三角関数の有理式の積分
- 有理式(有理関数・分数関数)の不定積分は必ず計算できる。
- 三角関数の有理式の積分は と置換することによって必ず計算できる。
「多項式÷多項式」の形の式を有理式(有理関数)と言います。 などが有理関数です。
積分計算の流れ
用いる置換
具体例
積分計算の流れ
- 置換積分を用いて有理式の積分に帰着させる
- 有理式を部分分数分解する
- 分解した各項を積分する
このページでは1を詳しく解説します。2については部分分数分解の3通りの方法およびヘビサイドの展開定理で解説しています。3は全パターンをきちんと書くと煩雑になるので,具体例のみ紹介します。
用いる置換
と置換すると,
, ,
より1つめが成立。
より2つめが成立。
より3つめが成立。
具体例
不定積分 を計算せよ。
三角関数の有理式の中では比較的単純なものですが,この方法でやると(機械的にできますが)計算はかなり大変です。ちなみに,これは対称性を用いた定積分の計算(King Property)の問題1にも登場する関数です。 が登場するので厳密には高校数学範囲外ですが,適切な区間の定積分にすれば高校範囲内です。
まず, と置換すると,上記の公式より求める不定積分は
これを部分分数分解すると,
ただし,,
よって,上式は
( は の逆関数です→逆三角関数(Arcsin,Arccos,Arctan)の意味と性質)
ここまででもOKだが, を に戻すと(たまたま)きれいになる:
例題の積分,相当頭のいい人なら直感で原始関数を思いつくかもしれませんね。