部分分数分解の3通りの方法

更新日時 2022/02/27

部分分数分解とは,

5x1(x+1)(x2)=2x+1+3x2\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}=\dfrac{2}{x+1}+\dfrac{3}{x-2}

のように「いくつかの分数のたし算(または引き算)に分解する」こと。つまり,通分の逆。

部分分数分解

部分分数分解のやり方・例題・応用についてわかりやすく説明します。

目次
  • 部分分数分解の基本形と例題

  • 部分分数分解の簡単な問題

  • 部分分数分解の公式まとめ

  • 練習問題

  • 部分分数分解の応用例・例題

部分分数分解の基本形と例題

公式1

うまいこと A,BA,B を選ぶと,
px+q(x+a)(x+b)=Ax+a+Bx+b\dfrac{px+q}{(x+a)(x+b)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{x+b}

公式1は覚えましょう。公式1を使って部分分数分解してみましょう。A,BA,B を求める方法はいろいろあります。

例題1

5x1(x+1)(x2)\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)} を部分分数分解せよ。

例題1の解答を3通り紹介します。

方法1:係数比較

例題1の解答(係数比較)

公式1より,
5x1(x+1)(x2)=Ax+1+Bx2\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}=\dfrac{A}{x+1}+\dfrac{B}{x-2}
と分解できる。両辺に (x+1)(x2)(x+1)(x-2) をかけると,

5x1=A(x2)+B(x+1)5x-1=A(x-2)+B(x+1)
5x1=(A+B)x+(2A+B)5x-1=(A+B)x+(-2A+B)

これが恒等式となるので係数を比較して,
A+B=5A+B=52A+B=1-2A+B=-1

この連立方程式を解くと,A=2A=2B=3B=3

つまり,答えは
5x1(x+1)(x2)=2x+1+3x2\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}=\dfrac{2}{x+1}+\dfrac{3}{x-2}

このように,分母を払って係数を比較すると部分分数分解できます。 方法1は,部分分数分解のすべてのパターンに使える基本的な解法ですが,計算がややめんどうです。

方法2:数値代入

部分分数分解は,分母を払って数値を代入することでも計算できます。方法1ほどではありませんが,この方法も定番です。

例題1の別解(数値代入)

分母を払うところまでは同じ:
5x1=A(x2)+B(x+1)5x-1=A(x-2)+B(x+1)

ここで,

  • x=2x=2 を代入すると,9=3B9=3B より B=3B=3
  • x=1x=-1 を代入すると,6=3A-6=-3A より A=2A=2

つまり,答えは
5x1(x+1)(x2)=2x+1+3x2\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}=\dfrac{2}{x+1}+\dfrac{3}{x-2}

方法2も部分分数分解の全てのパターンに使えます。計算が少しめんどうですが,方法1よりは楽です。

方法3:裏ワザ

ヘビサイドの展開定理の定理2を使えば,係数を簡単に計算できます。覚える必要はないですが,おもしろいので興味がある方は上記の記事を読んでみてください。

例題1の別解

5x1(x+1)(x2)\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}x+1x+1 をかけて x=1x=-1 を代入すると 63=2\dfrac{-6}{-3}=2 となる。x2x-2 をかけて x=2x=2 を代入すると 93=3\dfrac{9}{3}=3 となる。よって,ヘビサイドの展開定理より
5x1(x+1)(x2)=2x+1+3x2\dfrac{5x-1}{(x+1)(x-2)}=\dfrac{2}{x+1}+\dfrac{3}{x-2}

部分分数分解の簡単な問題

q(xa)(xb)\dfrac{q}{(x-a)(x-b)} という単純な形なら,係数比較や数値代入をするまでもなく,直感で部分分数分解できます。

例題2

1(x2)(x5)\dfrac{1}{(x-2)(x-5)} を部分分数分解せよ。

解答

1(x2)(x5)\dfrac{1}{(x-2)(x-5)} の分母に着目して,分数の引き算をつくってみる:

1x51x2=x2x+5(x2)(x5)\dfrac{1}{x-5}-\dfrac{1}{x-2}=\dfrac{x-2-x+5}{(x-2)(x-5)}

右辺の形を調節するために両辺を 33 で割ると求める部分分数分解を得る。

もう少し複雑な形でも因数が2つならこの方法が使えます。

例題3

5(2x1)(2x)\dfrac{5}{({2}x-1)(2-x)} を部分分数分解せよ。

解答

5(2x1)(x2)\dfrac{-5}{(2x-1)(x-2)} を部分分数分解すればよい。

分母に着目して分数の引き算をつくってみる(通分したときに分子の xx の項が消えるように調整):

22x11x2=2x42x+1(2x1)(x2)=3(2x1)(x2)\dfrac{2}{2x-1}-\dfrac{1}{x-2}\\ =\dfrac{2x-4-2x+1}{(2x-1)(x-2)}\\ =\dfrac{-3}{(2x-1)(x-2)}

両辺を 53\dfrac{5}{3} 倍すると求める部分分数分解を得る:

53(22x11x2)=5(2x1)(x2)\dfrac{5}{3}\left(\dfrac{2}{2x-1}-\dfrac{1}{x-2}\right)=\dfrac{-5}{(2x-1)(x-2)}

この方法のメリット:

  • 計算がとても楽
  • 実戦で登場する多くの問題は方法3が使える形

この方法のデメリット:

  • q(xa)(xb)\dfrac{q}{(x-a)(x-b)} の形にしか使えない

部分分数分解の公式まとめ

部分分数分解をするためには,公式1に加えて,以下の公式2~4もおさえておくとよいです。

部分分数分解の公式
  1. うまいこと A,BA,B を選ぶと,
    px+q(x+a)(x+b)=Ax+a+Bx+b\dfrac{px+q}{(x+a)(x+b)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{x+b}

  2. うまいこと A,BA,B を選ぶと,
    px+q(x+a)2=Ax+a+B(x+a)2\dfrac{px+q}{(x+a)^2}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{(x+a)^2}

  3. うまいこと A,B,CA,B,C を選ぶと,
    px2+qx+r(x+a)2(x+b)=Ax+a+B(x+a)2+Cx+b\dfrac{px^2+qx+r}{(x+a)^2(x+b)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{B}{(x+a)^2}+\dfrac{C}{x+b}

  4. うまいこと A,B,CA,B,C を選ぶと,
    px2+qx+r(x+a)(x2+bx+c)=Ax+a+Bx+Cx2+bx+c\dfrac{px^2+qx+r}{(x+a)(x^2+bx+c)}=\dfrac{A}{x+a}+\dfrac{Bx+C}{x^2+bx+c}

少し複雑に見えますが,両辺の分母の形を頑張って覚えましょう。 1と2を覚えれば3,4も覚えられます。より一般的な形はヘビサイドの展開定理の定理1をどうぞ。

練習問題

問題1

5x+14(x+2)(x+4)\dfrac{5x+14}{(x+2)(x+4)} を部分分数分解せよ。

解答

5x+14(x+2)(x+4)=Ax+2+Bx+4\dfrac{5x+14}{(x+2)(x+4)}=\dfrac{A}{x+2}+\dfrac{B}{x+4}

と分解できる(公式1)。分母を払うと

5x+14=A(x+4)+B(x+2)5x+14=A(x+4)+B(x+2)
5x+14=(A+B)x+4A+2B5x+14=(A+B)x+4A+2B

係数を比較すると

A+B=5,4A+2B=14A+B=5,4A+2B=14

連立方程式を解くと,A=2,B=3A=2,B=3 よって,答えは

5x+14(x+2)(x+4)=2x+2+3x+4\dfrac{5x+14}{(x+2)(x+4)}=\dfrac{2}{x+2}+\dfrac{3}{x+4}

問題2

1(x1)2(x2)\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)} を部分分数分解せよ。

解答(係数比較)

1(x1)2(x2)=Ax1+B(x1)2+Cx2\dfrac{1}{(x-1)^2(x-2)}=\dfrac{A}{x-1}+\dfrac{B}{(x-1)^2}+\dfrac{C}{x-2}
と分解できる(公式3)。

分母を払うと,1=A(x1)(x2)+B(x2)+C(x1)21=A(x-1)(x-2)+B(x-2)+C(x-1)^2

がんばって展開して係数比較すると,

0=A+C,0=3A+B2C,1=2A2B+C0=A+C, 0=-3A+B-2C, 1=2A-2B+C

これを解くと,A=1,B=1,C=1A=-1, B=-1, C=1

別解(数値代入)

分母を払うところまでは同じ:

1=A(x1)(x2)+B(x2)+C(x1)21=A(x-1)(x-2)+B(x-2)+C(x-1)^2

x=0,1,2x=0,1,2 を代入して,

1=2A2B+C,1=B,1=C1=2A-2B+C, 1=-B, 1=C

これを解いて,A=1,B=1,C=1A=-1, B=-1, C=1

部分分数分解の応用例・例題

部分分数分解はいろいろな分野で使う基本的な計算です。応用例を紹介します。

部分分数展開による分数の和の計算

  • 部分分数分解は,分数の和を計算するときに活躍します。
例題4

k=1n1k(k+1)\displaystyle \sum_{k=1}^n \dfrac{1}{k(k+1)} を求めよ。

解答例

1k(k+1)=1k1k+1\dfrac{1}{k(k+1)}=\dfrac{1}{k}-\dfrac{1}{k+1}

であるから,

k=1n1k(k+1)=k=1n(1k1k+1)=(1112)+(1213)+...+(1n1n+1)=11n+1=nn+1\displaystyle \sum_{k=1}^n \dfrac{1}{k(k+1)}\\ = \displaystyle \sum_{k=1}^n \left(\dfrac{1}{k}-\dfrac{1}{k+1} \right) \\ =\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2} \right) +\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3} \right) +...+\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+1} \right) \\ =1-\dfrac{1}{n+1} = \dfrac{n}{n+1}

分数で表された数列の和の問題と一般化 でより詳しく解説しています。

積分計算への利用

  • 積分計算でも役立ちます。
例題5

 121x(x+1)dx\displaystyle \int^{2}_{1} \dfrac{1}{x(x+1)}dx を求めよ。

解答例

1x(x+1)=1x1(x+1)\dfrac{1}{x(x+1)}= \dfrac{1}{x} - \dfrac{1}{(x+1)} であるから,

 121x(x+1)dx= 12(1x1x+1)dx=[logx]12[log(x+1)]12=(log2log1)+(log3log2)=log3\displaystyle \int^{2}_{1} \dfrac{1}{x(x+1)}dx= \displaystyle \int^{2}_{1} \left(\dfrac{1}{x} - \dfrac{1}{x+1} \right)dx \\ =\left[\log{x} \right]^2_1 -\left[\log{(x+1)} \right]^2_1 \\ =(\log{2}-\log{1}) + (\log{3}-\log{2}) \\ = \log{3}

この他にも,三角関数の積分などにも用いられます。詳しくは 三角関数の有理式の積分 をご参照ください。

不等式の証明

不等式の証明で役立つこともあります。 こちらは微分を用いた不等式証明の問題で詳しく説明しています。

使える時には方法3(直感)を積極的に使って,使えない時は方法1と方法2のうちで自分の好きな方を使いましょう。

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