同じものを含む円順列の裏技公式
同じものを含む円順列の個数はバーンサイドの公式を使って求めることができる:
円順列の個数
バーンサイドの補題,バーンサイドの定理,コーシー・フロベニウスの定理とも呼ばれます。記号の説明は後ほどします。
一般的なバーンサイドの公式は難しい(大学で学ぶ群論を用いる)ので,ここでは円順列の問題の場合に限定して説明します。円順列の場合に理解できればより難しい問題(数珠順列,立方体の塗り分け問題など)に応用することもできる素敵な定理です。
まずは問題設定を確認しつつ記号を説明していきます。
同じものを含む円順列の問題
同じものを含む円順列の問題
このページで解説するのは以下のような問題です。
黒石と白石を合わせて6個。円形に並べる並べ方は何通りあるか。ただし,回転により重なるものは同じものとみなす。
例えば図において,3つの並べ方があるように見えますが,下の2つの並べ方は同じとみなします。
同じものを含まない 個の円順列の個数は 通りで,数珠順列の個数は と簡単に求めることができます。しかし,同じものを含むと一気に難しくなります。
一般的な正攻法はただただ数え上げる手法です。実際に例題1を数え上げで解くと,14通りになります(使う黒石の数で場合分けして頑張って数える)。
バーンサイドの公式を用いて解く
バーンサイドの公式を用いて解く
まず,バーンサイドの公式中の記号を解説します。
というのは同一のものか判定するための「操作」の集合を表します。何もしないという操作(恒等置換)も含まれます。
上記の例だと,操作は「何もしない, 回転, 回転 , 回転」の6通りなので です。
次に について。
各操作 に対して「操作をほどこしても変わらない並べ方の個数」つまり,不動点の数を表します。ここでいう「並べ方」は重なりを無視した全ての並べ方を表しており,簡単に数えられます。
上記の例で考えてみます。 重なりを無視した全ての数え方は 通り。そのうち,
- 「何もしない」操作で不動なのは 通り全部
- 「 回転」「 回転」で不動なのはそれぞれ 通り(全部黒か全部白)
- 「 回転」「 回転」で不動なのはそれぞれ 通り(下図)→注
- 「 回転」で不動なのは同様に考えて 通り
よって,求める場合の数はバーンサイドの公式より,
通りとなりさきほど求めた答えと一致している。
注:「図より 通り」という説明でもよいのですが, のように数えたのは以下の理由によります。 つの位置を順番に と書きます。 回転で不変のとき, の色は同じで, の色も同じなのでそれぞれどちらの色に塗るかで 通りあります。
同様に, 回転で不変なのは, が同じ色, も同じ色, も同じ色なのでそれぞれどちらの色に塗るかで 通りとなります。
バーンサイドの公式に関するコメント
バーンサイドの公式に関するコメント
- 慣れれば慣れるほど,複雑になればなるほどバーンサイドの公式が輝きます。
- 入試では数え上げで解いて時間が余ればバーンサイドの公式を用いて検算しましょう。両者の答えが一致すればかなり強い確信を持てます。
- 数珠順列の場合は上記の「操作」に回転だけでなく折り返しも考える事になります。
バーンサイドの公式の証明には群論を用います。大学に入ってからのお楽しみです。