判別式まとめ【2次方程式の実数解・x軸との共有点の個数】
判別式とは, に対して のこと。
判別式についてわかりやすく解説します。
判別式とは
判別式とは
判別式とは, のことです。計算してみましょう。
の判別式を求めよ。
なので,判別式は,
なお,英語で判別式を discriminant というので,判別式には という記号を用います。
の判別式を求めよ。
判別式は
判別式と解の公式
判別式と解の公式
判別式は,解の公式におけるルートの中身です。実際,2次方程式の解の公式は ですが,判別式を とおくと,上式は となります。
判別式の符号と方程式の実数解
判別式の符号と方程式の実数解
判別式の符号を見れば,2次方程式の実数解の個数が分かります。
2次方程式 について,判別式を とするとき,
- 2次方程式は異なる実数解を2つ持つ。
- 2次方程式は実数解を1つ(重解)持つ。
- 2次方程式は互いに共役な2つの複素数解を持つ。
の実数解の個数を求めよ。
判別式は より 。よって,実数解は2つ。
このように判別式 の符号を見ることで,方程式の実数解の個数がわかります。
の実数解の個数を求めよ。
判別式は よって,実数解は1つ(重解)。
二次関数のグラフと判別式
二次関数のグラフと判別式
判別式の符号を見れば,二次関数のグラフと 軸との交点の個数がわかります。
2次関数 について,判別式を とするとき,
- 2次関数は 軸と二点で交わる。
- 2次関数は 軸と一点で交わる(接する)。
- 2次関数は 軸と交わらない。
のグラフと 軸の共有点の個数を求めよ。
判別式は である。よってこの2次関数のグラフは 軸と2点で交わる。
のグラフと 軸の共有点の個数を求めよ。
判別式は である。よってこの2次関数のグラフは 軸と交わらない。共有点は0個。
D/4を用いる理由
D/4を用いる理由
判別式を用いるほとんどの問題において 重要なのは値ではなく判別式の符号のみです。よって,以下の理由により が偶数のときは の代わりに を用いるのがオススメです。
- の符号を知りたいとき, の符号を知れば十分。
- が偶数のとき, よりも の方が計算が簡単。
これはあくまでも計算を簡単にするためのテクニックに過ぎません。しかし, が大きい偶数だとけっこう役立ちます。
の実数解の個数を求めよ。
より判別式は負。よって実数解を持たないことが分かる。
【発展】判別式の一般化に向けて
【発展】判別式の一般化に向けて
の解を とおくことで,判別式は以下のように書くこともできます。
実はこっちが由緒正しい判別式の定義です。こちらの姿を使うことによって三次以上の場合にも判別式を拡張できます。
例えば三次多項式の判別式は という形をしています。三次以上の判別式はあまり使わないので,ここでは深入りしません。詳細は三次方程式の判別式の意味と使い方を参照ください。
最後に,2次多項式において,第二の姿がさっきの定義と一致することを確認しておきます。2次方程式における解と係数の関係を用います。
より
となり「いつもの」判別式と一致した。
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT94では,判別式を使う問題の2通りの解き方と計算ミスをしないためのコツも紹介しています。
「由緒正しい」判別式の定義の方が断然きれいです。