ブラーマグプタの公式とその2通りの証明
円に内接する四角形 において とおくと,四角形 の面積は,
ただし, とおいた。
円に内接する四角形の面積をすばやく求める公式です。
ブラーマグプタの公式について
ブラーマグプタの公式について
ヘロンの公式と同様,まず を求めてから面積 を計算します。
4辺の長さが である四角形が円に内接するとき,四角形の面積 は,
- より,
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT14では,このような問題で計算ミスを減らすコツを3つ紹介しています。
補足
四角形の1辺が極めて短い場合,つまり の極限を考えてみます。すると,四角形は三角形に近づいていき,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式に近づいていきます。つまり,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式を含んでいると言えます。
以下では,ブラーマグプタの公式の証明を2つ紹介します。1つ目は三角関数を用いた素直な方法,2つ目はヘロンの公式による方法です。
三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明
三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明
求める面積は三角形 と の面積の和です。そこで, を4辺の長さで表せばよいので余弦定理を用います。その後は気合いで因数分解します。
これで四角形の面積を辺の長さで表せた。あとは因数分解する。上式は,
ただし,途中の変形において,
(*): より であることを用いた。
(**):余弦定理より および より, であることを用いた。
ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明
ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明
三角形の面積ならヘロンの公式を用いて辺の長さだけで表せます。よって,面積を求めたい四角形を「大きい三角形」ー「小さい三角形」と捉えます。すると,相似な三角形が現れてうまくいきます。
四角形 が長方形の場合の証明は簡単(長方形のとき よりブラーマグプタの公式の右辺は となり長方形の面積と一致する)。
以下,長方形でないとする。すると と が平行でないと仮定しても一般性を失わないので,交点を とおく。 とおく。
△ と△ は相似なので,
この2式の和と差を取る:
また,三角形 の面積を とおくと,相似な三角形の面積比は辺の比の2乗なので,
以上から,
ただし,1行目から2行目の変形にヘロンの公式を用いた。
余談
余談
誘導つき(証明1の方針)でブラーマグプタの公式の証明が,立命館大学で出題されたことがあります。
円に内接するとは限らない一般の四角形の面積については,より複雑な公式があります。→ブレートシュナイダーの公式
ヘロンの公式を用いる方法もなかなかおしゃれです。
Tag:面積を求める公式まとめ