方法1,方法2のどちらを用いても和を求めることができます。
p=2
の場合の計算の概要を紹介します。
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方法1を用いる場合:
同様に
(1−x)Sn=An
を評価しますが,An
の計算に
p=1
の場合の和を用いることになります。つまり,「x
倍してずらして差を取る」操作を2回行うことになります。
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方法2を用いる場合:
等比数列の和の公式を2回微分して,k=1∑nk(k−1)xk−2=Bn
を求めることができます。よって,k=1∑nk2xk−2=k=1∑nkxk−2+Bn
両辺に
x2
をかければ
p=2
の場合の和が求まります(右辺第一項は
p=1
の場合を用いて求められます)。
p≥3
でも同様です。方法1では「x
倍してずらして差を取る」操作を
p
回行います。方法2では微分を
p
回行います。
例題(東京女子医2020など)
k=1∑n2kk2 の値を求めよ。
方法1
Sn21Sn==2112+2222+⋯+2nn22212+⋯+2n(n−1)2+⋅2n+1n2⋯ (1)⋯ (2)
(1)−(2) をする:
21Sn=212+223+⋯+2n2n−1−2n+1n2⋯ (3)
辺々をさらに 21 倍して
41Sn=221+233+⋯+2n+12n−1−2n+2n2⋯ (4)
となるため,(3)−(4) をすると
41Sn=212+(222+⋯+2n2)−2n+1n2−2n+12n−1+2n+2n2=21+211−211−(21)n−1−2n+1n2−2n+12n−1+2n+2n2=21+1−2n−11−2n+1n2−2n+12n−1+2n+2n2=23−2n1(4n2+n+23)
と計算される。
よって
Sn=6−2nn2+4n+6
方法2
f(x)=k=0∑n+2xk
とおく。
f′(x)f′′(x)=k=0∑n+1(k+1)xk=k=0∑n(k+1)(k+2)xk=k=0∑n(k2+3k+2)xk
より
k=0∑nk2xk=f′′(x)−k=0∑n(3k+2)xk=f′′(x)−k=0∑n3(k+1)xk+k=0∑nxk=f′′(x)−(f′(x)−3(n+2)xn+1)+1−x1−xn+1=f′′(x)−3f′(x)+3(n+2)xn+1+1−x1−xn+1
一方で,等比級数の和の公式より
f(x)=1−x1−xn+3
である。
微分すると
f′(x)=(1−x)2(1−xn+3)′(1−x)−(1−x)2(1−xn+3)(1−x)′=(1−x)21−(n+3)xn+2+(n+2)xn+3
となる。
x=21 を代入すると
f′(21)=4−2n+24(n+3)+2n+34(n+2)=4−2n+1n+4
さらに微分をする。(まとめてやると大変なので各項ごとに計算をする)
((1−x)21)′=(1−x)32((1−x)2xn+2)′=(1−x)4(n+2)xn+1(1−x)2+2xn+2(1−x)=(1−x)3(n+2)xn+1−nxn+2((1−x)2xn+3)′=(1−x)3(n+3)xn+2−(n+1)xn+3
以上をまとめて
f′′(x)=(1−x)32−(1−x)3(n+2)(n+3)xn+1+(1−x)32(n+1)(n+3)xn+2−(1−x)3(n+1)(n+2)xn+3
を得る。
x=21 を代入すると
f′′(21)=16−2n+18(n+2)(n+3)+2n+216(n+1)(n+3)−2n+38(n+1)(n+2)=16−2nn2+7n+14
を得る。
以上をまとめると
k=1∑n2kk2=16−2nn2+7n+14−3(4−2n+1n+4)+2n+13(n+2)+2−2n1=6−2nn2+4n+6
等比数列より等比級数の方難しそうですが実は計算は楽です。
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