連続するn個の整数の積と二項係数
連続する 個の整数の積は の倍数である。
上記の定理について,3通りの証明を紹介します。
連続n整数の積はn!の倍数
連続n整数の積はn!の倍数
大学入試でも,上記の定理に関連した問題がたまに出題されます。
特に の場合をよく見かける気がします。
任意の整数 に対して は の倍数になります。
例えば, は確かに の倍数になっています。
以下では,上記の定理を3つの方法で証明します。
- 整数論のルジャンドルの定理を用いる素直な方法
- 二項係数の意味を考える方法
- 二項係数と数学的帰納法を用いる方法
※ただし,連続する 個の整数がすべて自然数の場合のみ証明します。 を含む場合は明らかですし,全て負の場合も,全て正の場合から従います。
1.整数論のルジャンドルの定理を用いた素直な方法
1.整数論のルジャンドルの定理を用いた素直な方法
連続するn個の数の積: が で割り切れることは, が整数であることと同値である。
任意の素数 に対して,上式の分母と分子がそれぞれ素因数 を何個持つか数え,分子の方が多く持っていることを示せばよい。 ルジャンドルの定理より, が持つ素因数 の数は,
個。
同様に, が持つ素因数 の数は,
個。
これと,フロアー関数の性質: (和を取って切り捨てるよりも,切り捨ててから和を取ったほうが小さい)より,目標の定理が示された。
フロアー関数(ガウス記号)の性質については,ガウス記号の定義と3つの性質で解説しています。
2.二項係数の意味を考えた方法
2.二項係数の意味を考えた方法
個から 個選ぶ組み合わせの数は 通りであり,これは紛れもない整数なので目標の定理が示された。
コンビネーションの定義式と意味を考えれば,上記のように一瞬で導けます。
これも正しい証明なのですが,狐につままれたような感じがする人もいるでしょう。
3.二項係数と数学的帰納法を用いる方法
3.二項係数と数学的帰納法を用いる方法
証明1は,ルジャンドルの定理という難しい道具を使いますが,非常に美しいです。