複利法の意味と計算方法,具体例

複利法の意味と,複利計算の方法をわかりやすく解説します。

単利法と複利法のイメージ

単利法 とは 元金だけに利息が発生する方式です。

単利法の例

「元金100万円」「利子10%」の場合

  • 1年目の利子は,100×0.1=10100\times 0.1=10 万円
  • 元金がそのままなら,2年目の利子も同じく 1010 万円

複利法 とは 毎年利子を元金に繰入れる方式です。

複利法の例

「元金100万円」「利子10%」の場合

  • 1年目の利子は,100×0.1=10100\times 0.1=10 万円
  • 元金がそのままでも,利子との合計額は 110110 万円なので,2年目の利子は 110×0.1=11110\times 0.1=11 万円

複利計算の公式

複利法の計算方法をもう少し詳しく解説します。

まず,単利法,複利法といった利息の計算について考えるときには,以下の4つの要素:

  • 元金 aa
  • 年利率 rr
  • 年数 nn
  • 最終段階で持っている金額 bb

を意識する必要があります。分野,問題,状況によっていろいろな表現が使われるので注意が必要です。

利息計算に使う数のいろいろな表現
  • aa :元金,元本,初期段階で持っている金額,現在価値(PV)

  • rr :利息率,年利率,運用利率,利回り

  • nn :考える期間(単位は「年」とすることが多い),運用期間

  • bb :最終段階で持っている金額,将来価値(FV)

そして,複利法の計算では,基本的に以下の公式だけを覚えておけばOKです。 b=a(1+r)nb=a(1+r)^n

複利計算の例1:将来価値の計算

一つの公式 b=a(1+r)nb=a(1+r)^n を覚えておくだけで a,r,n,ba,r,n,b のうち3つ分かれば残りの一つも分かるというのが重要です。以下,複利法の計算問題を3問解説します。

例題1

33 万円を年利率 22 %で運用したとき,66 年後の金額を求めよ。

解答

a=3,r=0.02,n=6a=3,r=0.02,n=6 として,

3(1+0.02)6337853(1+0.02)^6\fallingdotseq 33785

複利計算の例2:年利率の計算

複利計算の公式 b=a(1+r)nb=a(1+r)^n を使って年利率 rr を計算してみます。

例題2

100100 万円を 1010 年間運用して 150150 万円にしたい。運用利率は年利何%にすればよいか。

解答

100(1+r)10=150100(1+r)^{10}=150 を解けばよい。これを rr について解くと,

r=(150100)11010.041r=\left(\dfrac{150}{100}\right)^{\frac{1}{10}}-1\fallingdotseq 0.041

つまり,年利 4.14.1 %で運用すればよい。

複利計算の例3:年数の計算

複利計算の公式 b=a(1+r)nb=a(1+r)^n を使って年数 nn を計算してみます。

例題3

100100 万円を預金して 200200 万円にするには何年かかるか。ただし,年利は 0.50.5 %とする。単利法と複利法それぞれ求めよ。

解答

単利法の場合,100(1+0.005n)=200100(1+0.005n)=200 を解いて n=200n=200

複利法の場合,100(1+0.005)n=200100(1+0.005)^n=200 を解いて n139n\fallingdotseq 139

複利計算の公式がなぜ成り立つのか

複利計算の公式: b=a(1+r)nb=a(1+r)^n が成立する理由を説明します。

  • 初期状態: 元金 aa

  • 1年経過時の金額: 「元金+この1年で増えた利子のぶん」で, a+ar=a(1+r)a+ar=a(1+r)

  • 2年経過時の金額: 「1年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で, a(1+r)+a(1+r)r=a(1+r)2a(1+r)+a(1+r)r=a(1+r)^2

  • 3年経過時の金額: 「2年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で, a(1+r)2+a(1+r)2r=a(1+r)3a(1+r)^2+a(1+r)^2r=a(1+r)^3

同様に考えることで,nn 年後の金額は, b=a(1+r)nb=a(1+r)^n となります。ちなみに,これは nn に関する等比数列です。

単利について

複利法に対して,単利法という計算方法もあります。単利法とは 元金にのみ利子がかかる方式です。

  • 初期状態: 元金 aa

  • 1年経過時の金額: 「元金+この1年で増えた利子のぶん」で,a+ar=a(1+r)a+ar=a(1+r)

  • 2年経過時の金額: 「1年経過時の金額+この1年で増えた利子のぶん」で,a(1+r)+ar=a(1+2r)a(1+r)+ar=a(1+2r)

同様に考えることで,nn 年後の金額は, b=a(1+nr)b=a(1+nr)

nn に関する等差数列)

ちなみに単利法の計算では b=a(1+nr)b=a(1+nr) が成立します。複利計算の公式よりも少し単純ですね。

積立の場合の計算

例題4

毎年 aa 円を年利 rr で積み立てると nn 年後いくらになるか?

解答
  • 1年目の最初に投入した aa 円は nn 年後に a(1+r)na(1+r)^n 円になる。
  • 2年目の最初に投入した aa 円は n1n-1 年後に a(1+r)n1a(1+r)^{n-1} 円になる
  • 以下同様。
  • 最後 nn 年目の最初に投入した aa 円は 11 年後に a(1+r)a(1+r) 円になる

つまり,k=1na(1+r)k\displaystyle\sum_{k=1}^na(1+r)^k

例題5

毎月 aa 円を月利 RR で積み立てると nn 年後いくらになるか?

解答

例題4と同じように考えると,答えは k=112na(1+R)k\displaystyle\sum_{k=1}^{12n}a(1+R)^k

ちなみに,月利 RR と年利 rr の間には,以下の関係があります。

  • 単利の場合 R=112rR=\dfrac{1}{12}r
  • 複利の場合 R=1+r121R=\sqrt[12]{1+r}-1

例題3において,複利法なら長生きすればなんとか!?なりませんね。

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