方針
f(x)=Arctanx
の
n
階微分の
x=0
の値を求めればマクローリン展開できます:
f(x)=k=0∑∞f(k)(0)k!xk=f(0)+f′(0)x+2!f′′(0)x2+⋯
そのために,積の微分公式
{f(x)g(x)}′=f′(x)g(x)+f(x)g′(x)
の発展形(n
階微分バージョン)であるライプニッツの公式を用います:
(fg)(n)=k=0∑nnCkf(k)g(n−k)
→ライプニッツの公式の証明と二項定理
導出2
f′(x)=1+x21
なので
f′(x)(1+x2)=1
である。
この両辺を
n(≥2)
回微分する。右辺は
0
になり,左辺はライプニッツの公式より,
(1+x2)f(n+1)(x)+nC12xf(n)(x)+nC22f(n−1)(x)
よって,
(1+x2)f(n+1)(x)+2nxf(n)(x)+n(n−1)f(n−1)(x)=0
(ここで,1+x2
を三回以上微分すると
0
になるので先頭の3つの項しか残らないことに注意。)
両辺に
x=0
を代入すると,f(n+1)(0)+n(n−1)f(n−1)(0)=0
この漸化式と初期条件
f′(0)=1,f′′(0)=0
(注)を使うことで
f(n)(0)
が以下のように求まる!
f(2n)(0)f(2n−1)(0)=0=−(2n−2)(2n−3)f(2n−3)(0)=⋯=(−1)n−1(2n−2)!f(1)(0)=(−1)n−1(2n−2)!
よって,マクローリン展開の式に
f(n)(0)
の値を代入することにより,
f(x)=k=0∑∞f(k)(0)k!xk=n=1∑∞(−1)n−1(2n−2)!(2n−1)!x2n−1=n=1∑∞2n−1(−1)n−1x2n−1
となり目標の式を得る。