三次,四次,n次方程式の解と係数の関係とその証明

三次,四次,nn 次方程式の解と係数の関係とその証明を解説します。三変数,四変数の基本対称式が登場します。

なお,二次方程式の解と係数の関係およびその使い方,例題は二次方程式における解と係数の関係を参照して下さい。

三次方程式の解と係数の関係

定理

三次方程式: ax3+bx2+cx+d=0ax^3+bx^2+cx+d=0 の解を α,β,γ\alpha,\beta,\gamma とおくと,

α+β+γ=ba\alpha+\beta+\gamma=-\dfrac{b}{a}

αβ+βγ+γα=ca\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\dfrac{c}{a}

αβγ=da\alpha\beta\gamma=-\dfrac{d}{a}

2x3+3x2+x+1=02x^3+3x^2+x+1=0 の解を求めるのは難しいが,それらの和は 32-\dfrac{3}{2},積は 12-\dfrac{1}{2} と分かる。

三次方程式の解と係数の関係の証明

与えられた三次方程式は,因数定理により

ax3+bx2+cx+d=a(xα)(xβ)(xγ)ax^3+bx^2+cx+d\\ =a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)

と因数分解できる。

2次の係数を比較すると,b=a×(αβγ)b=a\times(-\alpha-\beta-\gamma)

よって,α+β+γ=ba\alpha+\beta+\gamma=-\dfrac{b}{a}

同様に,1次の係数を比較すると,

αβ+βγ+γα=ca\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\dfrac{c}{a}

定数項を比較すると,

αβγ=da\alpha\beta\gamma=-\dfrac{d}{a}

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT71では,解と係数の関係を使う応用問題と2通りの解法を紹介しています。

四次方程式の解と係数の関係

四次方程式: ax4+bx3+cx2+dx+e=0ax^4+bx^3+cx^2+dx+e=0 の解を α,β,γ,δ\alpha,\beta,\gamma,\delta とおくと,

α+β+γ+δ=ba\alpha+\beta+\gamma+\delta=-\dfrac{b}{a}

αβ+αγ+αδ+βγ+βδ+γδ=ca\alpha\beta+\alpha\gamma+\alpha\delta+\beta\gamma+\beta\delta+\gamma\delta=\dfrac{c}{a}

αβγ+αβδ+αγδ+βγδ=da\alpha\beta\gamma+\alpha\beta\delta+\alpha\gamma\delta+\beta\gamma\delta=-\dfrac{d}{a}

αβγδ=ea\alpha\beta\gamma\delta=\dfrac{e}{a}

解の和と積(最初の式と最後の式)が特に重要です。ただ,四次以上の場合は使う機会は少ないです。

n次方程式の解と係数の関係

3次と4次の解と係数の関係を眺めれば nn 次の解と係数の関係がどうなるか予想できると思います。

nn 次方程式: anxn+an1xn1++a1x+a0=0a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_1x+a_0=0 の解を x1,x2,,xnx_1,x_2,\cdots ,x_n とおく。また,x1,x2,,xnx_1,x_2,\cdots ,x_ndd 次の基本対称式を ede_d とおく。

このとき,d=1,2,,nd=1,2,\cdots ,n に対して ed=(1)dandane_d=(-1)^d\dfrac{a_{n-d}}{a_n}

ただし,nn 個の数に対する dd 次の基本対称式とは「nn 個のものから dd 個選んでかけ合わせてできるもの(全部で nCd{}_n\mathrm{C}_d 通りある)を全て足しあわせたもの」です。

三次,四次の解と係数の関係の左辺が基本対称式になっていることを確認してください。

証明

与えられた nn 次方程式は,因数定理により

anxn+an1xn1++a1x+a0=an(xx1)(xx2)(xxn)a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_1x+a_0\\ =a_n(x-x_1)(x-x_2)\cdots (x-x_n)

と因数分解できる。

xndx^{n-d} 次の係数を比較すると

左辺は anda_{n-d}

右辺は an(1)deda_n(-1)^de_d (注)

よって,and=an(1)deda_{n-d}=a_n(-1)^de_d

ede_d について解くと ed=(1)dandane_d=(-1)^d\dfrac{a_{n-d}}{a_n}

注:一番難しいポイント。

展開したときに xndx^{n-d} に寄与する項は xxndn-d 個,x1,x2,xn-x_1,-x_2,\cdots -x_n の中から dd 個選んでかけあわせたもの(の ana_n 倍)。それらを全て足し合わせると基本対称式が出現する。

5次方程式以上になると基本対称式を書き下すのがとても大変です。

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