逆三角関数の重要な性質まとめ

更新日時 2021/03/07

逆三角関数とは,三角関数 sinx,cosx,tanx\sin x,\cos x,\tan x の逆関数のことです。

逆三角関数の意味と性質を詳しく解説します。

目次
  • Arcsin とは sin の逆関数

  • Arccos とは cos の逆関数

  • Arctan とは tan の逆関数

  • 逆三角関数のグラフ

  • 逆三角関数の微分

  • 逆三角関数にまつわる積分公式

Arcsin とは sin の逆関数

まずは,y=sinxy=\sin x の逆関数を考えます。

Arcsin とは

y=sinxy=\sin x を満たす x(π2xπ2)x\:\left(-\dfrac{\pi}{2}\leq x\leq\dfrac{\pi}{2}\right) のことを Arcsiny\mathrm{Arcsin}\:y と書くことがある。

Arcsin12\mathrm{Arcsin}\:\dfrac{1}{\sqrt{2}} を求めよ。

sinx=12\sin x=\dfrac{1}{\sqrt{2}} を満たす xxπ2xπ2-\dfrac{\pi}{2}\leq x\leq\dfrac{\pi}{2} の範囲内のものは,x=π4x=\dfrac{\pi}{4} なので,Arcsin12=π4\mathrm{Arcsin}\:\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\pi}{4}

補足

y=sinxy=\sin x の逆関数は,そのままでは考えられませんが,定義域を例えばπ2xπ2-\dfrac{\pi}{2}\leq x\leq\dfrac{\pi}{2} に限定することで逆関数を考えることができるというわけです。→逆関数の3つの定義と使い分け

Arccos とは cos の逆関数

Arccos とは

y=cosxy=\cos x を満たす x(0xπ)x\:(0\leq x\leq\pi) のことを Arccosy\mathrm{Arccos}\:y と書くことがある。

つまり,y=cosxy=\cos x の定義域を 0xπ0\leq x\leq \pi に制限したものの逆関数が Arccosx\mathrm{Arccos}\:x です。

Arctan とは tan の逆関数

Arctan とは

y=tanxy=\tan x を満たす x(π2<x<π2)x\:\left(-\dfrac{\pi}{2} <x <\dfrac{\pi}{2}\right) のことを Arctany\mathrm{Arctan}\:y と書くことがある。

つまり,y=tanxy=\tan x の定義域を (π2<x<π2)\left(-\dfrac{\pi}{2} <x <\dfrac{\pi}{2}\right) に制限したものの逆関数が Arctanx\mathrm{Arctan}\:x です。

以上 33 つ(Arcsin,Arccos,Arctan\mathrm{Arcsin},\mathrm{Arccos},\mathrm{Arctan})を合わせて逆三角関数と呼びます。

逆三角関数のグラフ

逆三角関数のグラフ

逆関数のグラフはもとの関数を y=xy=x に関して折り返したものなので,逆三角関数のグラフは図のようになります。

赤が y=Arcsinxy=\mathrm{Arcsin}\:x

青が y=Arccosxy=\mathrm{Arccos}\:x

緑が y=Arctanxy=\mathrm{Arctan}\:x

です。

逆三角関数の微分

y=Arcsinxy=\mathrm{Arcsin}\:x のとき y=11x2y'=\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}

y=Arccosxy=\mathrm{Arccos}\:x のとき y=11x2y'=-\dfrac{1}{\sqrt{1-x^2}}

y=Arctanxy=\mathrm{Arctan}\:x のとき y=11+x2y'=\dfrac{1}{1+x^2}

逆関数の微分を求めるよい練習問題です。入試でも逆三角関数の微分にまつわる問題がたまに出題されます。→逆関数の微分公式を例題と図で理解する

証明

Arcsin\mathrm{Arcsin} について

y=Arcsinxy=\mathrm{Arcsin} x

のとき x=sinyx=\sin y の両辺を xx で微分して,

1=ycosy1=y'\cos y

よって y=1cosyy'=\dfrac{1}{\cos y}

また,π2yπ2-\dfrac{\pi}{2}\leq y\leq \dfrac{\pi}{2} より,

cosy=1sin2y=1x2\cos y=\sqrt{1-\sin^2 y}=\sqrt{1-x^2}

となり目標の公式を得る。

Arccos\mathrm{Arccos} についても同様。

Arctan\mathrm{Arctan} について

y=Arctanxy=\mathrm{Arctan} x

のとき x=tanyx=\tan y の両辺を xx で微分して,

1=y1cos2y1=y'\dfrac{1}{\cos^2 y}

よって y=cos2y=11+tan2y=11+x2y'=\cos^2 y=\dfrac{1}{1+\tan^2y}=\dfrac{1}{1+x^2}

となり目標の公式を得る。

逆三角関数にまつわる積分公式

1a2x2dx=Arcsinxa+C\displaystyle\int\dfrac{1}{\sqrt{a^2-x^2}}dx=\mathrm{Arcsin} \dfrac{x}{a}+C

1a2+x2dx=1aArctanxa+C\displaystyle\int\dfrac{1}{a^2+x^2}dx=\dfrac{1}{a}\mathrm{Arctan} \dfrac{x}{a}+C

さきほどの微分公式と合成関数の微分を用いて右辺を微分すると,左辺と一致することが分かります。

このように 不定積分にすると Arcsin\mathrm{Arcsin} などが明示的に出てしまうので高校数学の範囲では定積分しか出題されません。

  • 1a2x2\dfrac{1}{\sqrt{a^2-x^2}} の定積分は x=asinθ(x=acosθ)x=a\sin\theta\:(x=a\cos\theta) と置換するとうまくいく。

  • 1a2+x2\dfrac{1}{a^2+x^2} の定積分は x=atanθx=a\tan\theta と置換するとうまくいく。

というのは逆三角関数の微分公式のおかげということですね。

三角関数の「逆関数」を紹介しました。三角関数の「逆数」は,また別の関数になります。→sec, cosec, cotと記号の意味

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ

Tag:積分公式一覧