1のn乗根の性質と複素数平面

更新日時 2021/03/07

nn 乗して 11 になる複素数,つまり 11nn 乗根について,2つの性質を紹介します。

1のn乗根の性質
  • 1の nn 乗根は複素数平面の単位円周上に等間隔で並ぶ。

  • 1の nn 乗根は全部で nn 個あるが,それらの和は0である。

目次
  • 1の三乗根,四乗根

  • 1のn乗根の導出

  • 1のn乗根の和

1の三乗根,四乗根

まずは,具体的に n=3,4n=3,4 の場合を考えてみます。

例題1

11 の三乗根を計算して,2つの性質を確認せよ。

解答

z3=1z^3=1 の解が 11 の三乗根。

z31=0z^3-1=0
(z1)(z2+z+1)=0(z-1)(z^2+z+1)=0
z=1,z=1±3i2z=1,z=\dfrac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}

  • これを複素数平面上に図示すると,単位円周上に等間隔で並ぶ。 1の3乗根の図示
  • 33 つの三乗根の和は,
    1+1+3i2+13i2=01+\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}+\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}=0
例題2

11 の四乗根を計算して,2つの性質を確認せよ。

解答

z3=1z^3=1 の解が 11 の四乗根。

z41=0z^4-1=0
(z21)(z2+1)=0(z^2-1)(z^2+1)=0
z=±1,±iz=\pm 1,\pm i

  • これを複素数平面上に図示すると,単位円周上に等間隔で並ぶ。 1の4乗根の図示
  • 44 つの三乗根の和は,
    11+ii=01-1+i-i=0

1のn乗根の導出

まずは,1つめの性質についてです。1の nn 乗根は複素数平面の単位円周上に等間隔で並ぶことを証明します。

いくつか考え方はありますが,前提知識として「複素数の積と回転が対応していること」の理解が必要になります。
→複素数平面における回転と極形式
→ド・モアブルの定理の意味と証明

証明

11nn 乗根は nn 個以下であること

11nn 乗根は zn=1z^n=1 の解である。 nn 次方程式の解は重複度込みで nn 個(代数学の基本定理)なので 11nn 乗根は全部で nn 個以下である。

・実際に nn 乗根を構成してやる

zk=cos2πkn+isin2πkn(k=0,1,,n1)z_k=\cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n}\:(k=0,1,\cdots, n-1)

たちが 11nn 乗根であることはド・モアブルの定理を用いることで以下のように確認できる:

zkn=(cos2πkn+isin2πkn)n=cos2πk+isin2πk=1z_k^n=(\cos\dfrac{2\pi k}{n}+i\sin\dfrac{2\pi k}{n})^n\\ =\cos 2\pi k+i\sin 2\pi k\\ =1

zkz_k は単位円周上に等間隔で並ぶので,目標の性質が証明された。

なお,cos2πn+isin2πn\cos\dfrac{2\pi}{n}+i\sin\dfrac{2\pi}{n}11nn 乗根の k=1k=1 の場合のもの)を ξn\xi_n と書くことが多いです。

また,このように ξn\xi_n を定めると, 11nn 乗根たちは ξnk(k=0,1,,n1)\xi_n^k\:(k=0,1,\cdots ,n-1) と書けることも分かります。

1のn乗根の和

次は2つめの性質です。1の nn 乗根の和が 00 であることを証明します。解と係数の関係を使うだけです!

証明1

11nn 乗根たちは方程式 zn1=0z^n-1=0 の解である。

よって,解と係数の関係よりそれらの和は 00 である。

図形的に説明することもできます。

直感的な説明

11nn 乗根たちは複素数平面上で正 nn 角形の頂点たちとなる。

その正 nn 角形の重心は対称性より原点にある。

よって,11nn 乗根たちの和は 00 である。

高木貞治の初等整数論講義には「1のp乗根,特に17乗根」という章があります。

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