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ラグランジュの未定乗数法と例題

更新日時 2021/03/07

等式制約付きの関数最大化,最小化問題に対する ラグランジュの未定乗数法という手法の基礎的なことと簡単な例題を解説します。一部厳密ではありませんが,例題を通じて大雑把な理解を!

目次
  • 制約なしの最大化,最小化問題

  • ラグランジュの未定乗数法

  • ラグランジュの未定乗数法の簡単な例題

  • ラグランジュの未定乗数法に関する諸注意

制約なしの最大化,最小化問題

とりあえず二変数関数で考えます。最小化も同様なので最大化で考えます。関数 f(x,y)f(x,y) を最大化したいときに,一般的には f(x,y)f(x,y) をそれぞれの変数で微分して 00 となる点を調べます。

微分係数が 00 となるのは極値となる必要条件なので,

f(α,β)f(\alpha,\beta) が最大→(α,β)(\alpha,\beta)fx=fy=0\dfrac{\partial f}{\partial x}=\dfrac{\partial f}{\partial y}=0 の解,または区間の端っこと言えます。

この手法は例えば,二変数の二次関数の最適化問題に有効です。

ラグランジュの未定乗数法

今回扱うのは,

g(x,y)=0g(x,y)=0 のもとで f(x,y)f(x,y) を最大化したい

という等式制約つきのより一般的な問題です。

ラグランジュの未定乗数法

L(x,y,λ)=f(x,y)λg(x,y)L(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y) を作ると, (α,β)(\alpha,\beta) が極値を与える→(α,β)(\alpha,\beta)Lx=Ly=Lλ=0\dfrac{\partial L}{\partial x}=\dfrac{\partial L}{\partial y}=\dfrac{\partial L}{\partial\lambda}=0 の解。または gx=gy=0\dfrac{\partial g}{\partial x}=\dfrac{\partial g}{\partial y}=0 の解。

後半の条件は例外的なもので,重要なのは前半の連立方程式です。変数の数は (x,y,λ)(x,y,\lambda) の三つに増えてしまいますが,方程式が三つ得られています。よってこの方程式を解くことで最大化させる解の候補を求めることができます。

ラグランジュの未定乗数法の簡単な例題

簡単な例題で確認してみます。

例題

x2+y2=1x^2+y^2=1 のもとで f(x,y)=2x+3yf(x,y)=2x+3y の最大値を求めよ。

解答

まず,三変数のラグランジュ関数 LL を作る:

L(x,y,λ)=2x+3yλ(x2+y21)L(x,y,\lambda)=2x+3y-\lambda(x^2+y^2-1)

それぞれの変数で偏微分すると,

Lx=22xλ=0\tfrac{\partial L}{\partial x}=2-2x\lambda=0

Ly=32yλ=0\tfrac{\partial L}{\partial y}=3-2y\lambda=0

Lλ=x2y2+1=0\tfrac{\partial L}{\partial \lambda}=-x^2-y^2+1=0

この三変数の三元連立方程式を解けば解の候補が得られる。

上二本から λ\lambda を消去すると,x=23yx=\dfrac{2}{3}y

これと一番下の方程式をもとに x,yx,y を求めると,

(x,y)=(±213,±313)(x,y)=(\pm\dfrac{2}{\sqrt{13}},\pm\dfrac{3}{\sqrt{13}})\: (複号同順)

この二つが f(x,y)f(x,y) の最大値を与える候補である。実際に二組を 2x+3y2x+3y に代入してみると,プラスの方が最大値 13\sqrt{13} を与えることが分かる。ちなみにマイナスの符号は最小値 13-\sqrt{13} を与える。

ラグランジュの未定乗数法に関する諸注意

残念なこと

  • なぜこのようにうまくいくのか証明するのはかなり大変なのでここでは解説しません。

  • また,厳密には最初に最大値の存在を証明する必要があります。これは定義域がコンパクトで ff が連続であることを言えばOKですが高校範囲を大きく逸脱してしまいます。

  • 方程式を解くのがかなりめんどうになる場合が多いです。

  • 極値になったとしても最大,最小値を与える点とは限りません。よって,候補をそれぞれもとの関数に代入して値を比較する必要があります。

うれしいこと

  • 条件式から一文字消去できないようなめんどくさい場合(例えばさきほどの例題)にも使える一般的な手法です。

  • もとの問題に対称性がある場合,変数の対称性を崩さずに議論できます。

  • 二変数関数でなくても一般の多変数関数に使えます。また,等式制約が複数個あっても使えます。例えば条件が g(x)=0,h(x)=0g(x)=0,\:h(x)=0 の場合,ラグランジュ関数は L=fλgμhL=f-\lambda g-\mu h という形になります。

大学以降で学ぶ最適化理論でも活躍する手法です。

Tag:偏微分の高校数学への応用

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