接弦定理の意味・例題・証明・逆をわかりやすく

接弦定理

接弦定理

接線と弦のつくる角 BAD\angle BAD は,その弦に対する円周角 ACB\angle ACB と等しい。これを 接弦定理(せつげんていり) と言う。

接弦定理の意味・例題・証明をわかりやすく説明します。後半では接弦定理の逆についても紹介します。

接弦定理を使う問題

「接線」と「弦」が作る角度が表れたら,接弦定理を思い出しましょう。

例題

図において,AC=BCAC=BCBAD=70\angle BAD=70^{\circ} であるとき,ABC\angle ABC を計算せよ。

接弦定理の例題

解答

接弦定理より,ACB=70\angle ACB=70^{\circ}

また,三角形 ABCABC は二等辺三角形なので,CAB=CBA\angle CAB=\angle CBA

以上より,

ABC=(18070)÷2=55\angle ABC=(180-70)\div 2=55^{\circ}

接弦定理の証明

接弦定理の証明は場合分けが必要なのでやや長いですが,1つ1つは難しくありません。

BAD\angle BAD が鋭角の場合,直角の場合,鈍角の場合の3つに場合分けをして証明します。

接点を AA,弦を ABAB,円周角を ACB\angle ACB とします。また,接線上に点 CC と直線 ABAB に関して反対側に点 DD を適当に取ります。 目標は ACB=BAD\angle ACB=\angle BAD を証明することです。

証明

接弦定理の証明

BAD\angle BAD が鋭角の場合(上の図)~

AEAE が直径となるように点 EE を取る。

ADAD は接線より EAB=90BAD\angle EAB=90^{\circ}-\angle BAD

また,AEAE は直径なので EAB=90AEB\angle EAB=90^{\circ}-\angle AEB

以上より AEB=BAD\angle AEB=\angle BAD

これと円周角の定理: ACB=AEB\angle ACB=\angle AEB より接弦定理が証明された。

BAD\angle BAD が直角の場合(真ん中の図)~

BABA は円の直径なので ACB=90\angle ACB=90^{\circ}

よって ACB=BAD\angle ACB=\angle BAD

BAD\angle BAD が鈍角の場合(下の図)~

接線上に AA に関して DD と反対側に点 EE を取る。

鋭角の場合の接弦定理(もう証明した)より EAC=ABC\angle EAC=\angle ABC

よって,

ACB=180ABCBAC=180EACBAC=BAD\angle ACB\\ =180^{\circ}-\angle ABC-\angle BAC\\ =180^{\circ}-\angle EAC-\angle BAC\\ =\angle BAD

円周角の定理の極限

次に,接弦定理が成り立つことの感覚的な説明を紹介します。

接弦定理の解釈

CC を円周上で限りなく AA に近づけていくと,

  • 円周角の定理より ACB\angle ACB は一定

  • 直線 CACA は円の接線に近づく

以上から接弦定理が成り立つことが納得できます。

接弦定理の逆

接弦定理の逆は入試ではあまり見かけませんが,数学オリンピックの図形の証明問題では頻出です。

接弦定理の逆

接弦定理の逆

CCDD が直線 ABAB に関して反対側にあり,ACB=DAB\angle ACB=\angle DAB なら直線 ADAD は三角形 ABCABC の外接円と接する。

接弦定理からほぼ明らかですが,一応証明しておきます。

証明

三角形 ABCABC の外接円の点 AA における接線上に,ABAB に関して CC と反対側に点 EE を適当に取る。

接弦定理より ACB=EAB\angle ACB=\angle EAB である。

これと定理の仮定から DAB=EAB\angle DAB=\angle EAB

D,ED,EABAB に関して同じ側にあるので A,D,EA,D,E は一直線上にある。つまり直線 ADAD は円の接線である。

「接弦定理」というネーミングはなかなか良いと思います。

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