べき関数(y=x^n)の微分公式の3通りの証明

べき関数の微分公式と,その証明を解説します。

べき関数の微分

公式1

任意の正の整数 nn に対し,(xn)′=nxn−1(x^n)'=nx^{n-1}

例えば n=2,3,4n=2,3,4 とすると,

x2x^2 の微分は 2x2x

x3x^3 の微分は 3x23x^2

x4x^4 の微分は 4x34x^3

であることが分かります。

公式2

より一般に,任意の実数 α\alpha に対し,(xα)′=αxα−1(x^{\alpha})'=\alpha x^{\alpha-1}

例えば α=−1,12\alpha=-1,\dfrac{1}{2} とすると,

1x\dfrac{1}{x} の微分は −1x2-\dfrac{1}{x^2}

x\sqrt{x} の微分は 12x\dfrac{1}{2\sqrt{x}}

であることが分かります。

二項定理を用いた定番の証明

以下では,公式1のいろいろな証明を紹介します。3番目の方法は公式2の証明にも適用できます。

ほとんどの教科書で採用されている定番&自然な方法です。

証明

微分の定義より,xnx^n の導関数は,

lim⁡h→0(x+h)n−xnh\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)^n-x^n}{h}

この分子を二項定理を用いて展開すると,

lim⁡h→0nhxn−1+nC2h2xn−2+⋯+hnh\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{nhx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2h^2x^{n-2}+\cdots +h^n}{h}

lim⁡h→0(nxn−1+nC2hxn−2+⋯+hn−1)=nxn−1\displaystyle\lim_{h\to 0}(nx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2hx^{n-2}+\cdots +h^{n-1}) =nx^{n-1}

を得る(第二項以降は h→0h\to 0 で全部消える)。

数学的帰納法による証明

積の微分公式と数学的帰納法を用いる方法です。自然数に対する命題の証明には数学的帰納法!

証明

nn に関する数学的帰納法で証明する。

  • n=1n=1 のとき,xx の微分は lim⁡h→0(x+h)−xh=1\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)-x}{h}=1 となり公式は正しい

  • n=kn=k のとき正しい,つまり (xk)′=kxk−1(x^k)'=kx^{k-1} と仮定すると,積の微分公式より
    (xk+1)′=(x⋅xk)′(x^{k+1})'=(x\cdot x^k)' =1⋅xk+x⋅(kxk−1)=(k+1)xk=1\cdot x^k+x\cdot (kx^{k-1}) =(k+1)x^k となり n=k+1n=k+1 のときも正しい。

対数微分法による証明

対数微分法 を用いて証明することもできます。

証明

・ x>0x > 0 の範囲について

y=xny=x^n の両辺の対数を取ると,log⁡y=nlog⁡x\log y=n\log x

両辺を xx で微分すると,y′y=nx\dfrac{y'}{y}=\dfrac{n}{x}

よって,y′=nyx=nxn−1y'=\dfrac{ny}{x}=nx^{n-1}

・ x<0x <0 の範囲について

nn が偶数のとき,f′(x)f'(x) は奇関数。

nn が奇数のとき,f′(x)f'(x) は偶関数(定義からも分かるし,グラフの形状からも分かる)である。これと x>0x > 0 の場合の結果よりOK。

・ x=0x=0 について

微分係数の定義より,lim⁡h→0hnh={1n=10n≠1\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{h^{n}}{h}= \begin{cases} 1&n=1\\ 0&n\neq 1 \end{cases}

となり,y′=nxn−1y'=nx^{n-1} を満たしている。

べき関数 y=xny=x^n の微分公式の証明に,より難しい関数 y=log⁡xy=\log x の微分公式を用いるので,私はあまり好きではありません。ただ,この方法を使えばより一般の場合(冒頭の公式2)も証明できます。

追記:因数分解を用いた証明

読者の方に,4つめの証明方法を教えていただきました!

因数分解公式(n乗の差,和)で紹介した,an−bna^n-b^n の因数分解公式を使って証明します。

証明

微分の定義より,xnx^n の導関数は,

lim⁡h→0(x+h)n−xnh\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{(x+h)^n-x^n}{h}

ここで,分子を因数分解すると,

(x+h)n−xn=h{(x+h)n−1+(x+h)n−2x+⋯+xn−1}(x+h)^n-x^n\\ =h\{(x+h)^{n-1}+(x+h)^{n-2}x+\dots +x^{n-1}\}

となる。

これを hh で割って h→0h\to 0 とすると,各項が xn−1x^{n-1} に収束する。また,項の数は nn である。よって,求める導関数は nxn−1nx^{n-1} となる。

さらに,an−bna^n-b^n の因数分解公式をもう一度使うと,xnmx^{\frac{n}{m}}(m,nm, n は正の整数)の微分公式も証明できてしまいます!

具体的には,a−b=am−bmam−1+am−2b+⋯+bm−1a-b=\dfrac{a^m-b^m}{a^{m-1}+a^{m-2}b+\dots +b^{m-1}} に対して,a=(x+h)nm,b=xnma=(x+h)^{\frac{n}{m}},b=x^{\frac{n}{m}} とした上で同じように計算します。すると,導関数が nmxnm−1\dfrac{n}{m}x^{\frac{n}{m}-1} になることがわかります。

追記:合成関数の微分を使った導出

xnx^n の微分公式と合成関数の微分公式を認めた上で,xnmx^{\frac{n}{m}} の微分公式を導出する方法です。

ddx{(xnm)m}=ddx(xn)\dfrac{d}{dx}\left\{(x^{\frac{n}{m}})^m\right\}=\dfrac{d}{dx}(x^n)

左辺に合成関数の微分公式,右辺に xnx^n の微分公式を使うと, m(xnm)m−1ddx(xnm)=nxn−1m(x^{\frac{n}{m}})^{m-1}\dfrac{d}{dx}(x^{\frac{n}{m}})=nx^{n-1}

よって,
ddx(xnm)=nxn−1m(xnm)m−1=nmxn−1−n+nm=nmxnm−1\dfrac{d}{dx}(x^{\frac{n}{m}})=\dfrac{nx^{n-1}}{m(x^{\frac{n}{m}})^{m-1}}\\ =\dfrac{n}{m}x^{n-1-n+\frac{n}{m}}\\ =\dfrac{n}{m}x^{\frac{n}{m}-1}

こちらも読者の方から教えていただいた導出です!

xのn乗の微分とaのx乗の微分は大違いです。混同する人が多いので注意して下さい。

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