はさみうちの原理の証明

更新日時 2021/03/07
はさみうちの原理(数列版)

任意の自然数 nn に対して(または十分大きな nn に対して) anbncna_n \leq b_n \leq c_n が成立し,

limnan=limncn=α\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}c_n=\alpha なら

limnbn=α\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\alpha

はさみうちの原理は一見当たり前っぽい公式ですが,高校数学の範囲ではごまかされているのできちんと証明します(証明には ϵN\epsilon-N 論法,ϵδ\epsilon-\delta 論法という大学数学の道具を用いるので大学入試で問われることはありません)。

目次
  • 証明の準備(極限の定義)

  • はさみうちの原理の証明

  • 関数版のはさみうちの原理

証明の準備(極限の定義)

まず,高校数学の範囲では極限が厳密に定義されていません。

そこで,まずは極限の定義をきちんとします。

極限の定義

limnan=α\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha とは,

「任意の正の実数 ϵ\epsilon に対して,ある NN が存在して nNn\geq N なら anα<ϵ|a_n-\alpha| <\epsilon が成立する」

厳密に書くと分かりにくいですが,意味は難しくありません。

nn を大きくすると ana_n はいくらでも α\alpha に近づく」

→「nn が十分大きいなら anα|a_n-\alpha| はいくらでも 00 に近づく」

→「どんなに小さい正の数 ϵ\epsilon に対しても nn が十分大きいなら anα<ϵ|a_n-\alpha| <\epsilon となる」

→「任意の正の実数 ϵ\epsilon に対して,ある NN が存在して nNn\geq N なら anα<ϵ|a_n-\alpha| <\epsilon が成立する」

これで極限の意味が厳密に定義されたので,はさみうちの原理が証明できます。

はさみうちの原理の証明

まずは仮定と目標の式をきちんと表現しておきます。

仮定は,

  • anbncna_n \leq b_n \leq c_n
  • 任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対してある N1N_1 が存在して nN1n\geq N_1 なら anα<ϵ|a_n-\alpha| <\epsilon
  • 任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対してある N2N_2 が存在して nN2n\geq N_2 なら cnα<ϵ|c_n-\alpha| <\epsilon

目標は,

  • 任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対してある NN が存在して nNn\geq N なら bnα<ϵ|b_n-\alpha| <\epsilon
証明

仮定の2つ目と3つ目より,

任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対して N>N1,N>N2N > N_1, N > N_2 となるように NN を取れば

nNn\geq N なら

an>αϵa_n > \alpha-\epsilon かつ cn<α+ϵc_n <\alpha+\epsilon

仮定の1つめと合わせると

αϵ<bn<α+ϵ\alpha-\epsilon <b_n <\alpha+\epsilon

つまり,bnα<ϵ|b_n-\alpha| <\epsilon

よって,はさみうちの原理が示された。

関数版のはさみうちの原理

関数版の場合も数列版とほとんど同様に証明できます。まずは極限の定義から。

極限の定義

limxAf(x)=α\displaystyle\lim_{x\to A}f(x)=\alpha とは,

「任意の正の実数 ϵ\epsilon に対して,ある δ>0\delta > 0 が存在して xA<δ|x-A| <\delta なら f(x)α<ϵ|f(x)-\alpha| <\epsilon が成立する」

関数版のはさみうちの原理:

f(x)g(x)h(x)f(x) \leq g(x) \leq h(x) かつ

limxAf(x)=limxAh(x)=α\displaystyle\lim_{x\to A}f(x)=\lim_{x\to A}h(x)=\alpha なら

limxAg(x)=α\displaystyle\lim_{x\to A}g(x)=\alpha

を示します。

証明

仮定より,

任意の ϵ>0\epsilon > 0 に対してある δ1>0\delta_1 > 0 が存在して,xA<δ1|x-A| <\delta_1 なら f(x)α<ϵ|f(x)-\alpha| <\epsilon かつ

ある δ2>0\delta_2 > 0 が存在して xA<δ2|x-A| <\delta_2 なら h(x)α<ϵ|h(x)-\alpha| <\epsilon

よって,

δ<δ1,δ<δ2\delta <\delta_1, \delta <\delta_2 となるように δ>0\delta > 0 を取れば

xA<δ|x-A| <\delta なら

f(x)>αϵf(x) > \alpha-\epsilon かつ h(x)<α+ϵh(x) <\alpha+\epsilon

よって,αϵ<g(x)<α+ϵ\alpha-\epsilon <g(x) <\alpha+\epsilon

つまり,g(x)α<ϵ|g(x)-\alpha| <\epsilon

ϵδ\epsilon-\delta 論法が大学数学最初の関門です。高校生のうちに雰囲気だけでも理解しておくとよいでしょう。→イプシロンデルタ論法とイプシロンエヌ論法

Tag:数学3の教科書に載っている公式の解説一覧