複素数平面において正三角形となる条件

複素数 α,β,γ\alpha,\beta,\gamma に対応する複素数平面上の3点 A(α),B(β),C(γ)A(\alpha), B(\beta), C(\gamma) が正三角形となる必要十分条件は,

(αβ)2+(βγ)2+(γα)2=0(\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2+(\gamma-\alpha)^2=0

複素数平面における有名な定理です。この定理の証明を2通り解説します。

複素数平面における正三角形

  • まずは具体例で確認してみます。
    A(0),B(1),C(1+3i2)A(0), B(1), C\left(\dfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\right) とすると ABCABC は正三角形となることが(図示してみれば)簡単に分かります。差の二乗和を計算してみると,12+(1+3i2)2+(13i2)2=01^2+\left(\dfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\right)^2+\left(\dfrac{1-\sqrt{3}i}{2}\right)^2=0 となり,定理が成立していることが確認できます。
  • 定理の条件は α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha と書くこともできます。こちらの形で出題されることもあります。
  • 差の二乗和が 00 になるという条件は実数に限れば α=β=γ\alpha=\beta=\gamma のみですが,複素数まで広げると様々な複素数の組で条件が満たされます。
  • α=β=γ\alpha=\beta=\gamma の場合は辺の長さが無限小の正三角形とみなす立場です。以下では α,β,γ\alpha,\beta,\gamma が全て異なる場合を考えて証明します。

複素数平面における正三角形条件の証明1

複素数平面における回転が複素数の積に対応していることを使います。

証明

ABCABC が正三角形となるとき,以下の2パターンが考えられる。

  1. 三点 ABCABC が反時計回りに並んでいるとき,
    ABundefined\overrightarrow{AB}AA を中心に 6060^{\circ} 回転させたものが ACAC となるので, γα=(1+3i2)(βα) \gamma-\alpha=\left(\dfrac{1+\sqrt{3}i}{2}\right)(\beta-\alpha)

  2. 三点 ABCABC が時計回りに並んでいるとき,
    ABundefined\overrightarrow{AB}AA を中心に 60-60^{\circ} 回転させたものが ACAC となるので, γα=(13i2)(βα) \gamma-\alpha= \left( \dfrac{1-\sqrt{3}i}{2} \right) (\beta-\alpha)

いずれの場合も ±3i\pm \sqrt{3}i 以外を左辺に移項して両辺二乗すると,

(2(γα)βα1)2=3() \left(\dfrac{2(\gamma-\alpha)}{\beta-\alpha}-1\right)^2=-3\:\:\cdots (※)

逆に ()(※) が成立するとき上記の2パターンの式のいずれかが成立するので ABCABC は正三角形となる。

よって,()(※) が複素数平面において三点が正三角形となる必要十分条件である。これを展開して整理すると,α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha となる。

複素数平面における正三角形条件の証明2

証明

ABundefined\overrightarrow{AB} から見た BCundefined\overrightarrow{BC} の回転角と拡大率を Z1Z_1 とおく:

γβ=Z1(βα)\gamma-\beta=Z_1(\beta-\alpha)

BCundefined\overrightarrow{BC} から見た CAundefined\overrightarrow{CA} の回転角と拡大率を Z2Z_2 とおく:

αγ=Z2(γβ)\alpha-\gamma=Z_2(\gamma-\beta)

正三角形となる必要十分条件は Z1=Z2Z_1=Z_2 なので(注)

求める条件は,

γββα=αγγβ \dfrac{\gamma-\beta}{\beta-\alpha}=\dfrac{\alpha-\gamma}{\gamma-\beta}

これを整理すると α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha となる。

注:「正三角形→ Z1=Z2Z_1=Z_2 」であるのは自明。

Z1=Z2Z_1=Z_2 →正三角形」については,

「回転角が等しい→ B=C\angle B=\angle CAB=ACAB=AC 」であり等しい拡大率は 11 であることから AB=BC=CAAB=BC=CA が言える。

いろいろな条件

ここまでで,正三角形となる必要十分条件を2つ紹介しました:

  1. (αβ)2+(βγ)2+(γα)2=0(\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2+(\gamma-\alpha)^2=0

  2. α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha

実は,2を強めた以下の式が京大2005年理系大問3で出題されています。

  1. α2+β2+γ2=α+β+γ=0\alpha^2+\beta^2+\gamma^2=\alpha+\beta+\gamma=0

「3ならば2」は簡単に示せるので,3は正三角形となる十分条件です。また,以下の式が九大2023年理系大問1で出題されています。

  1. (αβ)4+(βγ)4+(γα)4=0(\alpha-\beta)^4+(\beta-\gamma)^4+(\gamma-\alpha)^4=0

4は,以下のように1と同値であることがわかります。つまり,正三角形となる必要十分条件です。

証明

x4+y4+z4=(x2+y2+z2)22(x2y2+y2z2+z2x2)=(x2+y2+z2)22{(xy+yz+zx)22xyz(x+y+z)}\begin{aligned} &x^4+y^4+z^4\\ &=(x^2+y^2+z^2)^2-2(x^2y^2+y^2z^2+z^2x^2)\\ &=(x^2+y^2+z^2)^2-2\{(xy+yz+zx)^2-2xyz(x+y+z)\} \end{aligned}

に注意する。x=αβ,y=βγ,z=γαx=\alpha-\beta,y=\beta-\gamma,z=\gamma-\alpha とおくと,x+y+z=0x+y+z=0 かつ

xy+yz+zx=(α2+β2+γ2αββγγα)=12{(αβ)2+(βγ)2+(γα)2}=x2+y2+z22\begin{aligned} &xy+yz+zx\\ &=-(\alpha^2+\beta^2+\gamma^2-\alpha\beta-\beta\gamma-\gamma\alpha)\\ &=-\dfrac{1}{2}\{(\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2+(\gamma-\alpha)^2\}\\ &=-\dfrac{x^2+y^2+z^2}{2} \end{aligned}

以上より

x4+y4+z4=12(x2+y2+z2)2 x^4+y^4+z^4=\dfrac{1}{2} (x^2+y^2+z^2)^2

となり1と4は同値。

2乗でも4乗でも正三角形というのはおもしろいですね。

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