デカルトの符号法則

デカルトの符号法則

降べきの順に整理された多項式 f(x)f(x) の係数の符号変化回数を kk とする。

このとき,f(x)=0f(x)=0 の実数解のうち正のものの個数は,重複度込みで k,k2,k4,,k,\:k-2,\:k-4,\cdots, のいずれか。

デカルトの符号法則の具体例

例1

f(x)=x3+2x23x+4=0f(x)=x^3+2x^2-3x+4=0

の実数解のうち正のものの数を求める。

係数の符号は順に「+,+,-,+」なので符号変化回数は 22 回。よって,正の実数解は 22 個または 00 個。

  • 三次関数なので,実数解の配置はグラフを書けば分かるのですが,デカルトの符号法則を用いれば一瞬で正の解の個数についての情報が得られます。
  • 符号変化回数 kk が少ないほど強い情報が得られます。例えば k=1k=1 だと正の実数解の個数は 11 と特定できますが,k=5k=5 だと正の実数解の個数は k=5,3,1k=5,\:3,\:1 のいずれかです。

負の実数解の個数について

f(x)=0f(x)=0 の負の実数解の個数は f(x)=0f(-x)=0 の正の実数解の個数であることに注意すると以下の定理を得ます。

f(x)f(-x) の係数の符号変化回数を kk' とする。

f(x)=0f(x)=0 の実数解のうち負のものの個数は,重複度込みで k,k2,k4,,k',\:k'-2,\:k'-4,\cdots, のいずれか

例2

f(x)=x5x3+x2+4x+1=0f(x)=x^5-x^3+x^2+4x+1=0

の実数解のうち負のものの数を求める。

f(x)=(x)5(x)3+(x)2+4(x)+1=x5+x3+x24x+1f(-x)=(-x)^5-(-x)^3+(-x)^2+4(-x)+1\\=-x^5+x^3+x^2-4x+1

であり,係数の符号は順に「-,+,+,-,+」なので符号変化回数は 33 回。よって,負の実数解は 33 個または 11 個。

注:上記の x4x^4 の係数のように 00 は飛ばして考えます。

中間値の定理との関係

実は重解がない場合に限れば 正の実数解(または負の実数解)の個数の偶奇だけなら中間値の定理からも分かります。

例えば f(x)f(x) の最高次の係数が正で,f(0)f(0) が正のとき。 xx 軸をまたぐ回数をカウントすることにより,正の実数解は偶数個だと分かります。

また,最高次と定数項の係数が正なので,符号変化回数は偶数回になっています。よって, 中間値の定理で得られる情報がデカルトの符号法則からも得られます。

このように,デカルトの符号法則はある意味では中間値の定理よりも強い法則とみなせます。

デカルトの符号法則についての諸注意

  • デカルトの符号法則を知っていれば有利になる問題はほとんどありません。 追記:2010年の東京女子医大の入試問題に使えるようです。

  • デカルトの符号法則を用いれば多項式の正の(or負の)実数解の個数についての条件が素早く得られるので,多項式の方程式を解いたときにそれに矛盾していないか確認することで検算になります。

  • デカルトの符号法則をきちんと証明するのはけっこう大変です。

参考にしたサイト: Descartes’ Rule of Signs(海外のサイトです)

デカルトの符号法則は適用が簡単なのがありがたいです。