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Mardenの定理、Gauss--Lucasの定理

更新日時 2021/03/07

平面図形,複素数平面における美しい定理を3つ紹介します。

目次
  • シュタイナーの内接楕円

  • Marden の定理

  • Gauss–Lucas の定理

シュタイナーの内接楕円

シュタイナーの内接楕円

任意の三角形に対して,各辺と中点で接する楕円がただ一つ存在する。これをシュタイナーの(内接)楕円と呼ぶ。

楕円の自由度が 55 (平行移動2,短軸の長さ,長軸の長さ,回転)であるのに対して「各辺と中点で接する」というのは 66 つの制約になります。そう考えると,このような楕円が存在するのは少し不思議です。

シュタイナーの内接楕円の中心はもとの三角形の重心と一致します。

このような楕円が存在することは後述する Marden の定理から分かります。

Marden の定理

Van den Berg の定理と呼ばれることもあります。

三次多項式 f(z)f(z) について考える。複素数平面上で f(z)=0f(z)=0 の解に対応する3点 A,B,CA,B,C が三角形をなすとする。また,f(z)=0f'(z)=0 の解に対応する点を F,FF,F' とする。このとき,F,FF,F' を焦点とする楕円で,三角形 ABCABC の各辺と中点で接するものが存在する。

まさにシュタイナーの内接楕円です。

証明の概略

各辺の中点を L,M,NL,M,N とする。

頑張って計算することにより,

  1. FLB=FLC\angle FLB=\angle F'LC

  2. FL+FL=FM+FM=FN+FNFL+F'L=FM+F'M=FN+F'N

が分かる(→補足)。

Mardenの定理

1より,F,FF,F' を焦点とし LL を通る楕円 Γ\Gamma は,BCBCLL で接する。さらに,2より,Γ\GammaMMNN を通る。

さらに対称性と1より,FMA=FMCFMA=F'MCFNA=FNB\angle FNA=F'NB も成立するので,Γ\GammaMMNNCA,ABCA,AB と接することが分かる。

補足:この証明(の概略)はシュタイナー楕円(Aozora Gakuen)を参考にしています。詳しい計算はリンク先を参照してください。

ちなみに,後述の Gauss–Lucas の定理を使うと,F,FF,F' が三角形 ABCABC の内部(境界含む)にあることはすぐに分かります。

Gauss–Lucas の定理

複素数平面において多項式 f(z)=0f(z)=0 の解に対応する点を Ai(i=1,,n)A_i\:(i=1,\cdots,n) とする。 f(z)=0f'(z)=0 の解に対応する点は AiA_i たちの凸包に含まれる。

Gauss--Lucasの定理

例えば,f(z)f(z) が6次多項式のとき,f(z)=0f(z)=0 の解に対応する点は(重複も含めて)66 つあります。図のようになったとします。すると,f(z)=0f'(z)=0 の解に対応する点(重複も含めて 55 つある)は,全て図の四角形の中(境界含む)にあるというわけです。

証明

f(z)=C(za1)(za2)(zan)f(z)=C(z-a_1)(z-a_2)\cdots (z-a_n)

とする。複素数 aia_i に対応する点が AiA_i である。

f(b)=0f'(b)=0 のとき,bb に対応する点が AiA_i の凸包に含まれることを示す。

もし,f(b)=0f(b)=0 のときは bbaia_i のいずれかと一致するので定理は成立。よって,以下 f(b)0f(b)\neq 0 とする。

積の微分公式(→ライプニッツの公式の証明と二項定理)を用いて f(z)f'(z) を微分すると,

f(z)=f(z)za1+f(z)za2++f(z)zanf'(z)=\dfrac{f(z)}{z-a_1}+\dfrac{f(z)}{z-a_2}+\cdots +\dfrac{f(z)}{z-a_n}

よって,f(b)=0f'(b)=0 なので,

1ba1+1ba2++1ban=0\dfrac{1}{b-a_1}+\dfrac{1}{b-a_2}+\cdots +\dfrac{1}{b-a_n}=0

分母を実数化して両辺の共役複素数を取ることにより,

ba1ba12+ba2ba22++banban2=0\dfrac{b-a_1}{|b-a_1|^2}+\dfrac{b-a_2}{|b-a_2|^2}+\cdots +\dfrac{b-a_n}{|b-a_n|^2}=0

よって,wi=1bai2w_i=\dfrac{1}{|b-a_i|^2} とおくと,

b=a1w1+a2w2++anwnw1+w2++wnb=\dfrac{a_1w_1+a_2w_2+\cdots +a_nw_n}{w_1+w_2+\cdots +w_n}

と凸結合の形で書けるので定理は成立。

Marden の定理は読者の方に Twitter で教えてもらったものです。面白いです!

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