調和級数1+1/2+1/3...が発散することの3通りの証明

調和級数の発散

n=11n=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n}=\infty

つまり,11+12+13+14+\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots という無限和は発散する。

調和級数とは

n=11n\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n},つまり 11+12+13+14+\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots という無限級数のことを調和級数と言います。

調和級数は発散することが知られています。1n\dfrac{1}{n} をどんどん足していくとどこまでも大きくなるというわけです。

調和級数を背景とする入試問題もたまに出題されます。以下では,調和級数が無限大に発散することの3通りの証明を紹介します。

証明1.不等式で下からおさえる方法

面白い式変形で調和級数の発散を示します。

証明

1+12+13+14>1+12+(14+14)=1+12+12\begin{aligned} &1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}\\ &> 1+\dfrac{1}{2}+\left(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}\right)\\ &=1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2} \end{aligned}

が成立する。

1+12+13+14+15+16+17+18>1+12+(14+14)+(18+18+18+18)=1+12+12+12\begin{aligned} &1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}+\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{8}\\ &>1+\dfrac{1}{2}+\left(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}\right)+\left(\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}\right)\\ &=1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2} \end{aligned}

も成立する。

この変形を一般化すると,以下の不等式が得られる:

k=12p1k1+p2 \sum_{k=1}^{2^p}\dfrac{1}{k} \geq 1+\dfrac{p}{2}

pp\to\infty とすると右辺は発散するので左辺も発散する。

以上から調和級数が発散することが示された。

証明2.指数関数を用いる方法

指数関数の有名不等式 ex1+xe^x\geq 1+x を用いた方法もあります。(→指数関数のマクローリン型不等式

Honsbergerによって発見された証明です。

証明

exp(1+12+13+14++1n)=exp(1)exp(12)exp(13)exp(14)exp(1n)(1+1)(1+12)(1+13)(1+14)(1+1n)=2324354n+1n=n+1\begin{aligned} &\exp\left(1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots+\dfrac{1}{n}\right)\\ &=\exp(1)\exp\left(\dfrac{1}{2}\right)\exp\left(\dfrac{1}{3}\right)\exp\left(\dfrac{1}{4}\right)\cdots\exp\left(\dfrac{1}{n}\right)\\ &\geq (1+1)\left(1+\dfrac{1}{2}\right)\left(1+\dfrac{1}{3}\right)\left(1+\dfrac{1}{4}\right)\cdots\left(1+\dfrac{1}{n}\right)\\ &=2\cdot \dfrac{3}{2}\cdot \dfrac{4}{3}\cdot \dfrac{5}{4}\cdot\cdots\cdot\dfrac{n+1}{n}\\ &=n+1 \end{aligned}

よって, k=1n1klog(n+1) \sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\geq \log(n+1)

nn\to\infty とすると右辺は発散するので左辺も発散する。

ちなみに,証明で用いた不等式の差の極限は収束することが知られており,その収束先をオイラーの定数といいます。

オイラーの定数 γ の定義

γ=\gamma= limn(k=1n1klog(n+1))\displaystyle\lim_{n\to\infty} (\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}-\log (n+1))

=limn(k=1n1klogn)=\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}-\log n)

ただし,最後の等号は

limn(log(n+1)logn)=limnlog(n+1n)=0\begin{aligned} &\lim_{n\to\infty} (\log(n+1)-\log n)\\ &= \lim_{n\to\infty}\log\left(\dfrac{n+1}{n}\right)=0 \end{aligned}

より成り立つ。詳細は→オイラーの定数γの意味と東大の過去問

証明3.積分を用いる方法

調和級数の発散を積分を使って証明してみます。

証明

調和級数の証明

図より, k=1n1k1n+11xdx=log(n+1) \sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}\geq\int_{1}^{n+1}\dfrac{1}{x}dx=\log(n+1)

となる。nn\to\infty とすると右辺は発散するので左辺も発散する。

ちなみに,図の赤い部分において y=1xy=\dfrac{1}{x} よりも上側にはみ出た部分の面積を足し上げていくとオイラー定数になります。この図からオイラー定数が0.5より大きくて1よりも小さいことが分かります。

逆数の和はほぼ対数

調和級数に関連する不等式です。

定理

log(n+1)<k=1n1k<1+logn \log(n+1)<\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}< 1+\log n

左側の不等式は上記の証明3で示しました。右側の不等式もほとんど同様に示せます。つまり,大雑把には nn が大きいとき k=1n1klogn\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\fallingdotseq\log n と言えます。

調和級数は発散しますが,発散のスピードが対数関数と同じくらいでとても遅いです。

この事実は,アルゴリズムの計算量の見積もりやコンプガチャに必要な回数の期待値の計算に使えます。

調和級数に関連する級数

  • 分数の足し算(調和級数)は発散しましたが,分数を交互に足し引きして 112+1314+1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots としたもの(交代級数)は log2\log 2 に収束することが知られています。 →log2に収束する交代級数の証明

  • ss を正の実数とします。ζ(s)=n=11ns\zeta(s)=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{1}{n^s} のことをゼータ関数と言います。s=1s=1 の場合は調和級数です。実は,s>1s>1 のとき ζ(s)\zeta(s) は収束することが知られています。→ゼータ関数の定義と基本的な話
    つまり s=1s=1 は「ギリギリ発散」と言えます。s=2s=2 の場合は円周率が登場します。→バーゼル問題の初等的な証明

関連する入試問題

例題~東大2010
  1. すべての自然数 kk に対して,次の不等式を示せ。 12(k+1)<011xk+xdx<12k \dfrac{1}{2(k+1)} < \int_0^1 \dfrac{1-x}{k+x} dx < \dfrac{1}{2k}

  2. m>nm > n であるようなすべての自然数 mmnn に対して,次の不等式を示せ。 mn2(m+1)(n+1)<logmnk=n+1m1k<mn2mn \dfrac{m-n}{2(m+1)(n+1)} < \log \dfrac{m}{n} - \sum_{k=n+1}^m \dfrac{1}{k} < \dfrac{m-n}{2mn}

オイラーの定数γの意味と東大の過去問

小学生でも意味が分かる奥深い問題だからこそおもしろいです。

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