三角数とは,三角数定理,平方数との関係

  1. 三角数とは?

  2. 三角数定理

  3. ペル方程式を使って,三角数かつ平方数であるものを明示的に表す公式を導出(←感動!)。

の順に紹介します。

三角数とは

三角数の定義

三角数とは, 図のように正三角形の形に点を並べたときに,点の個数としてあらわれる数のことです。

三角数を小さい順に並べていくと,1,3,6,10,15,21,1,3,6,10,15,21,\dots となります。

同様に,四角数(=平方数)なども定義できます。

三角数の求め方

nn 番目の三角数は Tn=n(n+1)2T_n=\dfrac{n(n+1)}{2} である。

これは,11 から nn までの数字の和が n(n+1)2\dfrac{n(n+1)}{2} ということと同じです。数学Bで習う数列の簡単な公式に過ぎません。

三角数の求め方

シグマを知らなくても図のように点を並べて説明することで 2Tn=n(n+1)2T_n=n(n+1) が簡単に(小学生でも)理解できます。

三角数定理

三角数定理(ガウスの三角数定理)

任意の正の整数 nn は3つ以下の三角数の和で表すことができる。

  • 7=3+3+17=3+3+1
  • 17=10+6+117=10+6+1
  • 21=15+621=15+6

実はこの定理,一般の mm 角数に拡張できます。全ての m3m\geqq 3 に対して「任意の正の整数は mm 個以下の mm 角数の和で表すことができる」のです! m=4m=4 の場合がラグランジュの四平方定理(有名)です。→整数論の美しい定理7つの五つ目。

この定理の証明は非常に難しいです(三角数の場合でさえ大変)。

三つの平方数の和

三角数定理の証明に用いる定理を紹介します。

定理1

88 で割って 33 余る正の整数は,3つ以下の平方数の和で表せる(ルジャンドルの結果の特殊な場合)

19=32+32+1219=3^2+3^2+1^2

定理1を証明するのが大変ですが,定理1さえ認めてしまえば三角数定理の証明は簡単です。

定理1を認めたもとで三角数定理を証明

nn を3つの三角数の和で表すことを考える。

定理1より 8n+3=a2+b2+c28n+3=a^2+b^2+c^2 となる非負の整数 a,b,ca,b,c が存在する。

平方数を 88 で割った余りは 0,1,40,1,4 のいずれかなので,a,b,ca,b,c はいずれも 88 で割って 11 余る数である。よって,a,b,ca,b,c はいずれも奇数となり, a=2A+1,b=2B+1,c=2C+1a=2A+1,b=2B+1,c=2C+1 とおける(A,B,CA,B,C は非負整数)。

このとき, 8n+3=(2A+1)2+(2B+1)2+(2C+1)28n+3=(2A+1)^2+(2B+1)^2+(2C+1)^2 整理する: 8n=4A2+4A+4B2+4B+4C2+4C8n=4A^2+4A+4B^2+4B+4C^2+4C n=A(A+1)2+B(B+1)2+C(C+1)2n=\dfrac{A(A+1)}{2}+\dfrac{B(B+1)}{2}+\dfrac{C(C+1)}{2} つまり,nn は三つの三角数の和で表せた!

三角数かつ平方数(四角数)であるもの

最後に,三角数かつ平方数であるような正の整数について考えます。途中でペル方程式が登場します。→ペル方程式に関する基本的な性質まとめ

定理2

三角数かつ平方数である数は,正の整数 kk を使って 132{(3+22)k(322)k}2\dfrac{1}{32}\{(3+2\sqrt{2})^k-(3-2\sqrt{2})^k\}^2 と表せる(そしてこれですべて)。

証明

NN が三角数かつ平方数のとき, N=n(n+1)2=m2N=\dfrac{n(n+1)}{2}=m^2 となる正の整数 m,nm,n が存在する。

二次の不定方程式は適切に変換することでペル方程式になることが多い。今回も, n2+n=2m2(n+12)214=2m2(2n+1)21=8m2l28m2=1n^2+n=2m^2\\\to \left(n+\dfrac{1}{2}\right)^2-\dfrac{1}{4}=2m^2\\ \to (2n+1)^2-1=8m^2\\\to l^2-8m^2=1

ただし,l=2n+1l=2n+1 とおいた。

このペル方程式の特殊解は l=3,m=1l=3,m=1 であるので,一般解は lk+mk8=(3+8)kl_k+m_k\sqrt{8}=(3+\sqrt{8})^k である。mkm_k を明示的に求める(→補足)と, mk=142{(3+8)k(38)k}m_k=\dfrac{1}{4\sqrt{2}}\{(3+\sqrt{8})^k-(3-\sqrt{8})^k\} よって,三角数かつ平方数であるものは, mk2=132{(3+22)k(322)k}2m_k^2=\dfrac{1}{32}\{(3+2\sqrt{2})^k-(3-2\sqrt{2})^k\}^2

補足

共役無理数に関する二つの定理の二つ目の定理より, lk+mk8=(3+8)kl_k+m_k\sqrt{8}=(3+\sqrt{8})^k から lkmk8=(38)kl_k-m_k\sqrt{8}=(3-\sqrt{8})^k が分かります。この二式から lkl_k を消去すると mkm_k が求まります。

これは読者の方に教えていただきました,感謝!

ペル方程式が登場して嬉しいです!