シンプソンの公式の証明と例題
が3次以下の関数のとき,
3次関数の定積分を素早く計算(検算)できます!
シンプソンの公式の応用例
シンプソンの公式の応用例
シンプソンの公式は,3次以下の関数の定積分の計算に使える便利な公式です。
の値を求めよ。
被積分関数を とおくと,シンプソンの公式より
ここで,
より,求める値は,
この例題をシンプソンの公式を使わずに愚直に計算すると,めんどうな分数計算が必要です。
シンプソンの公式は,面積や体積を求めるときにも使えます。面積や体積の計算に3次関数の定積分がしばしば出現するためです。
シンプソンの公式の意味
シンプソンの公式の意味
シンプソンの公式
は,見た目は複雑ですが意味は単純です。
- 定積分=面積=幅×平均の高さ
- 幅は
- 平均の高さを と見積もる
という発想です。平均の高さを,区間の端だけでなく真ん中も使って見積もるのが面白いです。重みが 1:4:1 なのは,そうするとうまくいくからです(後ほどきちんと証明します)。
シンプソンの公式は「1:4:1の重み付き平均で面積を概算したもの」と覚えればよいのです。
ちなみに,平均の高さを「平均の高さ 」と見積もると台形近似公式になります。
シンプソンの公式の証明
シンプソンの公式の証明
証明は素直に計算するだけなので簡単です。
とおいて頑張って計算すると,
左辺の6倍は,
右辺の6倍は,
これらは等しい!( の係数を比較すればわりと簡単に確認できる)
もう一つシンプソンの公式の導出方法を紹介します。これは3次関数の場合のきちんとした証明にはなっていませんが,シンプソンの公式を拡張する際に使える重要な考え方です。
任意の関数 に対して定積分 の値を概算したい。
そこで, で と同じ値を取る2次関数 をラグランジュの補間公式により求める。 つまり, に似ていて よりも扱いやすい関数 を持ってきてそちらを使う。
この を積分してやるとシンプソンの公式の右辺が出てくる。
が2次関数のときは当然 なのでシンプソンの公式は成立するわけだが,実は が3次関数のときも積分値は一致する。
シンプソンの公式は応用上は3次関数の計算というよりも,数値積分(コンピュータ上で難しい関数の定積分の値を計算する)という分野で活躍する公式です。