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調和級数1+1/2+1/3...が発散することの3通りの証明

更新日時 2021/03/07

1+12+13+=1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\cdots=\infty

1n\dfrac{1}{n} をどんどん足していくと無限大に発散する,という有名な公式です。

目次
  • 調和級数

  • 証明1.不等式で下からおさえる方法

  • 証明2.指数関数を用いる方法

  • 証明3.積分を用いる方法

調和級数

1+12+13+1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\cdots という無限和のことを 調和級数と言うことがあります。

調和級数は無限大に発散します。調和級数を背景とする入試問題もたまに出題されます。

このページでは,調和級数が無限大に発散することの3通りの証明を紹介します。

証明1.不等式で下からおさえる方法

おそらく一番有名な方法です。面白い式変形です。

証明

1+12+13+14>1+12+(14+14)=1+12+121+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}\\ > 1+\dfrac{1}{2}+\left(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}\right)\\ =1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}

1+12+13+14+15+16+17+18>1+12+(14+14)+(18+18+18+18)=1+12+12+121+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}+\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{7}+\dfrac{1}{8}\\ >1+\dfrac{1}{2}+\left(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}\right)+\left(\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{8}\right)\\ =1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}

この変形を一般化すると,以下の不等式が得られる:

k=12p1k1+p2\displaystyle\sum_{k=1}^{2^p}\dfrac{1}{k} \geq 1+\dfrac{p}{2}

pp\to\infty とすると右辺は発散するので左辺も発散する。

以上から題意は証明された。

証明2.指数関数を用いる方法

指数関数の有名不等式 ex1+xe^x\geq 1+x を用いた方法もあります。(→指数関数のマクローリン型不等式

Honsbergerによって発見された証明です。

証明

exp(1+12+13+14++1n)=exp(1)exp(12)exp(13)exp(14)exp(1n)(1+1)(1+12)(1+13)(1+14)(1+1n)=2324354n+1n=n+1\exp\left(1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots+\dfrac{1}{n}\right)\\ =\exp(1)\exp\left(\dfrac{1}{2}\right)\exp\left(\dfrac{1}{3}\right)\exp\left(\dfrac{1}{4}\right)\cdots\exp\left(\dfrac{1}{n}\right)\\ \geq (1+1)\left(1+\dfrac{1}{2}\right)\left(1+\dfrac{1}{3}\right)\left(1+\dfrac{1}{4}\right)\cdots\left(1+\dfrac{1}{n}\right)\\ =2\cdot \dfrac{3}{2}\cdot \dfrac{4}{3}\cdot \dfrac{5}{4}\cdot\cdots\cdot\dfrac{n+1}{n}\\ =n+1

よって,k=1n1klog(n+1)\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\geq \log(n+1)

nn\to\infty とすると右辺は発散するので左辺も発散する。

ちなみに,証明で用いた不等式の差の極限は収束することが知られており,その収束先を オイラー定数といいます。

オイラー定数:

γ=\gamma= limn(k=1n1klog(n+1))\displaystyle\lim_{n\to\infty} (\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}-\log (n+1))

=limn(k=1n1klogn)=\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}-\log n)

ただし,最後の等号は

limn(log(n+1)logn)=limnlog(n+1n)=0\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\log(n+1)-\log n)\\ =\lim_{n\to\infty}\log\left(\dfrac{n+1}{n}\right)=0

より成り立つ。

証明3.積分を用いる方法

無限級数の評価で積分を用いるのは定石です。

証明

調和級数の証明

右の図より,k=1n1k1n+11xdx=log(n+1)\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\dfrac{1}{k}\geq\int_{1}^{n+1}\dfrac{1}{x}dx=\log(n+1)

となり方法2で導いたものと同じ不等式が得られる。

ちなみに,図の赤い部分において y=1xy=\dfrac{1}{x} よりも上側にはみ出た部分の面積を足し上げていくとオイラー定数になります。この図からオイラー定数が0.5より大きくて1よりも小さいことが分かります。

ちなみに,分数を交互に足し引きして 112+131-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\cdots としたものは交代級数と呼ばれ,その値は log2\log 2 に収束することが知られています。 →log2に収束する交代級数の証明

小学生でも意味が分かる奥深い問題だからこそおもしろいです。

Tag:無限和,無限積の美しい公式まとめ

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