二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針
- 二項係数の有名公式を紹介していきます。
- 二項係数の関係式を証明するための2通りのアプローチを紹介します。
二項係数とは
二項係数とは
- 個のものから 個を(順番を考慮せず)選ぶ組合せの数です。
- と書きます。 と書くこともあります。
- 具体的には,です。
- このページでは, は正の整数, は 以上 以下の整数とします。
二項係数の基本的な公式
二項係数の基本的な公式
二項係数の基本的な公式を2つ紹介します。それぞれ2通りの証明を解説します。
「パスカルの三角形は左右対称」という意味の式です。
個のものから 個のものを選ぶ組み合わせの数は, 個の「選ばないものを選ぶ」組み合わせの数に等しい。
次は,パスカルの三角形で「上の2つの数字の和が下と等しい」という性質です。
(特定のものAを含む) 個のものから 個のものを選ぶ組み合わせの数は
「Aを選ばず残り
個の中から
個のものを選ぶ組み合わせの数」
+「Aを選び残り
個の中から
個のものを選ぶ組み合わせの数」
に等しい。
右辺を変形していく。
二項係数の関係式の証明方針
二項係数の関係式の証明方針
上の2つの公式の証明で見たように,二項係数の関係式は多くの場合,組み合わせの意味を考える方法でも という定義式を使って計算する方法でも証明できます。
- 組み合わせの意味を考える方法は,ひらめきが必要になりますが,美しい場合が多く気合いも必要ないです。
- 定義式を使って計算する方法は,公式の組み合わせ的な意味を忘れて計算していきます。機械的な計算で証明できることが多いですが,複雑な公式の証明では計算が大変で気合いが必要です。
重要なのは,同じ公式を代数的にも組み合わせ的にも捉えることができる,ということです。代数的によくわからなくて覚えづらい公式も組み合わせ的な意味を考えればスッキリすることがあるし,逆もまた然りです。
また,二項係数の和に関する等式は二項定理を使って証明することも多いです。
整数問題に応用できる公式
整数問題に応用できる公式
人から 人採り,1人をリーダーにする組み合わせの数を2通りの方法で考える。
「
人の中から
人選んでそのグループのリーダーを選ぶ組み合わせの数」
=「
人の中から1人リーダーを選んで残り
人から
人選ぶ組み合わせの数」
性質3より,以下がわかります。
「 が素数で のとき は の倍数となる」
この事実は,難関大学の入試や数学オリンピックで役立つことがあるので頭の片隅にとどめておくとよいでしょう。
より複雑な関係式
より複雑な関係式
→証明は 二項係数の和,二乗和,三乗和
→証明は ヴァンデルモンドの畳み込み
3通りの証明方法を紹介する。
→証明は 二項係数の上界・下界を与える4つの不等式
に対して,
名前がおもしろいです。性質2(パスカルの法則)を繰り返し使えば簡単に証明できます。わかりにくければパスカルの三角形を書いてみてください。
1つの公式を複数の観点で理解することで,応用の幅が広がります。他にもおもしろい二項係数の等式があればぜひ教えてください。