sinのn乗,cosのn乗の積分公式

更新日時 2021/03/07

sinnx,cosnx\sin^n x,\:\cos^n x の定積分は,部分積分と漸化式を使って求めることができる。

sinnx\sin^nxcosnx\cos^n x の定積分を求める解法を説明します。nn 乗の積分を求める際に部分積分を用いて漸化式を導く方法は頻出です。

また,途中で三角関数の積分に関する一般的な公式(sin\sincos\cos の対称性)が出てきます。

目次
  • sinのn乗の積分

  • 対称性を利用したcosのn乗の積分

sinのn乗の積分

部分積分と漸化式を用いて,In=0π2sinnxdxI_n=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^nxdx を求めてみます。初期条件として I0=π2I_0=\dfrac{\pi}{2}I1=1I_1=1 を用います。

In=0π2sinxsinn1xdx=[cosxsinn1x]0π2+(n1)0π2sinn2xcos2xdx=(n1)0π2sinn2x(1sin2x)dx=(n1)In+(n1)In2I_n=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin x\sin^{n-1}xdx\\\displaystyle =[-\cos x\sin^{n-1}x]_0^{\frac{\pi}{2}}+(n-1)\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x\cos^2xdx\\ =\displaystyle(n-1)\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-2}x(1-\sin^2x)dx\\ =-(n-1)I_n+(n-1)I_{n-2}

よって,以下の漸化式が成立する:

In=n1nIn2I_n=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2}

よって,nn が奇数のとき,

In=n1nIn2=n1nn3n2In4==(n1)!!n!!I1=(n1)!!n!!I_n=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2}\\ =\dfrac{n-1}{n}\dfrac{n-3}{n-2}I_{n-4}\\ =\cdots=\dfrac{(n-1)!!}{n!!}I_1\\ =\dfrac{(n-1)!!}{n!!}

同様に,nn が偶数のとき,

In=n1nIn2=n1nn3n2In4==(n1)!!n!!I0=π2(n1)!!n!!I_n=\dfrac{n-1}{n}I_{n-2}\\ =\dfrac{n-1}{n}\dfrac{n-3}{n-2}I_{n-4}\\ =\cdots=\dfrac{(n-1)!!}{n!!}I_0\\ =\dfrac{\pi}{2}\dfrac{(n-1)!!}{n!!}

ここで,n!!n!! は1個飛ばしの階乗を表します(二重階乗と言います)。→階乗,二重階乗,超階乗

例えば 4!!=42=84!!=4\cdot 2=8 や,5!!=531=155!!=5\cdot 3\cdot 1=15 などです。

対称性を利用したcosのn乗の積分

sin\sin の積分ができれば cos\cos の積分もできる」というのが積分の鉄則の1つです。 sin\sin の積分と cos\cos の積分がどのように対応しているかは定積分の範囲によるので,そのつど図を描くとよいです。

積分におけるsinとcosの対称性 今回は定積分の範囲が 00 から π2\dfrac{\pi}{2} までで,cos(π2x)=sinx\cos\left(\dfrac{\pi}{2}-x\right)=\sin x となるので一般的に,

0π2f(cosx)dx=0π2f(sinx)dx\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\cos x)dx=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}f(\sin x)dx

が成立します。よって,cos\cosnn 乗の積分は sin\sinnn 乗の積分と同じです。

以上の結果をまとめると以下のようになります:

nn が奇数のとき,

0π2sinnxdx=0π2cosnxdx=(n1)!!n!!\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^nxdx=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^nxdx =\dfrac{(n-1)!!}{n!!}

nn が偶数のとき,

0π2sinnxdx=0π2cosnxdx=π2(n1)!!n!!\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^nxdx=\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^nxdx=\dfrac{\pi}{2}\dfrac{(n-1)!!}{n!!}

ちなみに,定積分の範囲を変えた問題も出題されますが,本質的には上記の積分と同じです。全て同様に部分積分と漸化式のテクニックで対応できます。

重要なのは上記の公式を覚えることよりも,sinnx,cosnx\sin^n x, \cos^n x の定積分は部分積分と漸化式を使って求めることができる,と理解しておくことです。

ちなみに,tan2nx\tan^{2n} x の定積分も漸化式を使って求めることができます。→グレゴリー・ライプニッツ級数の2通りの証明

サインとコサインの積分は同じ方法でできる!

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