指数関数と対数関数の極限の公式

更新日時 2022/09/18

指数関数や対数関数を含む極限について,重要な2つの公式を解説します。

公式1:limx0ex1x=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1

公式2:limx0xlog(1+x)=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1

目次
  • 指数関数や対数関数を含む極限

  • 対数関数の極限公式の証明

  • 指数関数の極限公式の証明

  • 微分係数との関係

  • マクローリン展開を用いた説明

指数関数や対数関数を含む極限

  • どちらの公式も超頻出です。指数関数と対数関数に関係する極限の問題(で有限の値に収束するもの)のほとんどがこの公式の変形版です。

  • limxexx\displaystyle \lim_{x\to\infty} \dfrac{e^x}{x}limxxlogx\displaystyle \lim_{x\to\infty} \dfrac{x}{\log x} など,無限大に発散するもの(発散のスピードの比較)については指数関数の極限と爆発性を参照して下さい。

以下では,冒頭の公式
公式1:limx0ex1x=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1
公式2:limx0xlog(1+x)=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1

について,3通りの観点(普通の証明・微分係数・マクローリン展開)で解説します。

対数関数の極限公式の証明

まずは,公式2:limx0xlog(1+x)=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1

を証明します。きちんと証明するのはけっこう大変です。

公式2の証明

limx0(1+x)1x=e\displaystyle\lim_{x\to 0} (1+x)^{\frac{1}{x}}=e を証明すれば両辺の対数を取ることで目標の式が示される。

これはネイピア数 ee の定義:e=limn(1+1n)ne=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n からほぼ明らかだが,きちんと証明するには,

A: limt(1+1t)t=e\displaystyle\lim_{t\to\infty}\left(1+\dfrac{1}{t}\right)^t=e

B: limt(1+1t)t=e\displaystyle\lim_{t\to -\infty}\left(1+\dfrac{1}{t}\right)^t=e

の両方を言う必要がある。実際,Aで 1t=x\dfrac{1}{t}=x とおくと,xx が正の側から 00 に近づくとき limx+0(1+x)1x=e\displaystyle\lim_{x\to +0}(1+x)^{\frac{1}{x}}=e がわかり,同様にBから limx0(1+x)1x=e\displaystyle\lim_{x\to -0}(1+x)^{\frac{1}{x}}=e がわかる。

  • Aの証明
    (1+1x)x\left(1+\dfrac{1}{x}\right)^x が単調増加であることから(→自然対数の底(ネイピア数)の定義:収束することの証明
    自然数 nnx=n\lfloor x \rfloor = n ととる。(ガウス記号 \lfloor \cdot \rfloorについては ガウス記号の定義と3つの性質 を参照) (1+1n)n<(1+1x)x<(1+1n+1)n+1 \left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n <\left(1+\dfrac{1}{x}\right)^x <\left(1+\dfrac{1}{n+1}\right)^{n+1} とできるので,ネイピア数の定義とはさみ打ちの原理よりOK。

  • Bの証明(Aが使える形に強引に変形していく) limx(1+1x)x=limx(11x)x=limx(xx1)x=limx(1+1x1)x1(1+1x1)=e\begin{aligned} &\lim_{x\to -\infty}\left(1+\dfrac{1}{x}\right)^x\\ &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(1-\dfrac{1}{x}\right)^{-x}\\ &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(\dfrac{x}{x-1}\right)^x\\ &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(1+\dfrac{1}{x-1}\right)^{x-1}\left(1+\dfrac{1}{x-1}\right)\\ &=e \end{aligned}

指数関数の極限公式の証明

次は,公式1:limx0ex1x=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1の証明です。公式2を認めれば簡単です。

公式1の証明

公式2で log(1+x)=y\log(1+x)=y とおくと,公式1になる。実際,

  • 極限の中身は xlog(1+x)=ey1y\dfrac{x}{\log(1+x)}=\dfrac{e^y-1}{y} となる
  • x0x\to 0 のとき y0y\to 0 となる

つまり,公式1と公式2は変数を置き換えただけなので「ある意味で同じ式」と言えます。

微分係数との関係

公式1:limx0ex1x=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1について,

  • x=0x=0 での f(x)=exf(x)=e^x の微分係数は,微分の定義より limx0exe0x\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-e^0}{x}
  • exe^x の微分が exe^x であることを知っていれば,公式1を忘れても上記の微分係数 limx0ex1x\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}e0=1e^0=1 であることがわかる。

公式2:limx0xlog(1+x)=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1について,

  • x=0x=0 での f(x)=log(1+x)f(x)=\log(1+x) の微分係数は,微分の定義より limx0log(1+x)0x\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\log(1+x)-0}{x}
  • log(1+x)\log(1+x) の微分が 11+x\dfrac{1}{1+x} であることを知っていれば,公式2を忘れても上記の極限値が 11 であることがわかる。

この説明は分かりやすくて暗記のためには役立つのですが,公式1や公式2の証明としてはよろしくありません。というのは,通常対数関数や指数関数の微分公式を導くときにこの公式を使うからです。つまりこれを証明として認めてしまうと循環論法になってしまいます。

マクローリン展開を用いた説明

指数関数と対数関数のマクローリン展開を知っていれば公式1と2は当たり前だと思えます。

  • 公式1について
    x=0x=0 付近では ex1+xe^x\fallingdotseq 1+x と一次近似できるので limx0ex1x=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{e^x-1}{x}=1 指数関数の近似

  • 公式2について
    x=0x=0 付近では log(1+x)x\log(1+x)\fallingdotseq x と一次近似できるので limx0xlog(1+x)=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x}{\log(1+x)}=1

厳密な証明にはなっていませんが, 極限の値を見積もる際に非常に役立つ考え方です。

このテクニックの三角関数版 三角関数の不定形極限を機械的な計算で求める方法 も参考にしてみてください。

マクローリン展開はとても便利なので理論は知らなくても近似式だけは覚えておきましょう。

Tag:マクローリン展開の応用例まとめ