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因数定理とその重解バージョンの証明

更新日時 2021/03/07
因数定理

多項式 f(x)f(x)(xa)(x-a) を因数に持つ     f(a)=0\iff f(a)=0

因数定理は多項式の因数分解に使える強力な定理です。因数定理とその拡張を証明します。

目次
  • 因数定理の証明

  • 因数定理の応用

  • 因数定理の拡張

  • 重解バージョンの証明

因数定理の証明

因数定理の証明方法は剰余の定理と全く同じです(というよりも剰余の定理の特殊ケース)。→剰余の定理の証明と応用

因数定理の証明

多項式 f(x)f(x)(xa)(x-a) で割ったときの商を Q(x)Q(x),余りを RR とおくと,

f(x)=(xa)Q(x)+Rf(x)=(x-a)Q(x)+R

両辺に x=ax=a を代入して,f(a)=Rf(a)=R

よって,f(x)f(x)(xa)(x-a) を因数に持つ(つまり f(x)f(x)xax-a で割り切れる)必要十分条件は R=0R=0 。つまり,f(a)=0f(a)=0 である。

因数定理の応用

因数定理より,f(a)=0f(a)=0 なら多項式 f(x)f(x)(xa)(x-a) を因数に持つと言えます。

三次以上の多項式を因数分解したり,三次以上の方程式を解くときに役立ちます。

例題

三次方程式 x36x2+11x6=0x^3-6x^2+11x-6=0 を解け。

解答

f(x)=x36x2+11x6f(x)=x^3-6x^2+11x-6 とおく。 f(1)=16+116=0f(1)=1-6+11-6=0 より f(x)f(x)(x1)(x-1) を因数に持つ。実際割り算を行うと,f(x)=(x1)(x25x+6)f(x)=(x-1)(x^2-5x+6) となる。さらに因数分解すると,f(x)=(x1)(x2)(x3)f(x)=(x-1)(x-2)(x-3) を得る。

よって,求める解は x=1,2,3x=1,2,3

注:因数定理を適用するときの aa の見つけ方は方程式の有理数解を参照して下さい。

因数定理の拡張

因数定理の kk 重解バージョンです。

因数定理(重解バージョン)

f(x)f(x)nn 次多項式,kknn 以下の正の整数とする。このとき,

多項式 f(x)f(x)(xa)k(x-a)^k で割り切れる     f(a)=f(a)==f(k1)(a)=0\iff f(a)=f'(a)=\cdots =f^{(k-1)}(a)=0

f(t)(x)f^{(t)}(x)f(x)f(x)tt 階微分を表します。

k=1k=1 の場合が普通の因数定理です。

f(x)=x32x2+xf(x)=x^3-2x^2+x とすると,f(x)=3x24x+1f'(x)=3x^2-4x+1 である。 f(1)=f(1)=0f(1)=f'(1)=0 なので f(x)f(x)(x1)2(x-1)^2 を因数に持つ。

実際に因数分解すると f(x)=x(x1)2f(x)=x(x-1)^2

重解バージョンの証明

因数定理の重解バージョンを証明します。細部まできちんと理解するのはけっこう大変です!

まずは高校数学の範囲で証明します。

証明

f(x)f(x)(xa)k(x-a)^k で割った商を Q(x)Q(x) ,余りを R(x)R(x) とおく。 R(x)R(x)k1k-1 次以下の多項式なので,適切に係数 cic_i を定めることで R(x)=i=0k1ci(xa)iR(x)=\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}c_i(x-a)^i と書ける(→注1)。

よって,f(x)=(xa)kQ(x)+i=0k1ci(xa)if(x)=(x-a)^kQ(x)+\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}c_i(x-a)^i

両辺を xxt(0tk1)t\:(0\leq t\leq k-1) 回微分して x=ax=a を代入すると(→注2),f(t)(a)=t!ctf^{(t)}(a)=t!c_t

したがって,

f(x)f(x)(xa)k(x-a)^k で割り切れる

    c0=c1==ck1=0\iff c_0=c_1=\cdots =c_{k-1}=0

    f(a)=f(a)==f(k1)(a)=0\iff f(a)=f'(a)=\cdots =f^{(k-1)}(a)=0

注1: k1k-1 次多項式は i=0k1bixi\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}b_ix^i と表すのが一般的だが,この各項を以下のように変形することで R(x)=i=0k1ci(xa)iR(x)=\displaystyle\sum_{i=0}^{k-1}c_i(x-a)^i の形で表示することもできる。

bixi=bi(xa+a)i=bit=0iiCtait(xa)tb_ix^i=b_i(x-a+a)^i=b_i\displaystyle\sum_{t=0}^i{}_i\mathrm{C}_ta^{i-t}(x-a)^t

注2: (xa)kQ(x)(x-a)^kQ(x) の部分は積の微分公式を使うことにより 00 となることが分かる。後ろの部分は (xa)i(x-a)^i の微分が i(xa)i1i(x-a)^{i-1} であることを使うと,ほとんどの項(i=ti=t の項以外)が 00 になることが分かる。

次に別の証明方法。上記の証明方法と似ていますが,こちらではテイラーの定理を使います。テイラーの定理の例と証明

証明

f(x)f(x)nn 次多項式のとき,テイラーの定理より(x=ax=a でテイラー展開する),

f(x)=t=0nf(t)(a)t!(xa)tf(x)=\displaystyle\sum_{t=0}^{n}\dfrac{f^{(t)}(a)}{t!}(x-a)^{t}

n+1n+1 次導関数は 00 となることに注意)

よって,f(x)f(x)(xa)k(x-a)^k で割った余りは R(x)=t=0k1f(t)(a)t!(xa)tR(x)=\displaystyle\sum_{t=0}^{k-1}\dfrac{f^{(t)}(a)}{t!}(x-a)^{t} である。

したがって,

f(x)f(x)(xa)k(x-a)^k で割り切れる

    R(x)=0\iff R(x)=0

    f(a)=f(a)==f(k1)(a)=0\iff f(a)=f'(a)=\cdots =f^{(k-1)}(a)=0

久しぶりに「高校数学+アルファ」な記事が書けました。

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