場合の数

場合の数 に関する32記事をまとめました。くわしくは各リンク先を見てください。

二項定理

二項定理とは,

(a+b)n(a+b)^n を展開したときの akbnka^kb^{n-k} の係数は nCk{}_n\mathrm{C}_k である

という定理。

→二項定理の意味と係数を求める例題・2通りの証明

0の階乗の定義

00 の階乗は 0!=10!=1 と定義する。なぜなら,そう定義すると都合がよいから。

→0の階乗を1と定義する理由

和の法則

2つの事象 A,BA,B が同時には起こらないとする。AA の起こり方が mm 通り,BB の起こり方が nn 通りあるとき,AA または BB の起こり方は m+nm+n 通りである。

→和の法則と積の法則(場合の数)と例題

順列の個数の公式

mPn=m(m1)(mn+1){}_m\mathrm{P}_n=m(m-1)\cdots (m-n+1)

mm から順々に1減らしながら nn 個の整数のかけ算をする)

→順列と組合せの違いと例題

確率漸化式の解き方の流れ
  1. 求めたい「nn 回目の確率」を ana_n とおく
  2. ana_nan1a_{n-1} の関係を漸化式で表す
  3. 漸化式を解く

→確率漸化式の解き方と例題

重複順列の公式

異なる nn 種類のものから、重複を許して rr 個取り出して並べる順列の個数は nrn^r

→重複順列の意味と例題

重複組合せの公式

nn 種類のものから重複を許して rr 個選ぶ場合の数は n+r1Cr{}_{n+r-1}\mathrm{C}_r 通り。

→重複組合せの公式と例題(玉,整数解の個数)

多項定理(3項の場合)

(a+b+c)n(a+b+c)^n を展開したときの apbqcra^pb^qc^r の係数は,n!p!q!r!\dfrac{n!}{p!q!r!}

(ただし,p+q+r=np+q+r=n かつ p,q,rp,q,r00 以上)

→多項定理の例題と2通りの証明

数珠順列の公式

異なる nn 個のものを数珠順列で並べるとき,並べ方の総数は

(n1)!2通り\dfrac{(n-1)!}{2}\text{通り}

→円順列の公式と2通りの考え方

問題

「が」「く」「す」と書かれたカードが1枚ずつ、「こ」と書かれたカードが2枚、「う」と書かれたカードが3枚ある。これら8枚のカードを無作為に並べ、文字列を作ることを考える。

以下の問いに答えよ。

(1) 文字列が「こうこうすうがく」となる確率を求めよ。

(2) 文字列に「がく」が含まれる確率を求めよ。

(3) 文字列に「すうがく」が含まれる確率を求めよ。

(4) 文字列に「すうがく」が含まれるとき、文字列が「こうこうすうがく」である確率を求めよ。

→確率・場合の数分野:練習問題一覧|入試数学コンテスト過去問集

性質1

nCr=nCnr{}_n\mathrm{C}_r={}_n\mathrm{C}_{n-r}

→二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針

包除原理

A1A2An=iAii<jAiAj+i<j<kAiAjAk+(1)n1A1An\begin{aligned} &|A_1\cup A_2\cup\cdots\cup A_n|\\ &=\sum_{i}|A_i|\\ &\quad -\sum_{i < j}|A_i\cap A_j|\\ &\quad +\sum_{i < j < k}|A_i\cap A_j\cap A_k|\\ &\quad -\cdots\\ &\quad +(-1)^{n-1}|A_1\cap\cdots\cap A_n| \end{aligned}

→包除原理の2通りの証明

攪乱順列(完全順列)の個数

n2n\geqq 2 とする。11 から nn までの整数を並び替えてできる順列のうち,すべての ii について「ii 番目が ii でない」を満たすものの個数 ana_n

an=n!k=2n(1)kk!a_n=n!\displaystyle\sum_{k=2}^n\dfrac{(-1)^k}{k!}

→攪乱順列(完全順列)の個数を求める公式

同じものを含む円順列の個数はバーンサイドの公式を使って求めることができる:

円順列の個数=1GgGϕ(g)=\dfrac{1}{|G|}\displaystyle\sum_{g\in G}\phi(g)

→同じものを含む円順列の裏技公式

  1. 全射の個数の公式:
    nn 人を区別のある(ちょうど)kk 個のグループに分ける場合の数は,
    i=1k(1)kikCiin\displaystyle\sum_{i=1}^k(-1)^{k-i}{}_k\mathrm{C}_{i}i^n

  2. スターリング数の公式:
    nn 人を区別のない(ちょうど)kk 個のグループに分ける場合の数(スターリング数)は,
    1k!i=1k(1)kikCiin\dfrac{1}{k!}\displaystyle\sum_{i=1}^k(-1)^{k-i}{}_k\mathrm{C}_{i}i^n

  3. ベル数の公式:
    nn 人を区別のない kk 個以下のグループに分ける場合の数(ベル数)は,
    j=1k1j!i=1j(1)jijCiin\displaystyle\sum_{j=1}^k\dfrac{1}{j!}\sum_{i=1}^j(-1)^{j-i}{}_j\mathrm{C}_{i}i^n

→全射の個数の証明とベル数

パスカルの三角形において,偶数を0,奇数を1と書きなおしたものを考えるとおもしろい規則性がある。

→パスカルの三角形の性質とフラクタル

確率 12\dfrac{1}{2}+1+1 ポイント,12\dfrac{1}{2}1-1 ポイントとなるゲームを繰り返すような確率モデルを一次元ランダムウォークと言う。 ランダムウォークのイメージ

→ランダムウォークの基礎(一次元,高校範囲)

k=0nnCk=2n\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_k=2^n

k=0n(1)knCk=0(n1)\displaystyle\sum_{k=0}^n(-1)^k{}_n\mathrm{C}_k=0\:(n\geqq 1)

→二項係数の和,二乗和,三乗和

カタラン数

カタラン数とは, cn=2nCnn+1c_n=\dfrac{{}_{2n}\mathrm{C}_{n}}{n+1} で定義される数 cnc_n のこと。

→カタラン数の意味と漸化式

方針

モンモールの問題を知っていれば公式を用いて pn(k)p_n(k) を求めることができます。そうすればただの恒等式の証明問題に帰着されます。式がゴツくてしんどいですが数学的帰納法を用いて証明できます。

→モンモールの問題の応用

分割数の定義

正の整数 nn をいくつかの正の整数の和で表す方法の数を nn の分割数と言う。

→分割数の意味と性質・ヤング図形の活躍

8パズル・15パズルにおいて「完成した形から2枚のパネルの場所を交換した状態」からスタートしても,完成させることはできない。

→8パズル,15パズルの不可能な配置と判定法

定義

数学オリンピックで主客転倒とは,総和を,別の視点から場合分けし直すことで求めるテクニックです。double countingともいいます。

→主客転倒

ヴァンデルモンドの畳み込み

任意の非負整数 p,q,np,q,n に対して,

k=0npCkqCnk=p+qCn\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_p\mathrm{C}_k\cdot {}_q\mathrm{C}_{n-k}={}_{p+q}\mathrm{C}_n

という恒等式が成立する。これをヴァンデルモンドの畳み込みと言う。 ただし,p<kp < k のとき pCk=0{}_p\mathrm{C}_k=0 と定義する。

→ヴァンデルモンドの畳み込みの3通りの証明

スターリング数の性質1
  • 任意の自然数 nn に対して
    S(n,1)=S(n,n)=1\:S(n,1)=S(n,n)=1\:

  • 任意の n,k(k2,nk+1)n,k\:(k\geq 2, n \geq k+1) に対して
    S(n,k)=S(n1,k1)+kS(n1,k)S(n,k)=S(n-1,k-1)+kS(n-1,k)

→スターリング数の漸化式と3つの意味

Erdös-Ko-Radoの定理

nn 個の要素からなる集合 {1,2,,n}\{1,2,\cdots,n\} から要素数が kk の部分集合たちを以下の条件を満たすようにできるだけたくさん選びたい。

条件:選んだ部分集合のどの二つを選んでも共通元が存在する。

n2kn\geq 2k のとき, 選べる部分集合の限界 NN は,N=n1Ck1N={}_{n-1}\mathrm{C}_{k-1} 個である。

→Erdös-Ko-Radoの定理

Erdös--Szekeres の定理

a,ba,b を正の整数とする。各項が相異なる長さ ab+1ab+1 の数列があるとき,以下の二つのうち少なくとも一つは必ず存在する。

  1. 長さ a+1a+1 の部分列で,単調増加なもの
  2. 長さ b+1b+1 の部分列で,単調減少なもの

→Erdös Szekersの定理とその証明

「必勝形でない状態」からスタートしたときの先手必勝法
  1. 「必勝形でない状態」からうまく石を取れば「必勝形」になるので自分の手番終了後は常に「必勝形」になる。

  2. 「必勝形」からどのように石を取っても「必勝形でない状態」になるので相手の手番終了後は常に「必勝形でない状態」になる。

  3. 石がない状態(終了状態)は「必勝形」なので,終了状態は自分の手番終了後に来るはず!

→ニム(複数山の石取りゲーム)の必勝法

交代順列の数 ana_n は,

  • nn が奇数のときタンジェント数 tnt_n と等しい
  • nn が偶数のときセカント数 sns_n と等しい

→交代順列の数とタンジェント数,セカント数

定理

q1q \to 1 で元の概念に一致するようにパラメーター qq を追加した概念を qq-類似という。

→q-二項係数とq-二項定理~東大数学2020年と合わせて

定理

qq-整数,qq-階乗,qq-二項係数を順に [n]q=1qn1q[n]q!=[n]q[n1]q[2]q[1]q(nk)q=[n]q![k]q![nk]q!\begin{aligned} [n]_q &= \dfrac{1-q^n}{1-q}\\ [n]_q! &= [n]_q [n-1]_q \cdots [2]_q [1]_q\\ \binom{n}{k}_q &= \dfrac{[n]_q!}{[k]_q! [n-k]_q!} \end{aligned} と定義されていた。

→組み合わせ論による q-二項係数の定義

F\mathcal{F}E={e1,,en}E=\{e_1,\dots,e_n\} の部分集合族とする。

EE の各要素 eie_i に重み w(ei)w(e_i) を割り当てる。 w(ei)w(e_i) はそれぞれ独立に {1,,N}\{1,\dots,N\} の中から一様ランダムに選ぶ。

FFF\in \mathcal{F} の重みを w(F)=eFw(e)w(F)=\displaystyle\sum_{e\in F}w(e) と定義する。

このとき,確率 1nN1-\dfrac{n}{N} 以上でF\mathcal{F} の要素の中で重みを最小にするものはただ一つである。

→Isolation Lemmaとその証明