ブラーマグプタの公式とその2通りの証明

更新日時 2021/03/07
ブラーマグプタの公式(Brahmagupta's formula)

円に内接する四角形 ABCDABCD において AB=a,BC=b,CD=c,DA=dAB=a, BC=b, CD=c, DA=d とおくと,四角形 ABCDABCD の面積は,

S=(sa)(sb)(sc)(sd)S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}

ただし,s=a+b+c+d2s=\dfrac{a+b+c+d}{2} とおいた。

円に内接する四角形の面積をすばやく求める公式です。

目次
  • ブラーマグプタの公式について

  • 三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明

  • ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明

  • 余談

ブラーマグプタの公式について

ヘロンの公式と同様,まず ss を求めてから面積 SS を計算します。

4辺の長さが 3,4,5,63,4,5,6 である四角形が円に内接するとき,四角形の面積 SS は,

  • s=3+4+5+62=9s=\dfrac{3+4+5+6}{2}=9 より,
  • S=(93)(94)(95)(96)=6543=610S=\sqrt{(9-3)(9-4)(9-5)(9-6)}\\ =\sqrt{6\cdot 5\cdot 4\cdot 3}\\ =6\sqrt{10}

四角形の1辺が極めて短い場合,つまり d0d\to 0 の極限を考えてみます。すると,四角形は三角形に近づいていき,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式に近づいていきます。つまり,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式を含んでいると言えます。

以下では,ブラーマグプタの公式の証明を2つ紹介します。1つ目は三角関数を用いた素直な方法,2つ目はヘロンの公式による方法です。

三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明

方針

求める面積は三角形 ABDABDCBDCBD の面積の和です。そこで,A\angle A を4辺の長さで表せばよいので余弦定理を用います。その後は気合いで因数分解します。

ブラーマグプタの公式

証明

S2=(12adsinA+12bcsinC)2=14(ad+bc)2(sin2A)()=14(ad+bc)2(1cos2A)=116{4(ad+bc)2(a2+d2b2c2)2}()S^2=\left(\dfrac{1}{2}ad\sin A+\dfrac{1}{2}bc\sin C\right)^2\\ =\dfrac{1}{4}(ad+bc)^2(\sin^2A)\cdots(*)\\ =\dfrac{1}{4}(ad+bc)^2(1-\cos^2A)\\ =\dfrac{1}{16}\{4(ad+bc)^2-(a^2+d^2-b^2-c^2)^2\}\cdots(**)

これで四角形の面積を辺の長さで表せた。あとは因数分解する。上式は,

116(2ad+2bc+a2+d2b2c2)(2ad+2bca2d2+b2+c2)=(a+b+cd)2(a+bc+d)2(ab+c+d)2(a+b+c+d)2=(sa)(sb)(sc)(sd)\dfrac{1}{16}(2ad+2bc+a^2+d^2-b^2-c^2)(2ad+2bc-a^2-d^2+b^2+c^2)\\ =\dfrac{(a+b+c-d)}{2}\dfrac{(a+b-c+d)}{2}\dfrac{(a-b+c+d)}{2}\dfrac{(-a+b+c+d)}{2}\\ =(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)

ただし,途中の変形において,

(*): A+C=180A+C=180^\circ より sinA=sinC\sin A=\sin C であることを用いた。

(**):余弦定理より a2+d22adcosA=b2+c22bccosCa^2+d^2-2ad\cos A=b^2+c^2-2bc\cos C および cosC=cosA\cos C=-\cos A より,cosA=a2+d2b2c22(ad+bc)\cos A=\dfrac{a^2+d^2-b^2-c^2}{2(ad+bc)} であることを用いた。

ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明

方針

三角形の面積ならヘロンの公式を用いて辺の長さだけで表せます。よって,面積を求めたい四角形を「大きい三角形」ー「小さい三角形」と捉えます。すると,相似な三角形が現れてうまくいきます。

証明

四角形 ABCDABCD が長方形の場合は簡単。以下,長方形でないとする。すると ADADBCBC が平行でないと仮定しても一般性を失わないので,交点を EE とおく。 EA=p,EB=qEA=p, EB=q とおく。

ブラーマグプタの公式の証明

EABEAB と△ ECDECD は相似なので,

a:c=q:p+da(p+d)=cqa:c=p:q+ba(q+b)=cpa:c=q:p+d\\\to a(p+d)=cq\\ a:c=p:q+b\\\to a(q+b)=cp

この2式の和と差を取る:

p+q=a(b+d)capq=a(bd)c+ap+q=\dfrac{a(b+d)}{c-a}\\ p-q=\dfrac{a(b-d)}{c+a}

また,三角形 EABEAB の面積を TT とおくと,相似な三角形の面積比は辺の比の2乗なので,

T:T+S=a2:c2T:T+S=a^2:c^2

以上から,

S=c2a2a2T=c2a24a2(a+p+q)(a+p+q)(ap+q)(a+pq)=c2a24a2(a+a(b+d)ca)(a+a(b+d)ca)(aa(bd)c+a)(a+a(bd)c+a)=14(a+b+c+d)(ab+c+d)(a+bc+d)(a+b+cd)=(sa)(sb)(sc)(sd)S=\dfrac{c^2-a^2}{a^2}T\\ =\dfrac{c^2-a^2}{4a^2}\sqrt{(a+p+q)(-a+p+q)(a-p+q)(a+p-q)}\\ =\dfrac{c^2-a^2}{4a^2}\sqrt{(a+\dfrac{a(b+d)}{c-a})(-a+\dfrac{a(b+d)}{c-a})(a-\dfrac{a(b-d)}{c+a})(a+\dfrac{a(b-d)}{c+a})}\\ =\dfrac{1}{4}\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b+c+d)(a+b-c+d)(a+b+c-d)}\\ =\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}

ただし,1行目から2行目の変形にヘロンの公式を用いた。

余談

誘導つき(証明1の方針)でブラーマグプタの公式の証明が,立命館大学で出題されたことがあります。

円に内接するとは限らない一般の四角形の面積については,より複雑な公式があります。→ブレートシュナイダーの公式

ヘロンの公式を用いる方法もなかなかおしゃれです。

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