バームクーヘン積分の例と証明

更新日時 2021/12/15
バームクーヘン積分(バウムクーヘン分割)

バームクーヘン積分の図

連続関数 y=f(x)y=f(x)xx 軸,x=α,x=βx=\alpha,x=\beta\: (ただし 0α<β0\leq \alpha <\beta )で囲まれた図形を yy 軸の回りに回転させてできる立体の体積 VV は,

V=αβ2πxf(x)dxV=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}2\pi x|f(x)|dx

難関大受験者は知っておくべき有名な求積テクニックです。

目次
  • バームクーヘン積分に関して

  • バームクーヘン積分にまつわる入試問題

  • バームクーヘン積分公式の証明1

  • バームクーヘン積分公式の証明2

バームクーヘン積分に関して

バームクーヘン

  • yy 軸を対称軸とする回転体の体積を求めるのに活躍する公式です。

  • 回転体の体積を求めるときには,「回転させた後に対称軸に対して垂直な面で切って断面積を求めて積分」するのが一般的ですが,「回転軸と平行な線で切ったあとで回転させて積分する」とバームクーヘン積分の公式が得られます。

  • 切ったあとで回転させることで立体がバームクーヘンっぽくなるのでバームクーヘン積分(分割)と呼ばれています。

  • 記述式の試験で使う場合は,証明(簡単な説明)を記載しておくのが無難です。

バームクーヘン積分にまつわる入試問題

1989年東大理系第5問です。

問題

f(x)=πx2sinπx2f(x)=\pi x^2\sin \pi x^2 とする。 y=f(x)y=f(x) のグラフの 0x10\leq x\leq 1 の部分と xx 軸で囲まれた図形を yy 軸のまわりに回転させてできる図形の体積 VVV=2π01xf(x)dxV=2\pi\displaystyle\int_0^{1}xf(x)dx で与えられることを示し,この値を求めよ。

前半はバームクーヘン積分の証明1(後述)を書けば十分でしょう。

後半は積分するのみです:

後半の解答

V=012π2x3sinπx2dxV=\displaystyle\int_0^12\pi^2x^3\sin\pi x^2dx

πx2=y\pi x^2=y と置換すると,dydx=2πx\dfrac{dy}{dx}=2\pi x より,

V=0πysinydyV=\displaystyle\int_0^{\pi}y\sin ydy

これを部分積分すると,

V=πV=\pi となる。

バームクーヘン積分公式の証明1

まずは,厳密ではありませんがイメージをつかむために「簡単な説明」です。以下では f(x)0f(x)\geq 0 の場合を解説します(一般の場合も本質的には同じ)。

簡単な説明1

バウムクーヘン積分の説明1

目標の図形のうち,x=t,x=t+Δtx=t,x=t+\Delta t で囲まれた部分を yy 軸の回りに回転させた立体を考える。Δt\Delta t が小さいとき,この立体は,「半径 t+Δtt+\Delta t で高さ f(t)f(t) の円柱」から「半径 tt で高さ f(t)f(t) の円柱」を除いたものと近似できる。

よって,その微小体積は f(t)π(t+Δt)2f(t)πt2f(t)\pi(t+\Delta t)^2-f(t)\pi t^2 となる。 Δt\Delta t が十分小さいとき Δt2\Delta t^2 の項は無視できるので,微小体積は 2πtf(t)Δt2\pi tf(t)\Delta t となる。これを積分するとバームクーヘン積分の公式を得る。

また,上記の図の図形を別の見方で見ることもできます。

簡単な説明2

バウムクーヘン積分の説明2

簡単な説明1における図形は,切り開いてみると,各辺の長さが f(t),Δt,2πtf(t), \Delta t, 2\pi t の直方体に近似できる。そのため,微小体積は 2πtf(t)Δt2\pi t f(t) \Delta t となる。

厳密に証明するためには,はさみうちの原理を用いてなぜ定積分で面積が求まるのかと同様な方法が必要ですが,上記の「簡単な説明」を理解しておけば十分でしょう。

バームクーヘン積分公式の証明2

f(x)f(x) が単調な関数のときには置換積分と部分積分を用いることでバームクーヘン積分が導出できます!(f(x)f(x) が単調でない場合に関しては単調な区間で区切って足し合わせればよい)

バームクーヘン積分を用いずにセオリー通り「回転させてから yy 軸に垂直な平面で切る」ことで体積を求めます。

証明

バームクーヘンの証明

f(x)f(x) が単調減少の場合を考える(単調増加の場合も同様)。

f(α)=A,f(β)=Bf(\alpha)=A,\:f(\beta)=Bff の逆関数を f1f^{-1} とおくと,

V=πβ2B+BAπ(f1(y))2dyπα2AV=\pi\beta^2B+\displaystyle\int_{B}^A\pi (f^{-1}(y))^2dy-\pi\alpha^2A

(斜線部分=下+上ー左)

次に,第二項の積分を変形する。x=f1(y)x=f^{-1}(y) と置換すると,dydx=f(x)\dfrac{dy}{dx}=f'(x) より,

BAπ(f1(y))2dy=βαπx2f(x)dx=αβπx2f(x)dx\displaystyle\int_{B}^A\pi (f^{-1}(y))^2dy\\ =\displaystyle\int_{\beta}^{\alpha}\pi x^2f'(x)dx\\ =-\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\pi x^2f'(x)dx

さらに部分積分を用いると,

αβπx2f(x)dx=[πx2f(x)]αβαβ2πxf(x)dx=πβ2Bπα2Aαβ2πxf(x)dx\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\pi x^2f'(x)dx\\ =\displaystyle\left[\pi x^2f(x)\right]_{\alpha}^{\beta}-\int_{\alpha}^{\beta}2\pi xf(x)dx \\=\displaystyle\pi\beta^2 B-\pi\alpha^2 A-\int_{\alpha}^{\beta}2\pi xf(x)dx

以上より,V=αβ2πxf(x)dxV=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}2\pi xf(x)dx

となりバームクーヘン積分が証明された。

バームクーヘン積分は f(x)f(x) が単調でない場合により威力を発揮します。

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