アステロイド曲線の重要な性質まとめ

x23+y23=a23x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}}=a^{\frac{2}{3}} で表される曲線をアステロイド曲線(星芒形)と呼ぶ。

アステロイド曲線の媒介変数表示

アステロイド

  • アステロイド曲線は媒介変数 θ\theta を用いて x=acos3θ,y=asin3θx=a\cos^3 \theta, y=a\sin^3\theta と表すことができます。

  • アステロイド曲線は,半径 aa の円内を半径 a4\dfrac{a}{4} の円が滑らずに転がるときの1点(図の青い点)の軌跡として表されます。 サイクロイド曲線の軌跡と同様にして以下のように証明できます。

媒介変数表示の導出

アステロイドの表示

θ\theta 回転したあと円の中心 BB(34acosθ,34asinθ)\left(\dfrac{3}{4}a\cos\theta, \dfrac{3}{4}a\sin\theta\right) となる。

また,BXBXxx 軸の正の向きがなす角は α\alpha は,

a4(α+θ)=aθ\dfrac{a}{4}(\alpha+\theta)=a\theta を満たすので,

BXundefined=(a4cos3θ,a4sin3θ)\overrightarrow{BX}=\left(\dfrac{a}{4}\cos 3\theta, -\dfrac{a}{4}\sin 3\theta\right)

よって,XX の座標は,三倍角の公式を用いることにより

OBundefined+BXundefined=(acos3θ,asin3θ)\overrightarrow{OB}+\overrightarrow{BX}=(a\cos^3\theta, a\sin^3 \theta)

であることが分かり,アステロイドの媒介変数表示と一致する。

アステロイドと線分の通過領域

定理

長さ aa の線分が移動(両端点はそれぞれ xx 軸,yy 軸上を動く)するときの包絡線はアステロイド曲線 x23+y23=a23x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}}=a^{\frac{2}{3}} になる。 アステロイドと包絡線

線分の通過領域の境界がアステロイド曲線になります(赤い線分はすべて長さ aa でアステロイドに接する)。

証明1の概略

包絡線の求め方と例題で述べた定理を使う。

線分の方程式は xacost+yasint=1\dfrac{x}{a\cos t}+\dfrac{y}{a\sin t}=1 つまり xsint+ycost=a2sintcostx\sin t+y\cos t=a^2\sin t\cos t この式の両辺を tt で微分すると, xcostysint=a2(cos2tsin2t)x\cos t-y\sin t=a^2(\cos^2t-\sin^2 t) この2式を連立させて tt を消去すると x23+y23=a23x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}}=a^{\frac{2}{3}}

証明2

線分の方程式 y=asintxtanty=a\sin t-x\tan t において,xx を固定して tt00 から π2\dfrac{\pi}{2} まで動くときの yy の最大を求める。微分すると, y=acostx1cos2ty'=a\cos t-x\dfrac{1}{\cos^2 t} よって cos3t=xa\cos^3t=\dfrac{x}{a} のとき yy が最大。もとの線分の方程式 xacost+yasint=1\dfrac{x}{a\cos t}+\dfrac{y}{a\sin t}=1 に代入すると cos2t+yasint=1\cos^2 t+\dfrac{y}{a\sin t}=1 より sin3t=ya\sin^3t=\dfrac{y}{a}

以上2式より tt を消去すると x23+y23=a23x^{\frac{2}{3}}+y^{\frac{2}{3}}=a^{\frac{2}{3}}

アステロイド曲線の面積

「媒介変数表示された曲線で囲まれた部分の面積公式」に従ってひたすら計算します。入試問題としてはややきつめの計算量です。

面積 S を求める

対称性より,第一象限の面積を計算して 44 倍すればよい。

S=40aydx=4π20asin3θdxdθdθ=4π20asin3θ(3asinθcos2θ)dθ=12a20π2sin4θcos2θdθ=12a2(0π2sin4θdθ0π2sin6θdθ)\begin{aligned} S &= 4 \int_0^{a}ydx\\ &=4 \int_{\frac{\pi}{2}}^{0}a\sin^3\theta\dfrac{dx}{d\theta}d\theta\\ &=4 \int_{\frac{\pi}{2}}^{0}a\sin^3\theta\cdot (-3a\sin\theta\cos^2\theta)d\theta\\ &=12a^2 \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^4\theta\cos^2\theta d\theta\\ &=12a^2 \left( \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^4\theta d\theta-\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^6\theta d\theta \right) \end{aligned}

この積分計算は,部分積分と漸化式を用いて頑張る(→ウォリス積分~sinのn乗,cosのn乗の積分公式):

S=12a2(156)3412π2=38πa2 S=12a^2\left(1-\dfrac{5}{6}\right)\dfrac{3}{4}\dfrac{1}{2}\dfrac{\pi}{2}=\dfrac{3}{8}\pi a^2

積分計算の別解

S=12a20π2sin4θcos2θdθS = 12a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^4\theta\cos^2\theta d\theta

を計算する。対称性を用いた定積分の計算(King Property) を使う。t=π2θt=\dfrac{\pi}{2}-\theta と置換すると,

S=12a20π2sin2θcos4θdθS = 12a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^2\theta\cos^4\theta d\theta

である。よって, S+S=12a20π2sin2θcos2θdθS+S=12a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^2\theta\cos^2\theta d\theta

よって,S=32a20π2sin22θdθ=32a2×120π2(1cos4θ)dθ=38πa2\begin{aligned}S&=\dfrac{3}{2}a^2\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^2 2\theta d\theta\\&=\dfrac{3}{2}a^2\times\dfrac{1}{2}\int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\cos 4\theta )d\theta\\ &=\dfrac{3}{8}\pi a^2\end{aligned}

アステロイド曲線の長さ

「媒介変数表示された曲線の長さの公式」を用いて計算します。→曲線の長さを計算する積分公式(弧長積分)

面積より計算量は少ないです。

曲線の長さを求める

対称性より,第一象限の長さを計算して 44 倍すればよい。

l=40π2(dxdθ)2+(dydθ)2dθ=4a0π29cos2θsin2θ(cos2θ+sin2θ)dθ=6a0π2sin2θdθ=6a\begin{aligned} l &= 4 \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{(\dfrac{dx}{d\theta})^2+(\dfrac{dy}{d\theta})^2}d\theta\\ &= 4a \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{9\cos^2\theta\sin^2 \theta(\cos^2\theta+\sin^2\theta)}d\theta\\ &= 6a \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin 2\theta d\theta\\ &= 6a \end{aligned}

名前もグラフの概形もかっこいいので,好きな曲線ランキングがあったらNo1でしょう