三角関数と指数関数の積の積分を一発で求める公式
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三角関数と指数関数の積の積分は,部分積分を2回して求めるのが定石です。しかし,計算量も多くミスしやすいので,公式として覚えておくとスピードアップや検算に役立ちます:
公式の証明は3通りの方法があります。
- 定石どおり,左辺を2回部分積分して頑張って計算する
- 2つを連立して解く
- 右辺を微分して左辺になることを示す
- 複素指数関数を使う
この記事では,証明1,2,4を紹介します。
1.部分積分する方法
1.部分積分する方法
まずはオーソドックスな部分積分による計算を紹介します。, ですから,2回部分積分をすると元の積分が現れることがポイントです。
を について解くと つまり となる。(積分定数は省略した)
の積分も同様にできる。
2.連立する方法
2.連立する方法
先ほどの計算を見ればわかる通り, の積分に部分積分をすると の積分が現れます。 についてはこの逆のことが起こります。こうして計算した2つの式を連立して計算してみます。
とおく。
同様に計算すると である。連立方程式 を解くと を得る。
3.右辺の微分を確認する証明
3.右辺の微分を確認する証明
不定積分の意味に立ち戻って計算をする方法です。
である。よって, (積分定数は省略)である。
4.複素指数関数を用いた証明
4.複素指数関数を用いた証明
具体的には,三角関数と指数関数を統一的に議論するための道具であるオイラーの公式と複素指数関数を用いて2つの公式を同時に示します。
オイラーの公式から以下の式が成立する:
実部と虚部にそれぞれ公式の左辺が出現していることに注意。
一方,複素指数関数の積分公式から,
この右辺第一項にオイラーの公式を用い,分母分子に をかける:
上式と の実部と虚部をそれぞれ比較すると求める公式を得る。
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT34も参照してください。
あまり覚えたくない複雑な公式ですが,受験生時代は検算に使えるので覚えていました。
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