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方べきの定理とその統一的な証明

更新日時 2021/03/07

この記事では, 方べきの定理の意味と証明 を3パターンそれぞれ解説します。最後に,3パターンを統一的に証明してみます。

目次
  • 方べきの定理タイプ1とその証明

  • 方べきの定理タイプ2とその証明

  • 方べきの定理タイプ3とその証明

  • 方べきの定理を統一的に見る

  • 座標を用いた方べきの定理の証明

方べきの定理タイプ1とその証明

方べきの定理(タイプ1)

方べきの定理タイプ1

円周上に点 A,B,C,DA,B,C,D がある。ABABCDCD円の内部の点 PP で交わるとき,

PA×PBPA\times PB==PC×PDPC\times PD

PP が円の内側にあるのがタイプ1です。

証明

円周角の定理より,

PAC=PDB\angle PAC=\angle PDB

PCA=PBD\angle PCA=\angle PBD

方べきの定理の証明1

よって,2組の角がそれぞれ等しいので,三角形 PACPACPDBPDB は相似。

よって,

PA:PD=PC:PBPA:PD=PC:PB

PA×PB=PC×PDPA\times PB=PC\times PD

となり,方べきの定理が成立する。

方べきの定理タイプ2とその証明

方べきの定理(タイプ2)

方べきの定理タイプ2

円周上に点 A,B,C,DA,B,C,D がある。ABABCDCD円の外部の点 PP で交わるとき,

PA×PBPA\times PB==PC×PDPC\times PD

PP が円の外側にあるのがタイプ2です。

証明

円に内接する四角形の性質より,

PAC=PDB\angle PAC=\angle PDB

PCA=PBD\angle PCA=\angle PBD

方べきの定理の証明2 よって,2組の角がそれぞれ等しいので, 三角形 PACPACPDBPDB は相似。

よって,

PA:PD=PC:PBPA:PD=PC:PB

PA×PB=PC×PDPA\times PB=PC\times PD

となり,方べきの定理が成立する。

方べきの定理タイプ3とその証明

方べきの定理(タイプ3)

方べきの定理タイプ3

円周上に点 A,B,CA,B,C がある。直線 ABABCC における接線が PP で交わるとき,

PA×PBPA\times PB==PC2PC^2

証明

接弦定理より,

PCA=PBC\angle PCA=\angle PBC

また,P\angle P は共通。 方べきの定理の証明3 よって,2組の角がそれぞれ等しいので,三角形 PACPACPCBPCB は相似。

よって,

PA:PC=PC:PBPA:PC=PC:PB

PA×PB=PC×PCPA\times PB=PC\times PC

となり,方べきの定理が成立する。

方べきの定理を統一的に見る

  • 3タイプの図を並べてみると「似ている」と感じる人もいるでしょう。

方べきの定理タイプ3

  • タイプ3において接線をほんの少し内側にずらすと円と二点で交わることになるのでタイプ2になります。つまりタイプ3はタイプ2の極限と見ることができます。

  • 3タイプとも,証明には三角形の相似を使いました。相似を導くのに使った道具は「円周角の定理」「内接四角形の性質」「接弦定理」と異なりました。

  • 実は,座標を用いることで3タイプ同時に方べきの定理を証明できます!

座標を用いた方べきの定理の証明

方べきの定理を直交座標における計算で証明します。

方針

方べきの定理の証明

C:x2+y2=r2C: x^2+y^2=r^2,点 P(p,0)P(p,0) としても一般性を失いません。点 PP を通る直線 ll は傾き kk を用いて

y=k(xp)y=k(x-p) と書け,このとき llCC の交点を A,BA,B とおきます(交点が1つのときは A=BA=B)。

PA×PBPA\times PBkk によらないことを示せばOKです。

証明

llCC の方程式から yy を消去すると,

x2(1+k2)2k2px+k2p2r2=0x^2(1+k^2)-2k^2px+k^2p^2-r^2=0

A,BA, Bxx 座標を α,β\alpha, \beta とおくと

解と係数の関係より α+β=2k2p1+k2\alpha+\beta=\dfrac{2k^2p}{1+k^2}αβ=k2p2r21+k2\alpha\beta=\dfrac{k^2p^2-r^2}{1+k^2}

また,上図のように llxx 軸がなす角を θ\theta とおくと,

PA=pαcosθ,PB=pβcosθPA=\dfrac{|p-\alpha|}{\cos\theta}, PB=\dfrac{|p-\beta|}{\cos\theta}

より,

PA×PB=(pα)(pβ)cos2θ=(1+tan2θ)p2(α+β)p+αβ=(1+k2)p22k2p21+k2+k2p2r21+k2=p2r2PA\times PB\\ =\dfrac{|(p-\alpha)(p-\beta)|}{\cos^2\theta}\\ =(1+\tan^2\theta)|p^2-(\alpha+\beta)p+\alpha\beta|\\ =(1+k^2)|p^2-\dfrac{2k^2p^2}{1+k^2}+\dfrac{k^2p^2-r^2}{1+k^2}|\\ =|p^2-r^2|

となり傾き kk によらない!

よって,方べきの定理は成立する。

  • 実は座標設定の際に r=1r=1 としても一般性を失いませんが,計算の手間は変わりません。
  • p<r|p| <r のときタイプ1,p>r|p| > r で交点が2つのときタイプ2,また A=BA=B となる場合も考慮できているのでタイプ3も証明できています。

このように,初等幾何では場合分けが必要でも,座標で考えれば統一的に証明できる場合があります。

座標設定の方法,傾きと tan\tan の話,解と係数の関係など座標計算で重要なテクニックが凝縮されており,非常にためになる証明方法でした。

方べきの定理の場合は,初等幾何による証明が非常に簡単なので座標のありがたみが半減ですが,複数のパターンを統一的に扱うという意識は重要です。

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