べき関数(y=x^n)の微分公式の3通りの証明
べき関数の微分公式と,その証明を解説します。
べき関数の微分
べき関数の微分
任意の正の整数 に対し,
例えば とすると,
の微分は
の微分は
の微分は
であることが分かります。
より一般に,任意の実数 に対し,
例えば とすると,
の微分は
の微分は
であることが分かります。
二項定理を用いた定番の証明
二項定理を用いた定番の証明
以下では,公式1のいろいろな証明を紹介します。3番目の方法は公式2の証明にも適用できます。
ほとんどの教科書で採用されている定番&自然な方法です。
数学的帰納法による証明
数学的帰納法による証明
積の微分公式と数学的帰納法を用いる方法です。自然数に対する命題の証明には数学的帰納法!
に関する数学的帰納法で証明する。
-
のとき, の微分は となり公式は正しい
-
のとき正しい,つまり と仮定すると,積の微分公式より
となり のときも正しい。
対数微分法による証明
対数微分法による証明
対数微分法 を用いて証明することもできます。
・ の範囲について
の両辺の対数を取ると,
両辺を で微分すると,
よって,
・ の範囲について
が偶数のとき, は奇関数。
が奇数のとき, は偶関数(定義からも分かるし,グラフの形状からも分かる)である。これと の場合の結果よりOK。
・ について
微分係数の定義より,
となり, を満たしている。
べき関数 の微分公式の証明に,より難しい関数 の微分公式を用いるので,私はあまり好きではありません。ただ,この方法を使えばより一般の場合(冒頭の公式2)も証明できます。
追記:因数分解を用いた証明
追記:因数分解を用いた証明
読者の方に,4つめの証明方法を教えていただきました!
因数分解公式(n乗の差,和)で紹介した, の因数分解公式を使って証明します。
微分の定義より, の導関数は,
ここで,分子を因数分解すると,
となる。
これを で割って とすると,各項が に収束する。また,項の数は である。よって,求める導関数は となる。
さらに, の因数分解公式をもう一度使うと,( は正の整数)の微分公式も証明できてしまいます!
具体的には, に対して, とした上で同じように計算します。すると,導関数が になることがわかります。
追記:合成関数の微分を使った導出
追記:合成関数の微分を使った導出
の微分公式と合成関数の微分公式を認めた上で, の微分公式を導出する方法です。
左辺に合成関数の微分公式,右辺に の微分公式を使うと,
よって,
こちらも読者の方から教えていただいた導出です!
xのn乗の微分とaのx乗の微分は大違いです。混同する人が多いので注意して下さい。
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