減衰曲線の重要な性質まとめ

y=eaxsinbx,y=eaxcosbx(a,b>0)y=e^{-ax}\sin bx,y=e^{-ax}\cos bx (a,b > 0) は減衰曲線と呼ばれる重要な関数。

減衰曲線は応用上重要な関数(二階線形微分方程式の解)である上に微分,積分計算も適度な難易度なので大学入試で超頻出です。

ということで,このページでは減衰曲線について知っておくべき4つのトピックを扱います。

以下では sin\sin の場合について説明しますが,cos\cos の場合もほぼ同様に扱えます。

減衰曲線の極限とグラフ

1:減衰曲線の極限は0

2:減衰曲線のグラフの概形は微分せずに書けるように

まずは1:極限の基本的な問題です。

1の証明

1sinbx1-1\leq \sin bx\leq 1はさみ打ちの原理より,

limxeax<limxeaxsinbx<limxeax\displaystyle\lim_{x\to\infty}-e^{-ax} <\lim_{x\to\infty}e^{-ax}\sin bx <\lim_{x\to\infty}e^{-ax}

であり左辺と右辺は 00 に収束することから limxeaxsinbx=0\displaystyle\lim_{x\to\infty}e^{-ax}\sin bx=0

次に,2:グラフの概形の話です。

減衰曲線のグラフ sinx/xについて覚えておくべき2つのことでも述べたように, 一般的に y=f(x)sinxy=f(x)\sin x のグラフは y=f(x)y=f(x)y=f(x)y=-f(x) のグラフを用いて簡単に書くことができます。

図において黒丸は y=±eaxy=\pm e^{-ax} との交点で,xx 軸方向に等間隔に並んでいます。微分すれば分かるのですが, 黒丸は極大・極小点とは異なる(微妙にずれている)ので注意してください。

極大・極小の値は微分を用いないと求めることができませんが,減衰曲線のグラフの概形は一瞬でイメージできるようになっておきましょう。

減衰曲線の積分

3:減衰曲線の不定積分は部分積分を2回

4:減衰曲線による面積は等比数列

3:続いて積分の話です。

「減衰曲線の不定積分は部分積分を2回繰り返せば求めることができる」ということを覚えておくことが重要です。発展的ですが,複素指数関数を用いて積分を行うこともできます。→三角関数と指数関数の積の積分

4:最後に面積の話です。4つの中で一番知名度が低いトピックですが,入試では頻出です。

Sn=πb(n1)πbneaxsinbxdxS_n=\displaystyle\int_{\frac{\pi}{b}(n-1)}^{\frac{\pi}{b}n}e^{-ax}\sin bxdx とおくと,SnS_n は公比が eaπb-e^{-\frac{a\pi}{b}} の等比数列になります。

証明

減衰曲線と面積

y=xπby=x-\dfrac{\pi}{b} と置換します。

Sn+1=πbnπb(n+1)eaxsinbxdx=πb(n1)πbnea(y+πb)sinb(y+πb)dy=eaπbSnS_{n+1}=\displaystyle\int_{\frac{\pi}{b}n}^{\frac{\pi}{b}(n+1)}e^{-ax}\sin bxdx\\ =\displaystyle\int_{\frac{\pi}{b}(n-1)}^{\frac{\pi}{b}n}e^{-a(y+\frac{\pi}{b})}\sin b(y+\dfrac{\pi}{b})dy\\ =-e^{-\frac{a\pi}{b}}S_n

式だけ見るとゴツくていまいちピンと来ませんが,図を見ればしっくりくると思います。

なお,SnS_n の各項が正になるように減衰曲線の下半分を折り返した曲線 y=eaxsinbxy=|e^{-ax}\sin bx| を考える場合も多いです。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT112では,性質4が活躍する例題と検算のコツを紹介しています。

物理では運動方程式の解として減衰曲線が出てきます。

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