組立除法のやり方と例題3問
組立除法とは,多項式の割り算において商と余りを素早く求める手法です。
組立除法の例題,やり方,原理(正しさの証明)を解説します。
組立除法の例題
組立除法の例題
組立除法とは,以下の例題のように多項式 の余りと商を素早く求める手法です。
を で割った商と余りを求めよ。
組立除法の手順は以下の3つ。
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手順1:割られる式の係数を横に並べる。この場合, の係数
そして,割る式 の を右上に置く。この場合 -
手順2:下に行くときは縦に足す,右上に行くときは 倍(今回は )する,という手順で,順々に「下,右上,下,右上」と数字を書いていく。今回は →→→→ のように,足し算と 倍を繰り返す。
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手順3:三行目に並んだものの右端が余り,それ以外が商。つまり,商は ,余りは である。
組立除法のやり方
組立除法のやり方
上記の例題で述べた組立除法のやり方を整理します。
割られる多項式が三次式 の場合を考えます。一般の 次式の場合も全く同じです。
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手順1:割られる式の係数を横に並べる。 そして,割る式 の を右上に置く。
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手順2:下に行くときは縦に足す,右上に行くときは 倍という手順で,順々に「下,右上,下,右上」と数字を書いていく。
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手順3:三行目に並んだものの右端が余り,それ以外が商
組立除法の補足
組立除法の補足
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手順3の補足:一般に 次式を一次式で割った商は 次式,余りは0次式(定数)になります。三行目の右端の数字が余りに,それ以外の数字が 次式の商に対応します。
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実際に組立除法を使うときは,丸や矢印を書く必要はありません。
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組立除法に慣れたら筆算より圧倒的に速いです。
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係数比較を暗算でできる人は,わざわざ組立除法を覚える必要はありません。
組立除法の発展問題
組立除法の発展問題
組立除法を使う例題をさらに2問解説します。例題で慣れて下さい!
を で割った商と余りを求めよ。
手順1:係数 を並べる, を右上に書く。
手順2:丸を埋める。下向きは足し算,右上は 倍
手順3:商は ,余りは である。
- このように三次式でなくても組立除法は使えます。
- 割られる式や割る式が分数でも使えます。
- 割られる式に係数 の項がある場合は何も書かないのではなく を書くことに注意。
を で割り算せよ。
割る式が 型でないと直接組立除法は使えないので,まずは で割り算してからあとで 倍します。
と に対して組立除法を実行すると,商は ,余りは と分かる(実際に手を動かしてやってみてください!)。つまり, 。これを変形して を作り出す (割る式を二倍すると商は 倍される):
よって,商は ,余りは 。
- 例題3のように 割る式の一次の係数が でなくても(手間は少し増えますが)組立除法は使えます。つまり,組立除法は任意の一次式 の割り算に使えます!
組立除法の原理
組立除法の原理
最後に組立除法の原理(正しさの証明)をします。表記簡略化のため,割られる式が3次式の場合で証明します(一般の 次式でも全く同様です)。
組立除法で得た商と思われる式を ,余りと思われる値を とおく。組立除法のやり方より,
が成立する。
つまり,移項すると
が成立する(※)。
このとき,割り算の等式
がたしかに成立していることを確認すれば良い。右辺を展開すると,
よって,割り算の等式は,(※)より各係数が両辺で等しいので確かに成立している。
試験では組立除法を使って計算した上で,割り算した後の式を展開してきちんと元に戻るか検算しましょう。