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自然対数の底に収束することの証明

更新日時 2021/03/07

自然対数の底:

数列 an=(1+1n)na_n=\left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n の極限は存在するので,その値を ee と定義して自然対数の底(ネイピア数)と呼ぶ。

目次
  • 自然対数の底の収束

  • 定理1:単調で有界なら収束する

  • 定理2:ana_n は単調増加

  • 定理3:ana_n は上に有界

自然対数の底の収束

自然対数の底 ee の(同値な)定義はいくつかありますが,上記の定義が広く知られています。しかし,教科書では数列 ana_n の極限が存在する,すなわち収束すること自体は認めて自然対数の底を定義していました。

そこで,このページでは「 ana_n が収束すること」をそれなりにきちんと証明します。

以下の3ステップで証明します。

定理1:単調増加で上に有界な数列は収束する

定理2: ana_n は単調増加

定理3: ana_n は上に有界

後で説明するように,定理1は高校数学の範囲で厳密な証明はできませんが,直感的には納得できる事実です。定理2と3は証明方法も美しく入試問題のテーマとしてちょうどよい難易度なのでオススメです。

定理1:単調で有界なら収束する

「上から抑えられている増え続ける数列は収束する」というのは 直感的には当たり前です。同様に「下から抑えられている減り続ける数列は収束する」というのも成立します。

この場合の単調性は広義単調でOKです。つまり an<an+1a_n< a_{n+1} という強い条件が成立していなくても anan+1a_n\leq a_{n+1} という条件でOKです。

こんなの証明するまでもなく自明だと感じられるかもしれませんが,厳密に証明するには実数の連続性の公理を使って収束先が実数から飛び出さないことを言う必要があります。

有理数の世界では単調有界でも収束しないこともある

2\sqrt{2} の近似数列 a1=1,a2=1.4,a3=1.41,a_1=1,a_2=1.4,a_3=1.41,\cdots は単調増加で上に有界だが収束先は 2\sqrt{2} となり有理数の世界から飛び出している。

定理2:ana_n は単調増加

anan+1a_n\leq a_{n+1} であること,つまり (1+1n)n(1+1n+1)n+1\left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n\leq\left(1+\dfrac{1}{n+1}\right)^{n+1} であることを,3通りの方法で証明します。

証明1

二項定理を使って展開し,各項を比較する。

an=k=0nnCknka_n=\displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{{}_n\mathrm{C}_{k}}{n^k}

an+1=k=0nn+1Ck(n+1)k+1(n+1)n+1a_{n+1}=\displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{{}_{n+1}\mathrm{C}_{k}}{(n+1)^k}+\dfrac{1}{(n+1)^{n+1}}

よって,nCknkn+1Ck(n+1)k\dfrac{{}_n\mathrm{C}_{k}}{n^k}\leq\dfrac{{}_{n+1}\mathrm{C}_{k}}{(n+1)^k} を示せば十分。

分母を払って二項係数を整理した不等式:

(n+1)kn!k!(nk)!nk(n+1)!k!(nk+1)!(n+1)^{k}\dfrac{n!}{k!(n-k)!}\leq n^k\dfrac{(n+1)!}{k!(n-k+1)!}

つまり

(n+1)k1(nk+1)nk(n+1)^{k-1}(n-k+1)\leq n^k

を示せば十分。

これは,(k1)(k-1) 個の (n+1)(n+1)11 個の (nk+1)(n-k+1)相加相乗平均の不等式を使うことで証明できる:

(k1)(n+1)+(nk+1)k(n+1)k1(nk+1)k(k-1)(n+1)+(n-k+1)\\ \geq k\sqrt[k]{(n+1)^{k-1}(n-k+1)}

証明2

二項定理を使わずに,直接証明する方法もある。

nn 個の n+1n\dfrac{n+1}{n}11 個の 11 に相加相乗平均の不等式を用いると,

n+1nn+1n+1>(n+1n)nn+1\dfrac{\frac{n+1}{n}\cdot n+1}{n+1} > \sqrt[n+1]{\left(\dfrac{n+1}{n} \right)^n}

この式を整理すると an+1>ana_{n+1} > a_n となる。

証明2は,微積分/基礎の極意という本で知り,感動した記憶があります。

証明3

数列をつなげた関数 f(x)=(1+1x)xf(x)=\left(1+\dfrac{1}{x} \right)^x を考えて,微分して不等式を示すという方針。このままでは計算しにくいので対数を取ってから微分する。

g(x)=xlog(1+1x)g(x)=x\log\left(1+\dfrac{1}{x} \right)x>0x > 0 での単調増加性を示せばよい。

g(x)=1x+1+log(1+1x)g'(x)=-\dfrac{1}{x+1}+\log\left(1+\dfrac{1}{x} \right)

g(x)=1(x+1)21x(x+1)=1x(x+1)2<0g''(x)=\dfrac{1}{(x+1)^2}-\dfrac{1}{x(x+1)}\\=-\dfrac{1}{x(x+1)^2}< 0

となり,g(x)g'(x) は減少関数で limxg(x)=0\displaystyle\lim_{x\to\infty}g'(x)=0 なので,x>0x > 0g(x)>0g'(x) > 0 が分かる。よって g(x)g(x) は単調増加。

証明3はわりと自然なのですが,「自然対数の底の存在を示す!」というこのページの目標を考えると,上記の定理の証明で対数関数の微分を用いるのは循環論法に陥っているので,良い証明とは言えないかもしれません。

定理3:ana_n は上に有界

方針:二項定理を用いて ana_n を評価します。具体的な値で上からおさえるためには等比数列を作りだす必要があります。

証明

二項定理より,

an=(1+1n)n=k=0nnCk1nk=k=0n1k!1(11n)(12n)(1k1n)k=0n1k!1+1+12+122+123+1+1112=3a_n=\left(1+\dfrac{1}{n} \right)^n\\ =\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_{k}\dfrac{1}{n^k}\\ =\displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{1}{k!}1\cdot\left(1-\dfrac{1}{n} \right)\cdot\left(1-\dfrac{2}{n} \right)\cdots\left(1-\dfrac{k-1}{n} \right)\\ \leq \displaystyle\sum_{k=0}^n\dfrac{1}{k!}\\ \leq 1+1+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2^2}+\dfrac{1}{2^3}+\cdots\\ \leq 1+\dfrac{1}{1-\tfrac{1}{2}}=3

ana_n が上に有界であることを示した副産物として,ネイピア数が3より小さいことも示せました。

Tag:大学入試で頻出の有名な関数まとめ

Tag:数学3の教科書に載っている公式の解説一覧

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