ブラーマグプタの公式とその2通りの証明
ブラーマグプタの公式:
円に内接する四角形 において とおくと,四角形 の面積は,
ただし, とおいた。
円に内接する四角形の面積を瞬時に求める公式です。
ヘロンの公式と同様,まず を求めてから面積 を計算します。
ちなみに, の極限を取ればブラーマグプタの公式はヘロンの公式と一致するので,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式を含んでいます。
この記事ではブラーマグプタの公式の証明を2つ紹介します。1つ目は三角関数を用いた素直な方法,2つ目はヘロンの公式を用いた方法です。
三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明
ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明
余談
三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明
方針:求める面積は三角形 と の面積の和です。そこで, を4辺の長さで表せばよいので余弦定理を用います。その後は気合いで因数分解します。
これで四角形の面積を辺の長さで表せたのであとは因数分解する。上式は,
ただし,途中の変形において,
(*): より であることを用いた。
(**):余弦定理より 及び より, であることを用いた。
ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明
方針:三角形の面積ならヘロンの公式を用いて辺の長さだけで表せます。よって,面積を求めたい四角形を「大きい三角形」ー「小さい三角形」と捉えます。すると,相似な三角形が出現してうまくいきます。
四角形 が長方形の場合は簡単なので長方形でないとする。すると と が平行でないと仮定しても一般性を失わないので,交点を とおく。 とおく。
△ と△ は相似なので,
この2式を辺々和と差を取る:
また,三角形 の面積を とおくと,相似な三角形の面積比は辺の比の2乗なので,
以上から,
ただし,1行目から2行目の変形にヘロンの公式を用いた。
余談
誘導つき(証明1の方針)でブラーマグプタの公式の証明が,立命館大学で出題されたことがあります。
ヘロンの公式を用いる方法もなかなかおしゃれです
Tag:面積を求める公式まとめ