三角関数と指数関数の積の積分を一発で求める公式

三角関数と指数関数の積の積分は,部分積分を2回して求めるのが定石です。しかし,計算量も多くミスしやすいので,公式として覚えておくとスピードアップや検算に役立ちます:

eaxcosbxdx=eaxa2+b2(acosbx+bsinbx)+C\displaystyle\int e^{ax}\cos bxdx=\dfrac{e^{ax}}{a^2+b^2}(a\cos bx+b \sin bx)+C

eaxsinbxdx=eaxa2+b2(asinbxbcosbx)+C\displaystyle\int e^{ax}\sin bxdx=\dfrac{e^{ax}}{a^2+b^2}(a\sin bx-b \cos bx)+C

公式の証明は3通りの方法があります。

  1. 定石どおり,左辺を2回部分積分して頑張って計算する

  2. 右辺を微分して左辺になることを示す

  3. 複素指数関数を使う

この記事では,証明3を紹介します。具体的には,三角関数と指数関数を統一的に議論するための道具であるオイラーの公式と複素指数関数を用いて2つの公式を同時に示します。

複素指数関数を用いた証明

証明

オイラーの公式から以下の式が成立する:

e(ax+bxi)dx=eaxcosbxdx+ieaxsinbxdx()\displaystyle\int e^{(ax+bxi)}dx=\displaystyle\int e^{ax}\cos bxdx+i\int e^{ax}\sin bxdx\cdots(*)

実部と虚部にそれぞれ公式の左辺が出現していることに注意。

一方,複素指数関数の積分公式から,

e(ax+bxi)dx=e(ax+bxi)a+bi+C\displaystyle\int e^{(ax+bxi)}dx=\dfrac{e^{(ax+bxi)}}{a+bi}+C

この右辺第一項にオイラーの公式を用い,分母分子に abia-bi をかける:

e(ax+bxi)a+bi=eax(abi)(cosbx+isinbx)a2+b2=eaxa2+b2{(acosbx+bsinbx)+i(asinbxbcosbx)}\dfrac{e^{(ax+bxi)}}{a+bi}\\ =\dfrac{e^{ax}(a-bi)(\cos bx +i\sin bx)}{a^2+b^2}\\ =\dfrac{e^{ax}}{a^2+b^2}\{(a\cos bx +b\sin bx)+i(a\sin bx-b \cos bx)\}

上式と ()(*) の実部と虚部をそれぞれ比較すると求める公式を得る。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT34も参照してください。

あまり覚えたくない複雑な公式ですが,受験生時代は検算に使えるので覚えていました。

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