高校数学の美しい物語

更新日時 2023/08/12

当サイト発の書籍など

1/(x^4+1) の積分

dxx4+1=142{log(x2+2x+1)log(x22x+1)+2arctan(2x+1)2arctan(12x)}\begin{aligned} &\int \dfrac{dx}{x^4 + 1}\\ &= \dfrac{1}{4\sqrt{2}} \{ \log(x^2 + \sqrt{2} x + 1)-\log(x^2 - \sqrt{2} x + 1)\\ & \quad\quad\quad\quad + 2 \arctan (\sqrt{2} x + 1) - 2 \arctan (1 - \sqrt{2} x) \} \end{aligned}

(積分定数は省略した)

→ 1/(x^4+1) の積分

群の生成元と元の位数

群の位数と元の位数

GG の元の個数を G|G| と書き,GG の位数という。

GG の元 xx に対して xn=1Gx^n = 1_G となる最小の nnxx の位数という。

ただし 1G1_GGG の単位元とする。

なお,位数は無限になることもある。

群の位数と元の位数は異なる意味なので,混同しないように注意しましょう。

→ 群の生成元と元の位数

トリボナッチ数列、テトラナッチ数列とその一般項

  • a0=a1==ak2=0a_0=a_1=\cdots=a_{k-2}=0
  • ak1=1a_{k-1}=1
  • an=an1+an2++ank(nk)a_n=a_{n-1}+a_{n-2}+\cdots +a_{n-k}\:(n\geqq k)

で定まる数列について考える。

この記事では,フィボナッチ数列の一般化である数列を考えます。以下 k2k\geqq 2 とします。

→ トリボナッチ数列、テトラナッチ数列とその一般項

整数値多項式の意味と2つの必要十分条件

すべての整数 nn に対して P(n)P(n) が整数になる多項式を整数値多項式と言います。

定理(整数値多項式の必要十分条件)

kk 次多項式 P(x)P(x) について,

P(x)P(x) が整数値多項式
    \iff ある整数 a0,...,aka_0,...,a_k が存在して P(x)=t=0katct(x)P(x)=\displaystyle\sum_{t=0}^k a_tc_t(x)

ただし, ct(x)=x(x1)(x2)(xt+1)t!c_t(x)=\dfrac{x(x-1)(x-2)\cdots(x-t+1)}{t!} である。

→ 整数値多項式の意味と2つの必要十分条件

二項係数の上界・下界を与える4つの不等式

二項係数の上界・下界
  • (nk)knCk(nke)k\left(\dfrac{n}{k}\right)^k\leqq {}_n\mathrm{C}_k\leqq\left( \dfrac{n}{k}e\right)^k

  • 1n+12nH(kn)nCk2nH(kn)\dfrac{1}{n+1}2^{nH(\frac{k}{n})}\leqq{}_n\mathrm{C}_k\leqq2^{nH(\frac{k}{n})}

ただし,H(x)=xlog2x(1x)log2(1x)H(x)=-x\log_2 x-(1-x)\log_2(1-x) です。H(x)H(x) はバイナリークロスエントロピーと呼ばれる有名な関数です。

→ 二項係数の上界・下界を与える4つの不等式

実数を分数で近似する【ディリクレのディオファントス近似定理】

実数 rr に対して,以下を満たす整数 p,qp,q を探しましょう。 rpq<1q2\left|r-\dfrac{p}{q}\right|<\dfrac{1}{q^2} つまり,

  • rr を近似する分数 pq\dfrac{p}{q} を探す
  • 近似誤差が 1q2\dfrac{1}{q^2} 未満になるようにする(分母が小さい単純な分数で近似したい)

という問題です。

→ 実数を分数で近似する【ディリクレのディオファントス近似定理】

黄金進法の意味とおもしろい定理

黄金進法という,黄金比を使った数の表し方を紹介します。関連するおもしろい定理も紹介します。

→ 黄金進法の意味とおもしろい定理

定常分布・極限分布・詳細釣り合い条件・収束定理

マルコフ連鎖に関する4つの用語を順番に解説していきます:

  1. 定常分布
  2. 詳細釣り合い条件
  3. 極限分布
  4. 収束定理

→ 定常分布・極限分布・詳細釣り合い条件・収束定理

コンパクト・点列コンパクトの意味

コンパクトの定義

位相空間 XX が以下を満たすとき XXコンパクトまたはコンパクト空間であるという:

XX の任意の開被覆に対して有限部分被覆が存在する。

コンパクトとは,ざっくり言うと「開集合で全体を覆うと,実は有限個で十分」となるような空間・集合のことです。

→ コンパクト・点列コンパクトの意味

Sperner の補題と Brouwer の不動点定理

Sperner の補題(2次元の場合)
  • 大きい三角形 ABCABC がある。
  • この三角形の周または内部にいくつかの点があり,小さい三角形たちに分割されている。
  • 頂点 A,B,CA,B,C および各点はのいずれかで塗られている。ただし以下を満たす:
    • A,B,CA,B,C は異なる色
    • ABAB 上の点は AA または BB と同じ色
    • BCBC 上の点は BB または CC と同じ色
    • CACA 上の点は CC または AA と同じ色

このとき,33 つの頂点の色が相異なるような小さい三角形が存在する。

Brouwer の不動点定理

nn 次元球 BnB^n から BnB^n への連続関数 ff には必ず不動点が存在する。つまり,ある xundefinedBn\overrightarrow{x}\in B^n が存在して f(xundefined)=xundefinedf(\overrightarrow{x})=\overrightarrow{x}

おもしろい定理を2つ紹介します。Sperner の補題(組合せ論)と Brouwer の不動点定理(解析)です。

→ Sperner の補題と Brouwer の不動点定理

アルキメデスの螺旋

アルキメデスの螺旋(らせん)

極方程式 r=aθr=a\theta で表される曲線をアルキメデスの螺旋と呼ぶ。

螺旋は「らせん」と読みます。

アルキメデスの螺旋(アルキメデスの渦巻線)についての知識を整理しました。

→ アルキメデスの螺旋

最小ノルム解の導出と図による理解

定理1(最小ノルム解)

Axundefined=bundefinedA\overrightarrow{x}=\overrightarrow{b} を満たす xundefined\overrightarrow{x} の中で xundefined2\|\overrightarrow{x}\|_2 を最小にする解 xundefined\overrightarrow{x_*} がただ1つ存在し, xundefined=A(AA)1bundefined \overrightarrow{x_*} = A^{\top} (AA^{\top})^{-1}\overrightarrow{b} ただし,AA は行ベクトルが線形独立な m×nm\times n 行列,xundefined\overrightarrow{x}nn 次元ベクトル,bundefined\overrightarrow{b}mm 次元ベクトルとする。

「連立一次方程式を満たす解の中で一番原点に近いものを求める」問題です。この問題はきれいに解けます。

最小ノルム解について,問題設定・定理の証明・射影による理解を紹介します。

→ 最小ノルム解の導出と図による理解

平行六面体の話題(体積・分類・角度の三角不等式)

平行六面体

各面が平行四辺形である六面体のことを平行六面体と呼ぶ。

平行六面体に関して3つの話題を紹介します。「体積」「平行六面体の分類」「角度の三角不等式」です。

→ 平行六面体の話題(体積・分類・角度の三角不等式)

直辺四面体(垂心四面体)と24点球の定理

四面体において以下の5つの条件は同値です。このいずれか(したがって全て)を満たす四面体のことを直辺四面体(直稜四面体,垂心四面体)と言います。

直辺四面体

四面体 ABCDABCD において,以下は同値:

  1. ABCDAB\perp CDACBDAC\perp BD

  2. ABCDAB\perp CDACBDAC\perp BDADBCAD\perp BC

  3. 四面体 ABCDABCD に垂心が存在する(頂点から対面におろした4本の垂線が1点で交わる)。

  4. AB2+CD2=AC2+BD2=AD2+BC2AB^2+CD^2=AC^2+BD^2=AD^2+BC^2

  5. 対辺の中点同士を結ぶ3本の線分の長さが等しい

24点球の定理

直辺四面体において,各面の「九点円の定理」に登場する9点は合計24点あり,それらは同一球面上にある。

→ 直辺四面体(垂心四面体)と24点球の定理

最良近似多項式に関するおもしろい定理

定理1(ミニマックス原理)

最高次の係数が 11 である nn 次関数 P(x)=xn+an1xn1++a1x+a0P(x)=x^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_1x+a_0

の中で,xx 軸に [1,1][-1,1] で最も「近い」もの。つまり max1x1P(x)\displaystyle\max_{-1\leqq x\leqq 1}|P(x)| を最小にするものはただ一つ存在し,それはチェビシェフ多項式 Tn(x)T_n(x) の定数倍 12n1Tn(x)\dfrac{1}{2^{n-1}}T_n(x) である。

定理2(交代定理)

区間 [a,b][a,b] 上で定義された(nn 次以下の多項式ではない)連続関数 f(x)f(x) を考える。このとき,f(x)f(x) に最も「近い」nn 次以下の多項式がただ1つ存在し,それは以下の条件を満たす。

条件:f(x)f(x)最も「遠い」 n+2n+2 点からなる交代点列が存在する。つまり, 相異なる n+2n+2x1<x2<<xn+2x_1 < x_2 < \cdots < x_{n+2} が存在して,

  • k=1,...,n+2k=1,...,n+2 に対して f(xk)P(xk)=maxaxbf(x)P(x) |f(x_k)-P(x_k)|=\max_{a\leqq x\leqq b}|f(x)-P(x)| を満たす,かつ
  • f(xk)P(xk)f(x_k)-P(x_k) の符号が交代的(k=1k=1 から k=n+2k=n+2 までプラスとマイナスが交互)

最良近似多項式の意味と,関連するおもしろい定理を2つ紹介します。

→ 最良近似多項式に関するおもしろい定理

フーリエ変換を用いた sinc 関数の積分

ディリクレ積分

0sinxxdx=π2 \int_0^{\infty} \dfrac{\sin x}{x} dx = \dfrac{\pi}{2}

この記事では,ディリクレ積分をフーリエ変換を使って計算します。

→ フーリエ変換を用いた sinc 関数の積分

フビニの定理~重積分の計算について

フビニの定理

ff[a,b]×[c,d][a,b] \times [c,d] 上で可積分な連続関数なら,以下の式が成り立つ。

ab(cdf(x,y)dy)dx=[a,b]×[c,d]f(x,y)dxdy=cd(abf(x,y)dx)dy\begin{aligned} &\int_a^b \left( \int_c^d f(x,y) dy \right) dx\\ &= \int_{[a,b] \times [c,d]} f(x,y) dxdy\\ &= \int_c^d \left( \int_a^b f(x,y) dx \right) dy \end{aligned}

つまり逐次積分と重積分は一致する(積分の順序を交換できる)。

→ フビニの定理~重積分の計算について

順像法と逆像法(自然法と逆手法)

定理
  • 順像法(順手流・順手法・自然流)
    変数を1つ固定し,他の変数に応じて図形がどのように動くか調べる。

  • 逆像法(逆手流・逆手法)
    各点 (x,y)(x,y) に対して図形が通過するかどうか調べる。(存在条件を調べる)

この記事では,通過領域を求める際に用いられる2つの手法を解説します。

→ 順像法と逆像法(自然法と逆手法)

ルベーグ積分

この記事ではルベーグ積分について解説します。

ルベーグ積分リーマン積分よりも幅広い関数を扱える積分です。

ルベーグ積分を学べばリーマン積分できなかった関数も積分できたりします。

→ ルベーグ積分

連続関数とは何なのか~いくつかの重要な定義

関数 f(x)f(x)x=ax=a で連続であるとは limxaf(x)=f(a) \lim_{x\to a} f(x) = f(a) が成立することである。

また,定義域(考えている区間内)の任意の点 aa で関数 ff が連続のとき,ff を連続関数と呼ぶ。

この記事では大学数学を見据えた連続関数の扱いについてまとめます。

→ 連続関数とは何なのか~いくつかの重要な定義

ワイエルシュトラスのペー関数

ワイエルシュトラスのペー関数の定義

複素数 ω1,ω2\omega_1 , \omega_2ω1ω2R\dfrac{\omega_1}{\omega_2} \notin \mathbb{R} を満たすとする。

格子 Λ={nω1+mω2:n,mZ}\Lambda = \{ n \omega_1 + m \omega_2 : n,m \in \mathbb{Z} \} に対する ワイエルシュトラスのペー関数(楕円関数)(z)=1z2+ωΛ\{0}(1(zω)21ω2) \wp (z) = \dfrac{1}{z^2} + \sum_{\omega \in \Lambda \backslash \{0\}} \left( \dfrac{1}{(z-\omega)^2} - \dfrac{1}{\omega^2} \right) と定める。

この記事ではワイエルシュトラスのペー関数について,いろいろな性質を紹介します。

ワイエルシュトラスのペー関数は数論で登場する重要な関数です。

→ ワイエルシュトラスのペー関数

シュトルツ=チェザロの定理~ロピタルの定理の数列版

シュトルツ=チェザロの定理

数列 {an}\{ a_n \}{bn}\{ b_n \} について,次のどちらかを満たすとする。

  1. {bn}\{ b_n \} は単調増加(もしくは単調減少)で limnbn=±\displaystyle\lim_{n \to \infty} b_n = \pm\infty
  2. {bn}\{ b_n \} は単調増加(もしくは単調減少)で limnan=limnbn=0\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} b_n = 0

このとき,極限 limnanan1bnbn1\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n - a_{n-1}}{b_n - b_{n-1}} が存在すれば, limnanbn=limnanan1bnbn1 \lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n}{b_n} = \lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n - a_{n-1}}{b_n - b_{n-1}} である。

シュトルツ=チェザロの定理は,数列の極限を求めるのに役立つ定理です。ロピタルの定理の数列版とも言えます。

→ シュトルツ=チェザロの定理~ロピタルの定理の数列版

sin の無限乗積展開とワイエルシュトラスの因数分解定理

無限乗積(無限積)とは,無限級数の「積」版です。

三角関数の無限乗積展開

sinπz=πzn=1(1z2n2) \sin \pi z = \pi z \prod_{n=1}^{\infty} \left( 1- \dfrac{z^2}{n^2} \right)

無限積のアイデアを用いると,一般的な関数を「因数分解」できるようになります。

→ sin の無限乗積展開とワイエルシュトラスの因数分解定理

東大数学の過去問まとめ

この記事では,東京大学の数学の過去問をまとめています。

※記事内の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

→東大数学の過去問まとめ