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ライプニッツの公式の証明と二項定理

更新日時 2021/03/07

複数の関数の積の微分を効率よく行う公式

f,g,hf, g, hxx の関数とする。関数の積は以下のように微分できる:

(i) (fg)=fg+fg(fg)'=f'g+fg'

(ii) (fg)=fg+2fg+fg(fg)^{\prime\prime}=f^{\prime\prime}g+2f'g'+fg^{\prime\prime}

(iii) (fgh)=fgh+fgh+fgh(fgh)'=f'gh+fg'h+fgh'

(i)は数Ⅲの教科書にも載っている有名な公式です。公式(ii),(iii)も実戦で使用することがあるので覚えておくと時短になります。

公式や定理を見た時になんでも拡張しようと考えるのはよい習慣ですが,(i)を拡張しようと思ったときに2つの方法が考えられます。

1.微分の回数を増やす(→公式(ii),より一般的には二項定理)

2.積を取る関数の数を増やす(→公式(iii)より一般的には多項定理)

以下それぞれの拡張について考えます。

目次
  • 1つめの拡張(微分の回数を増やす)

  • 2つめの拡張(積を取る関数の数を増やす)

1つめの拡張(微分の回数を増やす)

まず,微分の回数を増やす拡張を考えます。つまり,fgfgnn 回微分を求めます:

(iiii) (fg)(n)=k=0nnCkf(k)g(nk)(fg)^{(n)}={\displaystyle \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_kf^{(k)}g^{(n-k)}} (ライプニッツの公式)

ライプニッツの公式で n=2n=2 とすれば公式(ii)になります。

二項定理: (f+g)n=k=0nnCkfkgnk(f+g)^{n}={\displaystyle \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_kf^{k}g^{n-k}} と全く同じ形をしています。

以下では,公式(i)を既知としてライプニッツの公式を証明します。

ライプニッツの公式の証明

nn に関する帰納法で証明する。

n=tn=t のときライプニッツの公式が成立すると仮定すると,

n=t+1n=t+1 でも以下のように計算できてライプニッツの公式が成立する。

(fg)(t+1)=(k=0ttCkf(k)g(tk))(fg)^{(t+1)}=({\displaystyle \sum_{k=0}^{t}{}_t\mathrm{C}_kf^{(k)}g^{(t-k)}})'\hspace{20mm} :(帰納法の仮定)

=k=0ttCk(f(k)g(tk))={\displaystyle \sum_{k=0}^{t}{}_t\mathrm{C}_k(f^{(k)}g^{(t-k)})'}\hspace{45mm} :(微分の性質(線形性))

=k=0ttCkf(k+1)g(tk)+k=0ttCkf(k)g(tk+1)={\displaystyle \sum_{k=0}^{t}{}_t\mathrm{C}_kf^{(k+1)}g^{(t-k)}}+{\displaystyle \sum_{k=0}^{t}{}_t\mathrm{C}_kf^{(k)}g^{(t-k+1)}}\hspace{10mm} :(公式(i))

=k=1t+1tCk1f(k)g(tk+1)+k=0ttCkf(k)g(tk+1)={\displaystyle \sum_{k=1}^{t+1}{}_t\mathrm{C}_{k-1}f^{(k)}g^{(t-k+1)}}+{\displaystyle \sum_{k=0}^{t}{}_t\mathrm{C}_kf^{(k)}g^{(t-k+1)}}\hspace{5mm} :(一項目ずらす)

=fg(t+1)+k=1t(tCk+tCk1)f(k)g(tk+1)+f(t+1)g=fg^{(t+1)}+{\displaystyle \sum_{k=1}^{t}({}_t\mathrm{C}_k+{}_t\mathrm{C}_{k-1})f^{(k)}g^{(t-k+1)}}+f^{(t+1)}g\hspace{5mm} :(シグマを3つに分解)

=k=0t+1t+1Ckf(k)g(tk+1)={\displaystyle \sum_{k=0}^{t+1}{}_{t+1}\mathrm{C}_kf^{(k)}g^{(t-k+1)}}\hspace{25mm} :(二項係数の公式 t+1Ck=tCk+tCk1{}_{t+1}\mathrm{C}_k={}_t\mathrm{C}_k+{}_t\mathrm{C}_{k-1})

本質的には二項定理の証明と同じです。一般的なライプニッツの公式を計算で使うことはほとんどありませんが, 二項定理と同じ形で書くことができるという事実は覚えておくとよいでしょう。

2つめの拡張(積を取る関数の数を増やす)

次に積を取る関数の数を mm 個に増やし,f1f2fmf_1f_2\cdots f_m の微分公式を考えます。1回微分だとつまらないので,一般的に nn 回微分を考えると以下のような公式が得られることが分かります:

(v) (f1f2fm)(n)=ki0,ki=n(n!i=1mki!i=1mfi(ki))(f_1f_2\cdots f_m)^{(n)}={\displaystyle\sum_{k_i\geq 0, \sum k_i=n}\left({\displaystyle\dfrac{n!}{\prod_{i=1}^{m} k_i!}\prod_{i=1}^{m}f_i^{(k_i)}}\right)}

多項定理: (f1+f2++fm)n=ki0,ki=n(n!i=1mki!i=1mfiki)(f_1+f_2+\cdots +f_m)^{n}={\displaystyle\sum_{k_i\geq 0, \sum k_i=n}\left({\displaystyle\dfrac{n!}{\prod_{i=1}^{m} k_i!}\prod_{i=1}^{m}f_i^{k_i}}\right)} と全く同じ形をしています。証明は煩雑なので省略しますが,本質的には多項定理の証明と同じです。

公式(v)は非常に一般的な形をしており,公式(i)~(iiii)を全て含んでいます。例えば,n=1,m=3n=1,m=3 とすれば公式(iii)になります。

公式(v)を覚える必要はありませんが,積の微分は多項定理と同じ形で書けるという事実は覚えておくとよいでしょう。

Tag:数学的帰納法のパターンまとめ

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