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高校数学における線形性の8つの例

更新日時 2021/03/07

関数などの演算 ff が,任意の a,b,x,ya,b,x,y に対して

f(ax+by)=af(x)+bf(y)f(ax+by)=af(x)+bf(y)

を満たすとき,ff のそのような性質を線形性と呼ぶ。

目次
  • 線形性とは

  • 高校数学における線形性の例たち

線形性とは

線形性,(あるいは線型性とも書きます)は大雑把に言うと 直線っぽいということを表しています。なぜ直線っぽい性質なのかは以下の例でなんとなく感じ取ってください。

例1:1次関数(原点を通る直線)

f(x)=pxf(x)=px とおくと,

f(ax+by)=p(ax+by)=a(px)+b(py)=af(x)+bf(y)f(ax+by)=p(ax+by)\\ =a(px)+b(py)\\ =af(x)+bf(y)

ちなみに線形性を満たす関数は原点を通る直線しか存在しません。

線形性は以下で見るように高校数学の様々な分野で登場します。大学の数学でも線形代数と呼ばれる線形性を土台とする数学を習います。

世の中は線形なもの非線形なものがあって, 線形なものは扱いやすく,非線形なものは扱いにくいのです。

今はピンと来ないかもしれませんが, 「線形性は高校数学の様々な分野に共通する抽象的な嬉しい性質」と理解しておきましょう。あとあといいことがあるかもしれません。

高校数学における線形性の例たち

ff が単純な関数でなくて「抽象的な演算」の場合を考えます。いろいろな分野に線形性を背景とする公式が成立しています。

例2:和の記号シグマ

k=1n(axk+byk)=ak=1nxk+bk=1nyk\displaystyle\sum_{k=1}^n(ax_k+by_k)=a\sum_{k=1}^nx_k+b\sum_{k=1}^ny_k

ff をシグマ,と見ると数Bの数列の公式です。

例3:微分

ddt(aX(t)+bY(t))=addtX(t)+bddtY(t)\dfrac{d}{dt}(aX(t)+bY(t))=a\dfrac{d}{dt}X(t)+b\dfrac{d}{dt}Y(t)

ffddt\dfrac{d}{dt} (微分演算子と言います),と見ると数2の微分の公式です。

例4:積分

pqaX(t)+bY(t)dt=apqX(t)dt+bpqY(t)dt\displaystyle\int_p^qaX(t)+bY(t)dt=a\int_p^qX(t)dt+b\int_p^qY(t)dt

ffpqdt\displaystyle\int_p^qdt (積分演算子と言います),と見ると数2の積分の公式です。

例5:ベクトルの内積

pundefined(axundefined+byundefined)=a(pundefinedxundefined)+b(pundefinedyundefined)\overrightarrow{p}\cdot(a\overrightarrow{x}+b\overrightarrow{y})=a(\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{x})+b(\overrightarrow{p}\cdot\overrightarrow{y})

ffpundefined\overrightarrow{p} と内積を取る演算,と見ると数Bのベクトルの公式です。

例6:一次変換(行列とベクトルの積)

A(axundefined+byundefined)=aAxundefined+bAyundefinedA(a\overrightarrow{x}+b\overrightarrow{y})=aA\overrightarrow{x}+bA\overrightarrow{y}

ff を行列 AA を左からかける演算と見ると数Cの一次変換の公式です。

例7:極限

limtα(aX(t)+bY(t))=alimtαX(t)+blimtαY(t)\displaystyle\lim_{t\to \alpha}(aX(t)+bY(t))=a\lim_{t\to \alpha}X(t)+b\lim_{t\to\alpha}Y(t)

ff を極限操作と思うと数3の極限の公式です。

例8:期待値

E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)

ff を期待値を取る演算だと思うと数Cの確率の公式です。 →和の期待値は期待値の和

例9(追記):行列のトレース

tr(aX+bY)=atr(X)+btr(Y)\mathrm{tr}(aX+bY)=a\:\mathrm{tr}(X)+b\:\mathrm{tr}(Y)

ただし,XXYY は行列で,tr(X)\mathrm{tr}(X)XX の対角成分の和を表します。

いずれも教科書に載っているごく初歩的な公式ですが,実は裏側でつながっているというのが感動的です。

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