1のn乗根の性質と複素数平面

更新日時 2023/07/26

nn 乗して 11 になる複素数,つまり 11nn 乗根について,2つの性質を紹介します。

1のn乗根の性質
  • 1の nn 乗根は複素数平面の単位円周上に等間隔で並ぶ。

  • 1の nn 乗根は全部で nn 個あるが,それらの和は0である。

1の三乗根,四乗根

まずは,具体的に n=3,4n=3,4 の場合を考えてみます。

例題1

11 の三乗根を計算して,2つの性質を確認せよ。

解答

z3=1z^3=1 の解が 11 の三乗根である。

z31=0z^3-1=0
(z1)(z2+z+1)=0(z-1)(z^2+z+1)=0
z=1,z=1±3i2z=1,z=\dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}

  • これを複素数平面上に図示すると,単位円周上に等間隔で並ぶ。 1の3乗根の図示
  • 33 つの三乗根の和は,
    1+1+3i2+13i2=01+\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}+\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}=0
例題2

11 の四乗根を計算して,2つの性質を確認せよ。

解答

z4=1z^4=1 の解が 11 の四乗根である。

z41=0z^4-1=0
(z21)(z2+1)=0(z^2-1)(z^2+1)=0
z=±1,±iz=\pm 1,\pm i

  • これを複素数平面上に図示すると,単位円周上に等間隔で並ぶ。 1の4乗根の図示
  • 44 つの三乗根の和は,
    11+ii=01-1+i-i=0

1のn乗根の導出

まずは,1つめの性質についてです。1の nn 乗根は複素数平面の単位円周上に等間隔で並ぶことを証明します。

いくつか考え方はありますが,前提知識として「複素数の積と回転が対応していること」の理解が必要です。

証明

11nn 乗根は nn 個以下であること

11nn 乗根は zn=1z^n=1 の解である。 nn 次方程式の解は重複度込みで nn 個(代数学の基本定理)なので 11nn 乗根は全部で nn 個以下である。

・実際に nn 乗根を構成する

zk=cos2πkn+isin2πkn(k=0,1,,n1) z_k=\cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n}\:(k=0,1,\cdots, n-1)

たちが 11nn 乗根であることはド・モアブルの定理を用いることで以下のように確認できる:

zkn=(cos2πkn+isin2πkn)n=cos2πk+isin2πk=1\begin{aligned} z_k^n &= \left( \cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n} \right)^n\\ &= \cos 2\pi k+i\sin 2\pi k\\ &= 1 \end{aligned}

zkz_k は単位円周上に等間隔で並ぶので,目標の性質が証明された。

なお,cos2πn+isin2πn\cos\dfrac{2\pi}{n}+i\sin\dfrac{2\pi}{n}11nn 乗根の k=1k=1 の場合のもの)を ξn\xi_n と書くことが多いです。

また,このように ξn\xi_n を定めると, 11nn 乗根たちは ξnk(k=0,1,,n1)\xi_n^k\:(k=0,1,\cdots ,n-1) と書けることも分かります。

1のn乗根の和

次は2つめの性質です。1の nn 乗根の和が 00 であることを証明します。解と係数の関係を使うだけです!

証明1

11nn 乗根たちは方程式 zn1=0z^n-1=0 の解である。

よって,解と係数の関係よりそれらの和は 00 である。

図形的に説明することもできます。

直感的な説明

11nn 乗根たちは複素数平面上で正 nn 角形の頂点たちとなる。

その正 nn 角形の重心は対称性より原点にある。

よって,11nn 乗根たちの和は 00 である。

1の5乗根

1の5乗根は,相反方程式とその解き方の考え方を使って具体的に計算できます。

1の5乗根

11 の5乗根は,111±54±10±254i\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}\pm\dfrac{\sqrt{10\pm 2\sqrt{5}}}{4}i ただし,±\pm が3つあるが,1つめと3つめは同じ符号を選ぶ。あとは任意。

1の5乗根の導出

z5=1z^5=1 を解けばよい。移行して因数分解すると, (z1)(z4+z3+z2+z+1)=0(z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)=0 第二因数について,相反方程式なので z2z^2 で割って変形すると, z2+1z2+z+1z+1=0z^2+\dfrac{1}{z^2}+z+\dfrac{1}{z}+1=0 z+1z=tz+\dfrac{1}{z}=t とおくと, t22+t+1=0t^2-2+t+1=0 つまり,t=1±52t=\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{2}

一方,z+1z=tz+\dfrac{1}{z}=tzz について解くと z2tz+1=0z^2-tz+1=0 から z=t±t242z=\dfrac{t\pm\sqrt{t^2-4}}{2}

以上より,z=1±52±625442z=\dfrac{\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}\pm\sqrt{\frac{6\mp2\sqrt{5}}{4}-4}}{2} z=1±54±10±254iz=\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}\pm\dfrac{\sqrt{10\pm 2\sqrt{5}}}{4}i ただし,±\pm が3つあるが,1つめと3つめは同じ符号を選ぶ。4つの解を得られる。

1の17乗根もとても大変ですが2次方程式を繰り返し解くことで計算できます。高木貞治の初等整数論講義には「1のp乗根,特に17乗根」という章があります。

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