の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

→東大数学の過去問まとめ