なぜ定積分で面積が求まるのか

更新日時 2021/03/07

面積は「微分の逆の操作」を用いて求めることができる。

一見面積とは無縁な微分という操作の逆を考えることで面積が求められるというのは驚きです。

目次
  • 積分の2通りの定義

  • 定積分で面積が求まる理由

  • 微分積分学の基本定理

積分の2通りの定義

積分には2通りの定義の仕方があります。

1:「微分の逆の操作を使って定積分を定義」

abf(x)dx=F(b)F(a)\displaystyle\int_a^bf(x)dx=F(b)-F(a)

ただし,F(x)=f(x)F(x)'=f(x)

つまり,「微分の逆の操作」を積分と定義する流儀です。

2:「定積分は面積」

定積分と面積

y=f(x)y=f(x)x=a,x=b,xx=a, x=b, x 軸で囲まれた部分の面積(xx 軸の下側にある部分の面積はマイナスとする)を abf(x)dx\displaystyle\int_a^bf(x)dx と定義する流儀です。

注:本当は「面積」というより「リーマン和の極限」と言ったほうが正しい。

多くの高校の教科書では分かりやすさを重視して定義1を採用しています。1を定義として採用すれば,2は性質として導けます。つまり,微分の逆の操作によって面積が求まるのです!

これは非常におもしろい事実です。はじめて知ったときは感動したものです。

以下では1を定積分の定義として,それが面積を表すことを解説します。

定積分で面積が求まる理由

1を定義として2が成立することを証明します。つまり,面積が F(b)F(a)F(b)-F(a) で表せることを証明します。

証明

y=f(x)y=f(x)x=a,x=t,xx=a, x=t, x 軸で囲まれた部分の(符号付き)面積を S(t)S(t) とおく。

定積分で面積が求まる理由

tt を少し大きくして t+Δtt+\Delta t としたときに S(t)S(t) がどれくらい変化するか考えると,図より,mΔtS(t+Δt)S(t)MΔtm\Delta t\leq S(t+\Delta t)-S(t)\leq M\Delta t

ただし,mmtt から t+Δtt+\Delta t 内の f(x)f(x) の最小値で MM は最大値。

各辺を Δt\Delta t で割る:

mS(t+Δt)S(t)ΔtMm\leq \dfrac{S(t+\Delta t)-S(t)}{\Delta t}\leq M

ここで,各辺 Δt0\Delta t\to 0 の極限を取る。左辺と右辺は f(t)f(t) に収束し,中辺は微分の定義より S(t)S'(t)

よって,はさみ打ちの原理より, S(t)=f(t)S'(t)=f(t)

本質的な部分はここまでです。遂に微分と面積が結びつきました。

あとは,積分定数の部分を調整して証明を完遂します。

上式の両辺を積分して,S(t)=F(t)+CS(t)=F(t)+C

ただし,CC は積分定数。

また,S(a)=0S(a)=0 なので t=at=a を代入して C=F(a)C=-F(a) が分かる。

求める面積は t=bt=b の場合なので

S(b)=F(b)+C=F(b)F(a)S(b)=F(b)+C=F(b)-F(a)

注:図は f(x)>0f(x) > 0 である場合ですが,f(t)f(t) が負になるような場合も上記の議論は崩れません。

微分積分学の基本定理

ちなみに,高校の教科書とは逆に,大学の教科書では2を定義とすることが多いです(より厳密にはリーマン和というものを考える)。2を定義として採用すれば,1は性質として導けます。これを 微分積分学の基本定理と呼びます。

面積が定積分(=微分の逆演算)で求まるというのは驚くべき事実です。

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