二項定理の意味と係数を求める例題・2通りの証明

更新日時 2022/10/06
二項定理

二項定理とは,nn 乗の式を展開するための以下の公式のこと: (a+b)n=k=0nnCkankbk (a+b)^n = \sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{n-k}b^{k}

二項定理(英:binomial theorem)は見た目が少し複雑ですが,慣れてしまえば難しくありません。二項定理の意味と,二項定理の2通りの証明を解説します。

目次
  • 二項定理の公式の意味

  • 例題

  • パスカルの三角形と二項係数の関係

  • 二項定理の頻出形

  • 二項定理の証明1

  • 二項定理の証明2

二項定理の公式の意味

二項定理は,

(a+b)n(a+b)^n を展開したときの各項の係数は nCk{}_{n}\mathrm{C}_k になる」

という定理です。

例えば,二項定理で n=3n=3 の場合を書き下してみると,

(a+b)3=k=033Cka3kbk=3C0a3+3C1a2b+3C2ab2+3C3b3\begin{aligned} (a+b)^3 &= \sum_{k=0}^3{}_3\mathrm{C}_ka^{3-k}b^{k}\\ &={}_3\mathrm{C}_0a^3+{}_3\mathrm{C}_1a^2b+{}_3\mathrm{C}_2ab^2+{}_3\mathrm{C}_3b^3 \end{aligned}

となります。

二項定理を理解するために必要な知識

k=0n\displaystyle\sum_{k=0}^n とは「kk00 から nn まで順番に代入して足し算する」という意味です。

また,nCk{}_n\mathrm{C}_k とは,nn 個から kk 個を選ぶ組合せの数(二項係数)です。 →順列と組合せの違いと例題

例題

二項定理を用いて係数を計算する

(a+b)5(a+b)^5 を展開したときの a2b3a^2b^3 の係数を計算せよ。

二項定理より, (a+b)5=k=055Cka5kbk (a+b)^5=\displaystyle\sum_{k=0}^5{}_5\mathrm{C}_ka^{5-k}b^{k} となる。よって,a2b3a^2b^3 が現れる項は k=3k=3 の部分であり,係数は

5C3=543321=10 {}_5\mathrm{C}_3=\dfrac{5\cdot 4\cdot 3}{3\cdot 2\cdot 1}= 10 である。

例2

(2xy)6(2x-y)^6 を展開したときの x3y3x^3y^3 の係数を計算せよ。

二項定理より, (2xy)6=k=066Ck(2x)6k(y)k (2x-y)^6=\displaystyle\sum_{k=0}^6{}_6\mathrm{C}_k(2x)^{6-k}(-y)^{k} となる。よって,x3y3x^3y^3 が現れる項は k=3k=3 の部分であり,係数は

6C323(1)3=160 {}_6\mathrm{C}_32^3(-1)^3=-160

数列の和への応用

例3

nC0+nC1+nC2++nCn{}_{n} \mathrm{C}_{0} + {}_{n} \mathrm{C}_{1} + {}_{n} \mathrm{C}_{2} + \cdots + {}_{n} \mathrm{C}_{n} を求めよ。

二項定理をうまく当てはめます。

nC0+nC1+nC2++nCn=nC01n10+nC11n111+nC21n212++nCn101n=(1+1)n=2n\begin{aligned} &{}_{n} \mathrm{C}_{0} + {}_{n} \mathrm{C}_{1} + {}_{n} \mathrm{C}_{2} + \cdots + {}_{n} \mathrm{C}_{n}\\ &= {}_{n} \mathrm{C}_{0} 1^n 1^0+ {}_{n} \mathrm{C}_{1} 1^{n-1} 1^1\\ &\quad\quad + {}_{n} \mathrm{C}_{2} 1^{n-2} 1^2 + \cdots + {}_{n} \mathrm{C}_{n} 1^0 1^n\\ &= (1+1)^n\\ &= 2^n \end{aligned}

例4

2nC0+2nC2+2nC4++2nC2n{}_{2n} \mathrm{C}_{0} + {}_{2n} \mathrm{C}_{2} + {}_{2n} \mathrm{C}_{4} + \cdots + {}_{2n} \mathrm{C}_{2n} を求めよ。

例3 の計算と同様にすると 2nC0+2nC1+2nC2++2nC2n=(1+1)2n=22n2nC02nC1+2nC2+2nC2n=(11)2n=0\begin{aligned} &{}_{2n} \mathrm{C}_{0} + {}_{2n} \mathrm{C}_{1} + {}_{2n} \mathrm{C}_{2} + \cdots + {}_{2n} \mathrm{C}_{2n}\\ &= (1+1)^{2n}\\ &= 2^{2n}\\ &{}_{2n} \mathrm{C}_{0} - {}_{2n} \mathrm{C}_{1} + {}_{2n} \mathrm{C}_{2} - \cdots + {}_{2n} \mathrm{C}_{2n}\\ &= (1-1)^{2n}\\ &= 0 \end{aligned} です。これらを足すと 2(2nC0++2nC2n)=22n 2 ( {}_{2n} \mathrm{C}_{0} + \cdots + {}_{2n} \mathrm{C}_{2n} ) = 2^{2n} となります。よって 2nC0+2nC2++2nC2n=22n1 {}_{2n} \mathrm{C}_{0} + {}_{2n} \mathrm{C}_{2} + \cdots + {}_{2n} \mathrm{C}_{2n} = 2^{2n-1} です。

パスカルの三角形と二項係数の関係

パスカルの三角形

以下の2つの規則から作られる三角形をパスカルの三角形という。

  • 最頂点の数と,各行の左右の端の数は全て 11
  • 各行の左右の端以外は,左上の数と右上の数の和

パスカルの三角形

パスカルの三角形における n+1  (n0)n+1 \;(n \geq 0) 行目の数の並びが,(a+b)n(a + b)^n の係数になっています。例えば,(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3 ですが,係数の (1,3,3,1)(1,3,3,1)44 行目に対応しています。

nn があまり大きくない時には,パスカルの三角形の図を書いて計算できます。

パスカルの三角形の面白い性質について,パスカルの三角形の性質とフラクタルの記事で解説をしています。合わせて読んでみてください。

二項定理の頻出形

二項定理で,a=1,b=xa=1,b=x としたバージョン: (1+x)n=k=0nnCkxk (1+x)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_kx^{k} も頻出です。

ちなみに,上式は二項定理の特殊ケースに見えますが,こちらからもとのバージョンを導出することもできます(x=abx=\dfrac{a}{b} とおいて両辺に bnb^n をかける)。

例3

(1+x)100(1+x)^{100} を展開したときの x2x^2 の係数を計算せよ。

答えは,100C2=100992=4950{}_{100}\mathrm{C}_2=\dfrac{100\cdot 99}{2}=4950

二項定理の証明1

二項定理の証明を2つ紹介します。

nCk=nCnk{}_n\mathrm{C}_k={}_n\mathrm{C}_{n-k} なので,二項定理を

(a+b)n=k=0nnCkakbnk (a+b)^n=\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{k}b^{n-k}

と書いてもOKです。後者の式を証明します。

まずは,教科書にも載っている定番の方法です。組合せの議論を用います。

証明

二項定理の証明

n=3n=3 の場合を図に示す。

(a+b)n(a+b)^n を展開したときに出てくる1つの項は,

aabb のうちどちらかを選ぶ」という操作を各カッコに対して行い,選んだものを全てかけあわせたもの。このようにして出てくる項を全て(2n2^n 個)足し合わせると展開式が得られる。

よって,展開後は akbnka^{k}b^{n-k} というタイプの項のみが存在し,その係数は nCk{}_n\mathrm{C}_knn 個のうちどの kk 個のかっこから aa を選ぶのかで nCk{}_n\mathrm{C}_k 通り)である。

二項定理の証明2

教科書には載っていませんが,二項定理を数学的帰納法で証明することもできます。「任意の自然数に対して〜を証明せよ」というタイプの問題で困ったら帰納法にトライです。 →数学的帰納法のパターンまとめ

証明
  • n=1n=1 のときは成立する。

  • n=m1n=m-1 のとき二項定理が成立していると仮定する。 (a+b)m1=k=0m1m1Ckakbm1k (a+b)^{m-1}=\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k} 両辺に (a+b)(a+b) をかける。 (a+b)m=(a+b)(k=0m1m1Ckakbm1k) (a+b)^{m}=(a+b)\left(\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}\right) 右辺を展開したときには akbmka^kb^{m-k} というタイプの項のみが登場し,その係数は m1Ck+m1Ck1{}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1} である。ここで,二項係数の公式より m1Ck+m1Ck1=mCk {}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}={}_{m}\mathrm{C}_k なので n=mn=m のときにも二項定理が成立することが分かった。

最後に用いた二項係数の公式は二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針で解説しています。

2つの証明のうちどちらが分かりやすいかは人による気がしますが,ぜひ両方とも理解してください。

帰納法は泥臭い最後の手段だから推奨しないという方もいますし,帰納法が大好きな友人もいます。私は中立派です。

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