n本の直線の交点の数
平面上に 本の直線を引くとき交点の数の最大値 を求めよ。
易しい問題ですが,考え方が重要かつ有名な問題なので紹介します。
漸化式を用いた解法
コンビネーションを用いた解法
一般の位置
漸化式を用いた解法
様子をつかむために が小さい場合について実験してみます。
のとき
のとき
のとき
交点の数をできるだけ増やすには,
「今までに引いた直線に平行にならないようにする」かつ
「今までにある交点を通らないようにする」必要があることが分かります。
このことに注意すると,以下の解答が思いつきます。
交点をできるだけ増やそうとすると, 本目の直線を引くときに新たに 個の交点が発生するので,
よって,この式を から まで足し合わせると,
コンビネーションを用いた解法
賢い人は一瞬で以下の解答が思いつくでしょう。
2本の直線を選ぶと交点が1つ定まるので,交点は最大で 本。
「 本の直線のどの2本の直線も平行でない」かつ
「 本の直線のどの3本も一点で交わらない」
ならば任意の2本の直線の組に対して別々の交点が定まるので,実際に交点の数 が達成される。
一般の位置
上記のいずれの解答中にも述べたように,交点の数が最大となるためには2つの条件が満たされる必要がありました:
「 本の直線のどの2本の直線も平行でない」かつ
「 本の直線のどの3本も一点で交わらない」
このような 本の直線は「一般の位置にある」といいます。
平面上に適当に直線を 本引くと,ほぼ100%一般の位置にある直線群が得られます。(「適当に」とは正確には一様分布を用いて表現します)
この「一般の位置」という考え方は,数学と現実の問題を結びつけるときに大事な概念になります。
この概念は様々な場面で登場します。「ほとんど1に近い確率で」「測度0集合上を除いて」「almost everywhere」「generic」など様々な表現がありますが,全て意味していることは同じです。
- 以上 以下の適当な実数を2つ選ぶとそれらはほぼ間違いなく一致しない
- 平面上に適当に3点うつと一般的には三角形ができる(同一直線上にはない)
工学では起こる確率が十分0に近いような事象はスルーすることが多いのです。もちろん一様分布が適用できない場合もあり,その場合は対称性がある場合もきちんと考える必要があります。
3回切ればケーキを7個に分割することができます(等分ではないので不公平ですが)