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スターリングの公式とその証明

更新日時 2021/03/07
スターリングの公式

n!2πn(ne)nn!\fallingdotseq\sqrt{2\pi n}\left(\dfrac{n}{e}\right)^n

スターリングの公式の意味と証明を解説します。

目次
  • スターリングの公式の意味

  • スターリングの公式の証明

  • Step1の概略

  • スターリングの公式の別バージョン

スターリングの公式の意味

この記事では,両辺の比の極限が1に収束するとき ABA\fallingdotseq B と記載します。つまり,スターリングの公式をきちんと書くと, limnn!en2πnnn=1\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{n!e^n}{\sqrt{2\pi n}n^n}=1 となります。

試しに n=10n=10 を左辺に代入して計算すると約 1.0081.008 になります。n=20n=20 だと約 1.0041.004 です。精度良いですね!

スターリングの公式は階乗 n!n! を指数関数で近似する公式です。統計力学(物理の一分野)や組み合わせ数学で用いられます。 階乗よりも指数関数の方が扱いやすい場合が多いので嬉しいです。

スターリングの公式の証明

スターリングの公式を証明します。対数関数のグラフを用いて理解する方法もありますが,ここではウォリスの公式を用いた厳密な証明を解説します。

limnn!en2πnnn=1\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{n!e^n}{\sqrt{2\pi n}n^n}=1

を示すのが目標です。

方針
  • Step1: an=n!ennnna_n=\dfrac{n!e^n}{n^n\sqrt{n}}nn\to\infty で定数 A>0A > 0 に収束することを示す。

  • Step2:ウォリスの公式を用いて定数 AA2π\sqrt{2\pi} であることを示す。

とりあえず面白いStep2の証明からやってみます。式は複雑ですが,やっていることは非常に単純です。

Step2の証明

まず,ウォリスの公式:

n=1(2n)2(2n1)(2n+1)=π2\displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\dfrac{(2n)^2}{(2n-1)(2n+1)}=\dfrac{\pi}{2}

を書き下して階乗が出現する形に表す(→補足):

limn24n(n!)4((2n)!)2(2n+1)=π2\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{2^{4n}(n!)^4}{((2n)!)^2(2n+1)}=\dfrac{\pi}{2}

次にstep1の結果が使える形に変形する:

limn24n2n+1(n!ennnn)4{(2n)2n2n(2n)!e2n}2n24n+1=π2\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{2^{4n}}{2n+1}\left(\dfrac{n!e^n}{n^n\sqrt{n}}\right)^4\left\{\dfrac{(2n)^{2n}\sqrt{2n}}{(2n)!e^{2n}}\right\}^2\dfrac{n}{2^{4n+1}}=\dfrac{\pi}{2}

よって,

A4A2limnn2(2n+1)=π2\dfrac{A^4}{A^2}\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{n}{2(2n+1)}=\dfrac{\pi}{2}

となり A=2πA=\sqrt{2\pi} が示された。

式変形がやや複雑なので分かりにくい人は,実際に n=3n=3 くらいまで書き下していくと理解しやすいでしょう。

補足:

113(2n1)=242n(2n)!=2nn!(2n)!\dfrac{1}{1\cdot 3\cdot\cdots \cdot (2n-1)}\\ =\dfrac{2\cdot 4\cdot \cdots\cdot 2n}{(2n)!}\\ =\dfrac{2^nn!}{(2n)!}

および

113(2n+1)=242n(2n+1)!=2nn!(2n)!(2n+1)\dfrac{1}{1\cdot 3\cdot\cdots \cdot (2n+1)}\\ =\dfrac{2\cdot 4\cdot \cdots\cdot 2n}{(2n+1)!}\\ =\dfrac{2^nn!}{(2n)!(2n+1)}

を使います。

Step1の概略

細かい計算を書くと煩雑になってしまうので,概略のみ述べます(詳細は微分を用いた不等式証明の問題)。

方針

「単調減少で下に有界な数列は収束する」という定理を前提とします。(詳しくは,自然対数の底に収束することの証明の定理1参照)

定義より an>0a_n > 0 なので下に有界であることは明らかです。よって,示したいことは以下の2点です:

  • ana_n が単調減少であること

  • A>0A > 0 であること

スターリングの公式の別バージョン

スターリングの公式には他にも様々なバージョンが存在します。

・より荒っぽい評価:

n!(ne)nn!\fallingdotseq \left(\dfrac{n}{e}\right)^n

・対数型のスターリングの公式:

logn!nlognn+12log(2πn)\log n!\fallingdotseq n\log n-n+\dfrac{1}{2}\log(2\pi n)

logn!nlognn\log n!\fallingdotseq n\log n-n

・より精密な評価:

n!2πn(ne)n(1+112n)n!\fallingdotseq\sqrt{2\pi n}\left(\dfrac{n}{e}\right)^n\left(1+\dfrac{1}{12n}\right)

どれくらい精度の良い近似が必要かによって使い分けます。

スターリングの公式を背景とする入試問題があってもよさそうです。

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ

Tag:無限和,無限積の美しい公式まとめ

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