部分分数分解の3通りの方法

更新日時 2021/03/07

部分分数分解とは,

1(x2)(x5)=131x5131x2\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{x-2}

のように「分母が因数分解されているような分数をいくつかの分数に分解する」こと。

部分分数分解のやり方を詳しく説明します。

目次
  • 部分分数分解の基本形

  • 部分分数分解の方法1:係数比較

  • 部分分数分解の方法2:数値代入

  • 部分分数分解の方法3:直感

  • 部分分数分解の応用例

部分分数分解の基本形

部分分数分解をするためには,以下の公式をおさえておく必要があります。

部分分数分解の基本形
  1. うまいこと A,BA,B を選ぶと,px+q(x+a)(x+b)=Ax+a+Bx+b\dfrac{px+q}{(x+a)(x+b)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{x+b}

  2. うまいこと A,BA,B を選ぶと,px+q(x+a)2=Ax+a+B(x+a)2\dfrac{px+q}{(x+a)^2}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{(x+a)^2}

  3. うまいこと A,B,CA,B,C を選ぶと,px2+qx+r(x+a)2(x+b)=Ax+a+B(x+a)2+Cx+b\dfrac{px^2+qx+r}{(x+a)^2(x+b)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{(x+a)^2}+\dfrac{C}{x+b}

少し複雑に見えますが,両辺の分母の形を頑張って覚えましょう。 1と2を覚えれば3も覚えられます。より一般的な形はヘビサイドの展開定理の定理1をどうぞ。

以下では,基本形をふまえて部分分数分解の方法(A,B,CA,B,C の求め方)を3通り解説します。

  • 方法1:分母を払って係数を比較する
  • 方法2:分母を払って数値を代入する
  • 方法3:形を見て直感で分解する

部分分数分解の方法1:係数比較

部分分数分解は,分母を払って係数を比較することで計算できます。簡単な例で解説します。

例1

1(x2)(x5)\dfrac{1}{(x-2)(x-5)} を部分分数分解せよ。

解答

1(x2)(x5)=Ax2+Bx5\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}=\dfrac{A}{x-2}+\dfrac{B}{x-5} と分解できる(基本形1)。

両辺の分母を払うと,1=A(x5)+B(x2)1=A(x-5)+B(x-2)

これが恒等式となるので係数を比較して,

0=A+B,1=5A2B0=A+B, 1=-5A-2B

これを解くと A=13,B=13A=-\dfrac{1}{3}, B=\dfrac{1}{3} となるので,

1(x2)(x5)=131x5131x2\dfrac{1}{(x-2)(x-5)}=\dfrac{1}{3}\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{3}\dfrac{1}{x-2}

次は,より複雑な基本形3の例です。計算がめんどうです。

例2

1(x1)2(x2)\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)} を部分分数分解せよ。

解答

1(x1)2(x2)=Ax1+B(x1)2+Cx2\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)}=\dfrac{A}{x-1}+\dfrac{B}{(x-1)^2}+\dfrac{C}{x-2} と分解できる(基本形3)。

分母を払うと,1=A(x1)(x2)+B(x2)+C(x1)21=A(x-1)(x-2)+B(x-2)+C(x-1)^2

気合いで展開して係数比較すると,

0=A+C,0=3A+B2C,1=2A2B+C0=A+C, 0=-3A+B-2C, 1=2A-2B+C

これを解くと,A=1,B=1,C=1A=-1, B=-1, C=1

この方法のメリット:

  • 部分分数分解の全てのパターンに使える
  • 多くの教科書に載っている定番の手法

この方法のデメリット:

  • 計算がめんどう

部分分数分解の方法2:数値代入

部分分数分解は,分母を払って数値を代入することでも計算できます。方法1ほどではありませんが,この方法も定番です。

例1の別解

分母を払うところまでは同じ:

1=A(x5)+B(x2)1=A(x-5)+B(x-2)

ここで,x=5x=5 を代入すると,B=13B=\dfrac{1}{3}

x=2x=2 を代入すると,A=13A=-\dfrac{1}{3} が分かる。

例2の別解

分母を払うところまでは同じ:

1=A(x1)(x2)+B(x2)+C(x1)21=A(x-1)(x-2)+B(x-2)+C(x-1)^2

x=0,1,2x=0,1,2 を代入して,

1=2A2B+C,1=B,1=C1=2A-2B+C, 1=-B, 1=C

これを解いて,A=1,B=1,C=1A=-1, B=-1, C=1

この方法のメリット:

  • 部分分数分解の全てのパターンに使える

この方法のデメリット:

  • 計算が少しめんどうだが方法1よりはかなり楽

部分分数分解の方法3:直感

例1のような単純な形: p(xa)(xb)\dfrac{p}{(x-a)(x-b)} なら直感で部分分数分解できます。

例1の別解

1(x2)(x5)\dfrac{1}{(x-2)(x-5)} の分母に着目して,分数の引き算をつくってみる:

1x51x2=x2x+5(x2)(x5)\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{x-2}=\dfrac{x-2-x+5}{(x-2)(x-5)}

右辺の形を調節するために両辺を 33 で割ると求める部分分数分解を得る。

もう少し複雑な形でも因数が2つならこの方法が使えます。

例3

5(2x1)(2x)\dfrac{5}{({2}x-1)(2-x)} を部分分数分解せよ。

解答

分母に着目して分数の引き算をつくってみる(通分したときに分子の xx の項が消えるように調整):

22x11x2=2x42x+1(2x1)(x2)=3(2x1)(x2)\dfrac{2}{2x-1}-\dfrac{1}{x-2}\\ =\dfrac{2x-4-2x+1}{(2x-1)(x-2)}\\ =\dfrac{-3}{(2x-1)(x-2)}

両辺を 53-\dfrac{5}{3} 倍すると求める部分分数分解を得る:

53(22x11x2)=5(2x1)(2x)-\dfrac{5}{3}\left(\dfrac{2}{2x-1}-\dfrac{1}{x-2}\right)=\dfrac{5}{(2x-1)(2-x)}

この方法のメリット:

  • 計算がとても楽
  • 実戦で登場する多くの問題は方法3が使える形

この方法のデメリット:

  • p(xa)(xb)\dfrac{p}{(x-a)(x-b)} の形にしか使えない

部分分数分解の応用例

部分分数分解はいろいろな分野で使う基本的な計算方法です!

使える時には方法3(直感)を積極的に使って,使えない時は方法1と方法2のうちで自分の好きな方を使いましょう。

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