0の階乗を1と定義する理由
Q:なぜ なのか?
A:そう定義すると都合がよいから。
正の整数 に対して は「 から まで整数の積」で定義されます。では はいくつになるのか,理由とともに解説します。
0の階乗の定義
0の階乗の定義
と定義したくなる気持ちも分かりますが, と定義した方がいろいろ都合がよいです。
どう都合がよいか大雑把に言うと, とすることで,正の整数の階乗を含む「様々な関係式」が の階乗の場合にも成立するようになり統一的に扱える(場合分けが不要)となります。
この記事では「様々な関係式」を説明することで, という定義を納得してもらうのが目標です。
階乗の再帰式
階乗の再帰式
これは では明らかに成立する関係式です(これを階乗の定義に使うこともあります)。
と定義することで,この式が でも成り立つ,つまり となります。
コンビネーション
コンビネーション
個のものから 個選ぶ場合の数を とすると, のとき, を満たします。
と定義することで,この式が でも成り立つ,つまり となります( 個のものから 個選ぶ方法は一通り)。
マクローリン展開
マクローリン展開
(高校数学の範囲外です)
と定義することでマクローリン展開の公式を
と簡潔に書くことができます。
例えば,
という式を
と書くことができます。調和が取れていて美しいです!
ガンマ関数
ガンマ関数
(こちらも高校数学の範囲外です)
実は, に対して という関係式が成立します。
と定義すれば,この関係式が でも成立します。
詳しくはガンマ関数(階乗の一般化)の定義と性質をどうぞ。
定義は約束事であって証明すべきことではありません。 を証明して下さいって言われると困っちゃいます。