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ガウス記号の定義と3つの性質

更新日時 2021/03/07
ガウス記号

実数 xx に対して,nx<n+1n\leq x <n+1 なる整数 nn がただ一つ存在するので,その nnx\lfloor x\rfloor と書く。

例: 2.1=2\lfloor 2.1\rfloor=23=3\lfloor 3\rfloor=32.3=3\lfloor -2.3\rfloor=-3

ガウス記号,フロアー関数,床関数,整数部分,など様々な呼び方があります。また,x\lfloor x\rfloor ではなく [x][x] と書くこともあります(むしろ大学入試では後者の記号を用いることが多い)。

目次
  • ガウス記号の定義について

  • ガウス記号とグラフ

  • ガウス記号の3つの性質

  • ガウス記号の性質3の証明

ガウス記号の定義について

x=n\lfloor x\rfloor=n であることは以下のようにいろいろな言いかえができます。最初は以下の4つのうち一番しっくりくる日本語で定義を覚えるとよいでしょう。

  • 1:nn は整数で nx<n+1n\leq x <n+1 を満たす。

  • 2:nnxx の整数部分である。

  • 3:xx の切り捨てが nn である。

  • 4:nnxx を超えない最大の整数である。

例えば,2.1=2\lfloor 2.1\rfloor=23=3\lfloor 3\rfloor=32.3=3\lfloor -2.3\rfloor=-3 などとなります。

4つのどの言葉で登場するかは問題によりますが「切り捨て,整数部分」などの言葉が出てきたらガウス記号を連想しましょう。ただし,実際に問題を解くときはほとんどの場合,1の不等式を使うことになります。

ガウス記号に対して苦手意識を持っている人は多いですが,ガウス記号にまつわる問題は丁寧に場合分け&簡単な不等式処理で解けることが多いです。

ガウス記号とグラフ

ガウス記号のグラフ

ガウス記号に慣れるために y=xy=\lfloor x\rfloor のグラフを描いてみます。

  • 0x<10\leq x <1 のとき y=0y=0
  • 1x<21\leq x <2 のとき y=1y=1
  • 1x<0-1\leq x <0 のとき y=1y=-1

などに注意すると,y=xy=\lfloor x\rfloor のグラフは図のようになります。

同様に,y=x+2x+3xy=\lfloor x\rfloor+\lfloor 2x\rfloor+3x などのもっと複雑な関数のグラフも,場合分けがめんどうになりますが,丁寧に場合分けすればかくことができます。

ガウス記号の3つの性質

ガウス記号には様々な性質がありますが,特に以下の3つは覚えておくとよいでしょう。

x,yx,y は任意の実数,NN は任意の整数。

  • 性質1:x+N=x+N\lfloor x+N\rfloor=\lfloor x\rfloor+N

  • 性質2:x+yx+y\lfloor x+y\rfloor\geq\lfloor x\rfloor+\lfloor y\rfloor

  • 性質3:2x=x+x+12\lfloor 2x\rfloor=\lfloor x\rfloor+\lfloor x+\dfrac{1}{2}\rfloor

性質1は「x+Nx+N の整数部分は xx の整数部分に NN を足したもの」という意味であり,明らかです。y=xy=\lfloor x\rfloor のグラフからも分かります。

性質2も「二つの数を足してから切り下げたもの」は「二つの数を切り下げてから足したもの」以上であるというのは明らかです。性質2のエレガントな応用例として,連続するn個の整数の積と二項係数があります。

性質3は後できちんと証明します。

ガウス記号の性質3の証明

2x=x+x+12\lfloor 2x\rfloor=\lfloor x\rfloor+\lfloor x+\dfrac{1}{2}\rfloor を証明します。ガウス記号の問題は丁寧に場合分けするのみです。

証明

・まず,0x<10\leq x <1 の場合に証明する。

0x<120\leq x <\dfrac{1}{2} のとき,左辺も右辺も 00 となるのでOK。

12x<1\dfrac{1}{2}\leq x <1 のとき,左辺も右辺も 11 となるのでOK。

・次に,一般の xx に対して証明する。xx の整数部分を NN,小数部分を α\alpha とおくと x=N+αx=N+\alpha であり,ガウス記号の性質1より,

2(α+N)=2α+2N=2α+2N\lfloor 2(\alpha+N)\rfloor=\lfloor 2\alpha+2N\rfloor=\lfloor 2\alpha\rfloor+2N

(α+N)+(α+N)+12=α+α+12+2N\lfloor (\alpha+N)\rfloor+\lfloor (\alpha+N)+\dfrac{1}{2}\rfloor=\lfloor \alpha\rfloor+\lfloor \alpha+\dfrac{1}{2}\rfloor+2N

ところが,さきほど示したことより 2α=α+α+12\lfloor 2\alpha\rfloor=\lfloor \alpha\rfloor+\lfloor \alpha+\dfrac{1}{2}\rfloor なので両者は一致する。

ちなみに,性質3は以下のように一般化できます:

性質3’: nx=k=0n1x+kn\lfloor nx\rfloor=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\lfloor x+\dfrac{k}{n}\rfloor

nn は任意の整数)

これを,エルミートの恒等式(Hermite’s identity)と言います。

読者の方にはいつもお世話になっておりますm(_ _)m

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