逆関数の微分公式を例題と図で理解する
更新
逆関数の微分は,もとの関数の微分の逆数
逆関数の微分公式は,式だけを見ていてもわかりにくいです。例題と図を使ってわかりやすく説明します。
逆関数の微分公式の意味
逆関数の微分公式の意味
「逆関数の微分は,もとの関数の微分の逆数になる」というのが逆関数の微分公式です。以下の例題で確認してみましょう。
(1) の における微分係数を求めよ。
(2) の逆関数を求めよ。
(3) の逆関数の における微分係数を求めよ。
(1) もとの関数 を微分すると である。これに を代入すると微分係数は
(2) を の範囲で について解くと,
よって,逆関数は
(3) この逆関数を微分すると, である。これに を代入すると微分係数は
たしかに,(3) で求めた逆関数の微分は,(1)で求めたもとの関数の微分の逆数になっています!
証明
証明
図で理解
図で理解
逆関数の微分公式:
「逆関数の微分は,もとの関数の微分の逆数になる」
を図で理解してみましょう。
以下, の逆関数を と表記します。
図で,以下の2つの直線(黒い点線)を見てみよう:
- の における接線
- の における接線
この2本の傾きは「逆数」の関係がある。なぜなら,
- 2本の接線は に関して対称(→逆関数の3つの定義と使い分け)
- に関して対称な2本の接線の傾きが互いに逆数の関係にあることは簡単に分かる。
つまり1(逆関数の微分)と2(もとの関数の微分)は互いに逆数の関係にある。
逆関数の微分を使う例題
逆関数の微分を使う例題
意味を理解できたところで,もう1問例題を解いてみましょう。
の微分が であることを用いて, の導関数を求めよ。
の微分を求めたい。これを変形する( について解く)と,
この両辺を で微分すると,
よって,逆関数の微分公式より,
となる。
最後に を使うと,結局
となる。
の導関数を求めたい。
つまり, の における接線の傾き (*) を求めればよい。
これは「図による理解」で述べたことにより
の における接線の傾き (**) の逆数に等しい。
の微分は なので,
(**) は である。
よって,(*) は, となる。
また, は 上の点なので, である。
結局,(*) は となる。
この議論は定義域内の全ての で成り立つので, の導関数は である。
なお,逆関数の微分の他の応用例は,逆三角関数(Arcsin,Arccos,Arctan)の意味と性質をどうぞ。
例題を解けるだけでなく,しっかり公式の意味を理解しておきたいですね。