単項式,多項式,整式
単項式,多項式,整式という用語について整理しました。
単項式とは
多項式とは
整式とは
整式でないもの
単項式とは
単項式の定義
単項式とは,数,文字,およびそれらの積として表される式のこと。
- は数と文字の積なので単項式。
- は数と文字の積なので単項式。
- は数なので単項式。
- は文字なので単項式
積(かけ算)のみというのが重要です。 や は単項式ではありません。
単項式の係数
単項式にある文字が含まれているとき,単項式の数の部分を係数といいます。
- の係数は3。
- の係数は5。
- の係数は1(このように係数が1のときは表記上省略されるので注意が必要です)。
- の係数は-1。
単項式の次数
単項式において,かけられている文字の個数を次数と言います。複数の文字がかけられているときは,かけられている文字全ての個数を数えます。
- の次数は2。
- の次数は4。
- の次数は0(かけられている文字は1つもないので次数は0と考えます)。
多項式とは
多項式の定義
多項式の定義には,2つの流儀があります。
多項式とは,単項式の複数(2つ以上)の和として表される式。
高校数学では定義1を使うことが多いです。
- は2つの単項式 の和なので多項式。
- は3つの単項式の和なので多項式。
多項式にはもう1つ別の定義があります。
多項式とは,単項式の1つ以上の和として表される式。
定義1では単項式は多項式ではありませんが,定義2では単項式も多項式に含まれます。
は単項式であるが,
- 定義1を採用すればこれは多項式ではない。
- 定義2を採用すればこれは多項式である。
大学以降では,定義2の方が一般的です。例えば(定義2の意味の)多項式全体の集合を多項式環と呼びます。各成分が(定義2の意味の)多項式であるような行列を多項式行列と言います。
降べきの順・昇べきの順とは
多項式では,含まれる単項式(項)をその次数に従って並び替えることがあります。
項の次数が大きいものから順に並べる並べ方を降べきの順,逆に次数が小さいものから順に並べる並べ方を昇べきの順と言います。
より詳しくは,「降べきの順と昇べきの順について」 をご覧ください。
単項式と多項式の違い
単項式と多項式の違いを表にまとめました。
単項式・多項式については,詳しい解説が単項式・多項式や次数・係数などの定義と問題例 に詳しく解説されています。こちらもぜひご覧ください。
整式とは
単項式と多項式を合わせて整式と言います。ここまでをまとめると,
- 主に高校数学で使われる定義では「単項式」と「多項式」は別物。2つを合わせて整式と呼ぶ。
- 主に大学以降で使われる定義では「単項式」は「多項式」に含まれる。多項式と整式は同じ意味。そして,単項式や整式という言葉はあまり使わない。
整式でないもの
以下は,多項式・整式と間違えやすいけど多項式でないものです。
-
は「数,文字,およびそれらの積として表される式」ではないので整式(単項式)ではありません。ちなみに,整式÷整式 で表せる式を有理式,または分数式と言います。 は有理式です。
-
も同様に整式ではありません。
-
のように項が無限個あるようなものも多項式とは言いません(べき級数と言う)。
「整式」は高校数学の一番最初(四月病により勉強のモチベーションが高い時期)に習う内容です。