ガウス記号の定義と3つの性質
実数 に対して「 の整数部分」を または と書くことが多い。
ただし「 の整数部分」とは を満たす整数 のこと。
例えば, の整数部分は なので
ガウス記号,フロアー関数,床関数,整数部分,など様々な呼び方があります。
ガウス記号の定義
ガウス記号の定義
を満たす整数 のことを と書きます。
- 例えば, のとき, なので ,つまり です。
- のとき, なので です。
- は を超えない最大の整数,と言うこともできます。
-
は の整数部分である。
-
の切り捨てが である。
ただし, がマイナスの場合は注意が必要です。 の整数部分は と言いたくなりますが,さきほど見たように です。 迷ったら「きちんとした定義」を使いましょう。
「切り捨て,整数部分」などの言葉が出てきたらガウス記号を連想しましょう。ただし,実際に問題を解くときはほとんどの場合「きちんとした定義」の不等式を使うことになります。
ガウス記号に対して苦手意識を持っている人は多いですが,ガウス記号にまつわる問題は丁寧な場合分け&簡単な不等式処理で解けることが多いです。
ガウス記号の表記
ガウス記号の表記
-
ではなく と書くこともあります。むしろ高校数学・大学入試では を用いることが多いです。
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この記事では, と の両方をガウス記号と呼んでいますが,一般的に「ガウス記号」と呼ばれるのは のみのようです。
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ガウス記号(切り捨て)は ですが,逆に切り上げを と書くことがあります。天井関数などと呼びます。切り上げと切り捨てをセットにすると覚えやすいので, よりも と書く方がわかりやすいです。
ガウス記号とグラフ
ガウス記号とグラフ
ガウス記号に慣れるために のグラフを描いてみます。
- のとき
- のとき
- のとき
などに注意すると, のグラフは図のようになります。
同様に, などのもっと複雑な関数のグラフも,場合分けがめんどうになりますが,丁寧に場合分けすれば描くことができます。
ガウス記号の3つの性質
ガウス記号の3つの性質
ガウス記号には様々な性質がありますが,特に以下の3つは覚えておくとよいでしょう。
は任意の実数, は任意の整数。
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性質1:
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性質2:
-
性質3:
性質1は「 の整数部分は の整数部分に を足したもの」という意味であり,明らかです。 のグラフからも分かります。
性質2も「二つの数を足してから切り下げたもの」は「二つの数を切り下げてから足したもの」以上であるというのは明らかです。性質2のエレガントな応用例として,連続するn個の整数の積と二項係数があります。
性質3は後できちんと証明します。
ガウス記号の性質3の証明
ガウス記号の性質3の証明
を証明します。ガウス記号の問題は丁寧に場合分けするのみです。
・まず, の場合に証明する。
のとき,左辺も右辺も となるのでOK。
のとき,左辺も右辺も となるのでOK。
・次に,一般の に対して証明する。 の整数部分を ,小数部分を とおくと であり,ガウス記号の性質1より,
ところが,さきほど示したことより なので両者は一致する。
ちなみに,性質3は以下のように一般化できます:
性質3’:
( は任意の整数)
これを,エルミートの恒等式(Hermite’s identity)と言います。
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT134では,ガウス記号に関する問題と2通りの解答を紹介しています。
読者の方にはいつもお世話になっておりますm(_ _)m