高校数学の美しい物語

更新日時 2023/02/28

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京大2023大問6とチェビシェフ多項式

京都大学理系数学 2023 大問6

pp33 以上の素数,θ\theta を実数とする。

  1. cos3θ\cos 3\thetacos4θ\cos 4 \thetacosθ\cos \theta の式として表せ。
  2. cosθ=1p\cos \theta = \dfrac{1}{p} のとき,θ=mnπ\theta = \dfrac{m}{n} \cdot \pi となるような正の整数 m,nm,n が存在するか否かを理由を付けて説明せよ。

京大入試の問題を解説します。背景となる「チェビシェフ多項式」を知っているとかなり有利な問題です。

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sin の無限乗積展開とワイエルシュトラスの因数分解定理

無限乗積(無限積)とは,無限級数の「積」版です。

三角関数の無限乗積展開

sinπz=πzn=1(1z2n2) \sin \pi z = \pi z \prod_{n=1}^{\infty} \left( 1- \dfrac{z^2}{n^2} \right)

無限積のアイデアを用いると,一般的な関数を「因数分解」できるようになります。

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リュカ数の意味とおもしろい性質

リュカ数(Lucas Number)

L0=2,L1=1,Ln=Ln1+Ln2(n2)L_0=2,L_1=1,\\L_n=L_{n-1}+L_{n-2}\:(n\geq 2)

で定まる数列 {Ln}\{L_n\} に現れる数をリュカ数と呼ぶ。

リュカ数について,3つの話題を紹介します。「一般項」と「フィボナッチ数との加法定理」は大学入試レベルです。最後の「三角関数表示」では複素三角関数が登場します。

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ニコメデスのコンコイド

ニコメデスのコンコイド

ニコメデスのコンコイドとは (xb)2(x2+y2)=a2x2 (x-b)^2 (x^2+y^2) = a^2 x^2 で表される曲線である。

特殊曲線の1つ ニコメデスのコンコイド を紹介します。

→ニコメデスのコンコイド

有名不等式 e^π > π^e の証明

問題

eπ>πee^{\pi} > \pi^e を証明せよ。

この記事では有名な不等式 eπ>πee^{\pi} > \pi^e の証明を紹介します。

→有名不等式 e^π > π^e の証明

円周率が無理数であることの証明

定理

円周率 π\pi は無理数である。

この記事では,円周率が無理数である非常に美しい証明を紹介します。

必要な知識は高校レベルの微積分だけです。少々トリッキーで難しいですが,ぜひ議論を追ってみてください。

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ベルヌーイ数とゼータ関数

ベルヌーイ数の定義

ベルヌーイ数 BnB_n xex1=n=0Bnn!xn \dfrac{x}{e^x-1} = \sum_{n=0}^{\infty} \dfrac{B_n}{n!} x^n と定める。

ベルヌーイ数は数学において非常に重要な数です。特に nn 乗の和(べき乗の和)の公式・ゼータ関数と深い関係があります。

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コーシーの積分公式とその応用~グルサの定理・モレラの定理

コーシーの積分公式(コーシーの積分表示)
  • DD を単純閉曲線(自分と交わらない閉じた曲線)で囲まれた領域とする。
  • ff を領域 D=DD\overline{D} = D \cup \partial D で正則な関数とする。

このとき DD の内部の任意の点 zz f(z)=12πiDf(ζ)ζzdζ f(z) = \dfrac{1}{2\pi i} \oint_{\partial D} \dfrac{f(\zeta)}{\zeta - z} d\zeta となる(線積分の向きは反時計回り,より厳密には領域の内側から見て左周りに定める)。

コーシーの積分公式は正則関数を積分によって表現する公式です。この記事ではコーシーの積分公式と,積分公式から得られる重要な定理を,具体例・証明とともに紹介していきます。

積分と極限(無限和)の交換

積分と極限の交換

ablimnfn(x)dx=limnabfn(x)dx\displaystyle \int_a^b \lim_{n\to\infty} f_n(x) dx = \lim_{n\to\infty} \int_a^b f_n(x) dx

という式について,

  1. fn(x)f_n(x) が一様収束するなら成立する(十分条件)
  2. ただし,一般には成立しない
  3. 一様収束しなくても成立することがある(単調収束・一様有界など他の十分条件がある)

→積分と極限(無限和)の交換

ロドリゲスの回転公式(3次元の回転行列)

ロドリゲスの回転公式(ベクトル)

三次元空間において,nundefined\overrightarrow{n} を軸として,rundefined\overrightarrow{r}θ\theta 回転させた点 rundefined\overrightarrow{r'} は,

rundefined=(cosθ)rundefined+(1cosθ)(rundefinednundefined)nundefined+(sinθ)(nundefined×rundefined)\overrightarrow{r'}=(\cos\theta)\overrightarrow{r}+(1-\cos\theta)(\overrightarrow{r}\cdot\overrightarrow{n})\overrightarrow{n}+(\sin\theta)(\overrightarrow{n}\times\overrightarrow{r})

三次元空間での回転に関するロドリゲスの回転公式を紹介します。

まずはベクトル版を紹介し,後半では行列版(三次元空間における回転行列)を紹介します。

→ロドリゲスの回転公式(3次元の回転行列)

微分方程式の解法(同次形・線形微分方程式)

微分方程式といえば,偏微分方程式・常微分方程式,さらにはRicatti形やBernoulli形など様々な種類があります。この記事では,常微分方程式のなかでも,同次型の解法と定数係数の線形微分方程式の微分方程式の解法を紹介します。

→微分方程式の解法(同次形・線形微分方程式)

ナッシュ均衡

どのプレイヤーも「戦略を変更しないでいることが最も合理的である」ような均衡状態をナッシュ均衡(Nash equilibrium)という。

ナッシュ均衡とは,ゲーム理論における概念です。その定義と具体例,パレート効率性との関係,ナッシュ均衡の存在に関するナッシュの定理を紹介します。

→ナッシュ均衡

チューリングマシンの定義とそれに関連する話

チューリングマシンとは

チューリングマシンとは,次の6つの要素の組として定義される,ある規則にしたがって自動で計算を進める数学的なモデルのこと: (Q,Σ,δ,q0,qacc,qrej) (Q, \Sigma, \delta, q_0, q_{\mathrm{acc}}, q_{\mathrm{rej}})

イギリスの数学者アラン・マシスン・チューリング(Alan Mathison Turing)が定式化したチューリングマシン(チューリング機械)について解説します。「計算」とは何であるか,を定義するモデルとして使われており,計算機科学における最も重要な概念の1つです。

→チューリングマシンの定義とそれに関連する話

垂足三角形の意味と5つの性質

垂足三角形

三角形について,各頂点から対辺におろした垂線の足がなす三角形を垂足三角形と言う。 垂足三角形の定義

→垂足三角形の意味と5つの性質

ハイポサイクロイド(特にデルトイド)の式と面積

ハイポサイクロイドと呼ばれる曲線の媒介変数表示と面積の求め方を紹介します。

→ハイポサイクロイド(特にデルトイド)の式と面積

Ky Fanの不等式

Ky Fanの不等式

00 以上 12\dfrac{1}{2} 以下である nn 個の実数 x1,x2,,xnx_1,x_2,\dots,x_n に対して,GGAA\dfrac{G}{G'}\leq\dfrac{A}{A'}

ただし,AAGGxix_i たちの相加平均と相乗平均:

  • A=x1+x2++xnnA=\dfrac{x_1+x_2+\dots +x_n}{n}
  • G=x1x2xnnG=\sqrt[n]{x_1x_2\dots x_n}

AA'GG'(1xi)(1-x_i) たちの相加平均と相乗平均:

  • A=(1x1)+(1x2)++(1xn)nA'=\dfrac{(1-x_1)+(1-x_2)+\dots +(1-x_n)}{n}
  • G=(1x1)(1x2)(1xn)nG'=\sqrt[n]{(1-x_1)(1-x_2)\dots (1-x_n)}

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逐次最小二乗法(RLS)

逐次最小二乗法(Recursive Least Squares, RLS)について,問題設定から以下の更新式の導出まで解説します。

逐次最小二乗法における更新式

θundefinedn+1=θundefinedn+Pn+1aundefinedn+1(bn+1aundefinedn+1θundefinedn)\overrightarrow{\theta}_{n+1}\\=\overrightarrow{\theta}_{n}+P_{n+1}\overrightarrow{a}_{n+1}(b_{n+1}-\overrightarrow{a}_{n+1}^{\top}\overrightarrow{\theta}_n)

Pn+1=PnPnaundefinedn+1aundefinedn+1Pn1+aundefinedn+1Pnaundefinedn+1P_{n+1}=P_n-\dfrac{P_n\overrightarrow{a}_{n+1}\overrightarrow{a}_{n+1}^{\top}P_n}{1+\overrightarrow{a}_{n+1}^{\top}P_n\overrightarrow{a}_{n+1}}

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ABC予想の主張の解説

ABC予想

a+b=ca+b=c を満たす互いに素な自然数の組 (a,b,c)(a, b, c) であって,任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対して, c>rad(abc)1+ϵ c > \text{rad} (abc)^{1+\epsilon} を満たすものは有限個しか存在しない。

→ABC予想の主張の解説

直角三角形の定義とさまざまな公式

三平方の定理(ピタゴラスの定理)

直角三角形において,a2+b2=c2a^2+b^2=c^2

つまり「斜辺以外の二辺の長さの二乗の和」は「斜辺の二乗」と等しい。

→直角三角形の定義とさまざまな公式

確率漸化式の定義と問題例

確率漸化式とは「漸化式を利用して確率を求める」問題の総称です。

この記事では,例題3問を通じて確率漸化式の解き方・考え方を説明します。

→確率漸化式の定義と問題例

媒介変数表示

媒介変数表示とは,「関連する変数同士の関係を他の変数を用いて表すこと」です。

変数同士を繋ぎ,関係を作っている変数を,媒介変数またはパラメータと呼びます。媒介変数としては θ,t\theta,t などがよく使われます。

媒介変数表示をパラメータ表示と呼ぶこともあります。

→媒介変数表示

微分係数の定義

y=f(x)y=f(x)xx の値が aa から bb に変化するときの平均変化率

f(b)f(a)ba\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}

において bb を限りなく aa に近づけたときの値を,関数 y=f(x)y=f(x)x=ax=a における微分係数といいます。

→微分係数の定義

ガウスの発散定理・ストークスの定理の証明

ガウスの発散定理(英:Divergence Theorem) SAndS=VAdV \int_S \boldsymbol{A} \cdot \boldsymbol{n} dS = \int_V \nabla \cdot \boldsymbol{A} dV ストークスの定理(英:Stokes’ Theorem) CAdr=S(×A)ndS \oint_C \boldsymbol{A} \cdot d\boldsymbol{r} = \int_S \left(\nabla \times \boldsymbol{A}\right) \cdot \boldsymbol{n} dS

ベクトル解析の有名な公式「ガウスの発散定理」「ストークスの定理」を導出します。物理でよく使われる公式です。

ガウスの発散定理とストークスの定理は証明の構造がとても似ています。

→ガウスの発散定理・ストークスの定理の証明

テンソルとは何か Part.1

「テンソル」という言葉には,

  1. 代数学における「ベクトル空間のテンソル積」
  2. 物理や微分幾何における「テンソル場」
  3. その他,数の高次元配列としてのテンソルなど

といった,さまざまな意味がある。

この記事はPart.1として1. 線形代数における「ベクトル空間のテンソル積」について説明します。

→テンソルとは何か Part.1

テンソルとは何か Part.2

「テンソル」という言葉には,

  1. 代数学における「ベクトル空間のテンソル積」
  2. 物理や微分幾何における「テンソル場」
  3. その他,数の高次元配列としてのテンソルなど

といった,さまざまな意味がある。

この記事ではPart.2として「テンソル積における基底変換」と物理や微分幾何における「テンソル場」について説明します。

→テンソルとは何か Part.2

交代行列の定義と性質

交代行列の定義

正方行列 AA が, AT=AA^T = -A を満たすとき,AA を「交代行列反対称行列歪対称行列,英:alternating matrix, antisymmetric matrix, skew symmetric matrix)」と呼ぶ。

→交代行列の定義と性質

ナビエ-ストークス方程式の導出

ナビエ-ストークス方程式

ρ{vt+(v)v}=p+μ2v+ρf \rho \left\{\dfrac{\partial{\boldsymbol{v}}}{\partial{t}} + \left(\boldsymbol{v} \cdot \nabla \right) \boldsymbol{v}\right\} = -\nabla p + \mu \nabla^2 \boldsymbol{v} + \rho \boldsymbol{f}

ナビエ-ストークス方程式(英語でNavier–Stokes equations,略してNS方程式とも呼ばれます)は,古典力学における「運動方程式」を流体力学的に書き直したものです。これの導出について説明します。また,ナビエストークス方程式の一般解が存在するかどうかは,数学的に解明されていません。これについても少し触れます。

→ナビエ-ストークス方程式の導出

ポアンカレ予想の主張の解説

ポアンカレ予想

単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である。

ミレニアム懸賞問題とは,100万ドルの懸賞金がかけられている,数学における重要な7つの難問です。

→ポアンカレ予想の主張の解説

東大数学の過去問まとめ

この記事では,東京大学の数学の過去問をまとめています。

※記事内の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

→東大数学の過去問まとめ

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