三次関数の極値を求める2通りの方法

三次関数の極値について,普通に代入する素直な方法と,多項式の割り算を使う方法を紹介します。

極値を持つ条件

三次関数 f(x)=Ax3+Bx2+Cx+Df(x)=Ax^3+Bx^2+Cx+D について,

f(x)=3Ax2+2Bx+Cf'(x)=3Ax^2+2Bx+C に注意すると)

f(x)f(x) が極大値と極小値を1つずつ持つ
    f(x)=0\iff f'(x)=0 が相異なる2つの実数解を持つ
    f(x)\iff f'(x) の判別式が正
    B23AC>0\iff B^2-3AC > 0

f(x)f(x) が極値を持たない
    f(x)=0\iff f'(x)=0 の実数解が1つ以下
    f(x)\iff f'(x) の判別式が 00 以下
    B23AC0\iff B^2-3AC \leq 0

極値を計算する素直な方法

導関数 f(x)f'(x) の符号が変わるところで極値をとります。

例題

f(x)=x3+3x29x+1f(x)=x^3+3x^2-9x+1 の極値を求めよ。

解答1

f(x)=3x2+6x9=3(x2+2x3)=3(x+3)(x1)f'(x)=3x^2+6x-9\\ =3(x^2+2x-3)\\ =3(x+3)(x-1)

よって,

x=3x=-3 で,f(x)f'(x) がプラスからマイナスに変わるので極大値を取り,その値は

(3)3+3(3)29(3)+1=27+27+27+1=28(-3)^3+3(-3)^2-9(-3)+1\\ =-27+27+27+1=28

また,

x=1x=1 で,f(x)f'(x) がマイナスからプラスに変わるの極小値を取り,その値は

1+39+1=41+3-9+1=-4

多項式の割り算を使う方法

極値を計算する際に,f(x)f(x)f(x)f'(x) で割るという方法もあります。

解答2

f(x)=x3+3x29x+1f(x)=x^3+3x^2-9x+1f(x)3=x2+2x3\dfrac{f'(x)}{3}=x^2+2x-3 で割ると,

x3+3x29x+1=(x2+2x3)(x+1)8x+4x^3+3x^2-9x+1\\ =(x^2+2x-3)(x+1)-8x+4

ここで,

f(3)=f(1)=0f'(-3)=f'(1)=0 なので,

極大値は,f(3)=8(3)+4=28f(-3)=-8(-3)+4=28

極小値は,f(1)=8+4=4f(1)=-8+4=-4

※この例題では,普通に計算する解答1の方が計算が楽です。しかし,f(x)=0f'(x)=0 の解が,3±52\dfrac{3\pm\sqrt{5}}{2} のように複雑になると,解答2の方が楽な場合もあります。

一般の場合

三次関数 f(x)=x3+ax2+bx+cf(x)=x^3+ax^2+bx+c の極値を,上記の2通りの方法で計算してみましょう(関数を 1A\dfrac{1}{A} 倍しても極値は 1A\dfrac{1}{A} 倍になるだけなので,三次の係数は 11 のものを考えました)。

方法1

f(x)=3x2+2ax+bf'(x)=3x^2+2ax+b の解は, x=a±a23b3x=\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}

よって,a23b>0a^2-3b > 0 のとき極値が存在して,その値は,

(a±a23b3)3+a(a±a23b3)2+b(a±a23b3)+c=4a3+9ab+(±4a23b)a23b27+a3+a33ab2aa23b9+ab±ba23b3+c=2a327ab3+c±(2b92a227)a23b\left(\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}\right)^3\\ +a\left(\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}\right)^2\\ +b\left(\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}\right)+c\\ =\dfrac{-4a^3+9ab+(\pm 4a^2\mp 3b)\sqrt{a^2-3b}}{27}\\ +\dfrac{a^3+a^3-3ab\mp 2a\sqrt{a^2-3b}}{9}\\ +\dfrac{-ab\pm b\sqrt{a^2-3b}}{3}+c\\ =\dfrac{2a^3}{27}-\dfrac{ab}{3}+c\pm\left(\dfrac{2b}{9}-\dfrac{2a^2}{27}\right)\sqrt{a^2-3b}

※途中の式は複号同順です。

方法2

f(x)=3x2+2ax+bf'(x)=3x^2+2ax+b の解は, x=a±a23b3x=\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}

ここで,f(x)f(x)f(x)f'(x) で割ると,

f(x)=f(x)(x3+a9)+(23b29a2)x+cab9f(x)=f'(x)\left(\dfrac{x}{3}+\dfrac{a}{9}\right)\\ +\left(\dfrac{2}{3}b-\dfrac{2}{9}a^2\right)x+c-\dfrac{ab}{9}

極値をとる場所では f(x)=0f'(x)=0 なので,極値は,

(23b29a2)(a±a23b3)+cab9=2a327ab3+c±(2b92a227)a23b\left(\dfrac{2}{3}b-\dfrac{2}{9}a^2\right)\left(\dfrac{-a\pm\sqrt{a^2-3b}}{3}\right)\\ +c-\dfrac{ab}{9}\\ =\dfrac{2a^3}{27}-\dfrac{ab}{3}+c\pm\left(\dfrac{2b}{9}-\dfrac{2a^2}{27}\right)\sqrt{a^2-3b}

となります。

どちらも計算が大変でしたが,個人的には方法2の方が少しだけ楽だと感じました。みなさんも,ぜひ実際に計算してみてください!