二項定理の意味と2通りの証明

更新日時 2021/03/07

二項定理とは,nn 乗の式を展開するための以下のような公式のこと:

(a+b)n=k=0nnCkankbk(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{n-k}b^{k}

二項定理は見た目が少し複雑ですが,慣れてしまえば難しくありません。 二項定理の意味 と, 二項定理の2通りの証明 を解説します。

目次
  • 二項定理の意味

  • 二項定理の例題

  • 二項定理の頻出形

  • 二項定理の証明1

  • 二項定理の証明2

二項定理の意味

二項定理は,

(a+b)n(a+b)^n を展開したときの各項の係数は nCk{}_{n}\mathrm{C}_k になる」

という定理です。

例えば,二項定理で n=3n=3 の場合を書き下してみると,

(a+b)3=k=033Cka3kbk(a+b)^3=\displaystyle\sum_{k=0}^3{}_3\mathrm{C}_ka^{3-k}b^{k}

=3C0a3+3C1a2b+3C2ab2+3C3b3={}_3\mathrm{C}_0a^3+{}_3\mathrm{C}_1a^2b+{}_3\mathrm{C}_2ab^2+{}_3\mathrm{C}_3b^3

となります。

二項定理を理解するために必要な知識

k=0n\displaystyle\sum_{k=0}^n とは「 kk00 から nn まで順番に代入して足し算する」という意味です。

また,nCk{}_n\mathrm{C}_k とは,nn 個から kk 個を選ぶ組合せの数(二項係数)です。

二項定理の例題

(a+b)5(a+b)^5 を展開したときの a2b3a^2b^3 の係数を計算せよ。

二項定理より,

(a+b)5=k=055Cka5kbk(a+b)^5=\displaystyle\sum_{k=0}^5{}_5\mathrm{C}_ka^{5-k}b^{k}

となる。よって,a2b3a^2b^3 が現れる項は k=3k=3 の部分であり,係数は

5C3=543321=10{}_5\mathrm{C}_3=\dfrac{5\cdot 4\cdot 3}{3\cdot 2\cdot 1}=10

例2

(2xy)6(2x-y)^6 を展開したときの x3y3x^3y^3 の係数を計算せよ。

二項定理より,

(2xy)6=k=066Ck(2x)6k(y)k(2x-y)^6=\displaystyle\sum_{k=0}^6{}_6\mathrm{C}_k(2x)^{6-k}(-y)^{k}

となる。よって,x3y3x^3y^3 が現れる項は k=3k=3 の部分であり,係数は

6C323(1)3=160{}_6\mathrm{C}_32^3(-1)^3=-160

二項定理の頻出形

二項定理で,a=1,b=xa=1,b=x としたバージョン:

(1+x)n=k=0nnCkxk(1+x)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_kx^{k}

も頻出です。

ちなみに,上式は二項定理の特殊ケースに見えますが,こちらからもとのバージョンを導出することもできます(x=abx=\dfrac{a}{b} とおいて両辺に bnb^n をかける)。

例3

(1+x)100(1+x)^{100} を展開したときの x2x^2 の係数を計算せよ。

答えは,100C2=100992=4950{}_{100}\mathrm{C}_2=\dfrac{100\cdot 99}{2}=4950

二項定理の証明1

二項定理:

(a+b)n=k=0nnCkankbk(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{n-k}b^{k}

の証明を2つ紹介します。 nCk=nCnk{}_n\mathrm{C}_k={}_n\mathrm{C}_{n-k} なので,二項定理を

(a+b)n=k=0nnCkakbnk(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{k}b^{n-k}

と書いてもOKです。後者の式を証明します。

まずは,教科書にも載っている定番の方法です。組合せの議論を用います。

証明

二項定理の証明

n=3n=3 の場合を図に示す。

(a+b)n(a+b)^n を展開したときに出てくる1つの項は,

aabb のうちどちらかを選ぶ」という操作を各カッコに対して行い,選んだものを全てかけあわせたもの。このようにして出てくる項を全て(2n2^n 個)足し合わせると展開式が得られる。

よって,展開後は akbnka^{k}b^{n-k} というタイプの項のみが存在し,その係数は nCk{}_n\mathrm{C}_knn 個のうちどの kk 個のかっこから aa を選ぶのかで nCk{}_n\mathrm{C}_k 通り)である。

二項定理の証明2

教科書には載っていませんが,二項定理を数学的帰納法で証明することもできます。「任意の自然数に対して〜を証明せよ」というタイプの問題で困ったら帰納法にトライです。 →数学的帰納法のパターンまとめ

証明

n=1n=1 のとき成立。

n=m1n=m-1 のとき二項定理が成立していると仮定する:

(a+b)m1=k=0m1m1Ckakbm1k(a+b)^{m-1}=\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}

両辺に (a+b)(a+b) をかける:

(a+b)m=(a+b)(k=0m1m1Ckakbm1k)(a+b)^{m}=(a+b)\left(\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}\right)

右辺を展開したときには akbmka^kb^{m-k} というタイプの項のみが登場し,その係数は m1Ck+m1Ck1{}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}

ここで,二項係数の公式より m1Ck+m1Ck1=mCk{}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}={}_{m}\mathrm{C}_k なので n=mn=m のときにも二項定理が成立することが分かった。

最後に用いた二項係数の公式は二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針で解説しています。

2つの証明のうちどちらが分かりやすいかは人による気がしますが,ぜひ両方とも理解してください。

帰納法は泥臭い最後の手段だから推奨しないという方もいますし,帰納法が大好きな友人もいます。私は中立派です。

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