等比×等差の和を求める2通りの方法
任意の自然数 に対して,
は2通りの方法で計算できる。
の場合が超頻出です。 の場合もまれに出ます。 の場合は計算量が非常に多くなってしまい実際に計算する機会はほぼありませんが,「(p乗)×(等比)の和は原理的には計算できる」と理解しておきましょう。
方法1:公比倍してずらす方法
方法2:微分を用いる方法
の場合に和を求める方法
方法1:公比倍してずらす方法
まずは の場合を考えます。このとき,いわゆる「等比×等差」型になります。 と の引き算を考えることで等比数列の和に帰着させます。
のもとで を求めよ。
等比数列側の公比は なので, を考える:
よって,
右辺を等比数列の和の公式で計算する:
両辺を で割れば が求まる:
教科書に載っている定番の解法です。計算量が多く計算ミスしやすいので,答えが出たら必ず を代入して検算するようにしましょう。
(検算の例:この場合 で, のとき右辺は となりOK)
方法2:微分を用いる方法
等比数列の和の公式を微分することでご所望の式が得られます。
等比数列の公式 の両辺を微分すると,
両辺を 倍すれば左辺は となる。
2つの解法を比較すると,計算量はほぼ同じくらいなので基本的には教科書に載っている方法1を用いればよいでしょう。
しかし, 無限級数の場合は微分が簡単に計算できるので,方法2が非常に楽です。
を求めよ。(ただし, )
の両辺を微分すると
※厳密には,無限級数が絶対収束するので項別微分可能,という事実を用いています。方法2は強力な時短テクニックになりますが記述式の試験の解答では方法1を用いたほうがよいでしょう。
の場合に和を求める方法
方法1,方法2のどちらを用いても和を求めることができます。
の場合の計算の概要を紹介します。計算が非常にめんどうなので詳細は省略します。
-
方法1を用いる場合:
同様に を評価しますが, の計算に の場合の和を用いることになります。つまり,「 倍してずらして差を取る」操作を2回行うことになります。 -
方法2を用いる場合:
等比数列の和の公式を2回微分して, を求めることができます。よって,
両辺に をかければ の場合の和が求まります(右辺第一項は の場合を用いて求められます)。
でも同様です。方法1では「 倍してずらして差を取る」操作を 回行います。方法2では微分を 回行います。
等比数列より等比級数の方難しそうですが実は計算は楽です。