交代順列の数とタンジェント数,セカント数
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交代順列の数,タンジェント数,セカント数の意味と,それらの間に成り立つ美しい定理を紹介します。
交代順列の数
交代順列の数
の並び替えで,増減増減 となるものを,要素数 の交代順列と言います。ジグザグな順列です。
要素数 の交代順列の数を求めよ。
実際に列挙すると,,,,, の5つです。
要素数 の交代順列の数を と書きます。 です。
タンジェント数とセカント数
タンジェント数とセカント数
の 次導関数の での値をタンジェント数(以下 で表す)と言います。
マクローリン展開の形で書くと,
となります。 は奇関数であり,マクローリン展開をしたときに偶数次の項は登場しません。つまり, が偶数のとき, です。実際に計算すると ,, です。
また, の 次導関数の での値をセカント数(以下 で表す)と言います。
マクローリン展開の形で書くと,
となります。 は偶関数であり,マクローリン展開をしたときに奇数次の項は登場しません。つまり, が奇数のとき, です。実際に計算すると ,, です。
アンドレの定理
アンドレの定理
交代順列の数 は,
- が奇数のときタンジェント数 と等しい
- が偶数のときセカント数 と等しい
感動的な定理ですね! 例えば, を頑張って 回微分して を代入すると になるので,要素数 の交代順列の数は 通りだと分かります。
実際に計算する際は,何回も微分するのは大変なので,動的計画法(漸化式を立てて が小さいものから順に , を求めていく方法)を使うとよいです。
定理の証明の概略
定理の証明の概略
定理の証明はかなり大変なので,大雑把な流れのみ紹介します。微分方程式も登場します(高校数学範囲外です)。
組み合わせ的な議論により, のとき
という漸化式が成立することが分かる。
という関数を考える(ただし )。上記の漸化式を使うと という微分方程式が成立することが分かる。
この微分方程式の一般解は となる(ただし は任意定数)。ここで, に注意すると となる。よって
半角の公式などを用いると, という恒等式が成立することが分かる。以上より となり,両辺の係数を比較すると定理を得る。
なお,証明の概略は英語版Wikipediaを参考にしました。→Alternating Permutation
という記号が活躍する数少ない記事です。