対数微分法のやり方と例題~x^x の微分

対数微分法とは,両辺の対数を取ってから微分する方法のこと。

例えば「xxx^x の微分」で活躍する。

対数微分法

対数微分法のやり方,使いどころ,例題を解説します。

対数微分法のやり方

基本的には,両辺の対数を取ってから微分するだけです。例を見てみましょう。

例題1

y=xxy=x^xx>0x>0)を微分せよ。

解答

ステップ1

y=xxy=x^x の両辺は正なので,対数を取れる: logy=xlogx\log y=x\log x

ステップ2

両辺を xx で微分する。左辺は,合成関数の微分公式より yy\dfrac{y'}{y} になる。右辺は積の微分の公式を使うと 1+logx1+\log x になるので, yy=logx+1\dfrac{y'}{y}=\log x+1

ステップ3

これを yy' について解く: y=y(logx+1)y'=y(\log x+1)

yy をもとに戻すと答えは, y=xx(logx+1)y'=x^x(\log x+1) となる。

上の例をふまえて,対数微分法のやり方をまとめます。

対数微分法のやり方

ステップ1:両辺の対数を取る(両辺が正でないときは絶対値を取る)

ステップ2:両辺を xx で微分する(このとき,logy\log y の微分が yy\dfrac{y'}{y} になることを使う)

ステップ3yy' について解いて xx で表す

ステップ2では合成関数の微分公式が必要です。特に,logy\log y の微分が yy\dfrac{y'}{y} になることを理解しておきましょう。

対数微分法をいつ使うか

対数微分法が活躍するのは,2パターンです:

パターン1:微分したい関数が f(x)g(x)f(x)^{g(x)} のように, 指数の底にも肩にも xx が含まれているような関数のとき(例題1,例題2)

パターン2:微分したい関数が,たくさんの関数の積になっているとき。例えば,x(x1)2x+1\dfrac{x(x-1)^2}{\sqrt{x+1}} など(→例題3)

対数微分法の例題

例題2

y=(cosx)ex(0<x<π2)y=(\cos x)^{e^x}\:(0<x<\dfrac{\pi}{2}) を微分せよ。

解答

ステップ1

両辺は正なのでそのまま対数を取れる:

logy=exlogcosx \log y=e^x\log \cos x

ステップ2

両辺を xx で微分する。右辺は合成関数の微分法&積の微分の公式を使う:

yy=exlogcosxexsinxcosx \dfrac{y'}{y}=e^x\log \cos x-\dfrac{e^x\sin x}{\cos x}

ステップ3

yy' について解いて yy をもとに戻す:

y=(cosx)exex(logcosxtanx) y'=(\cos x)^{e^x}e^x(\log\cos x-\tan x)

対数微分法と絶対値

両辺が正でない場合,絶対値を取ってから対数を取ります。

例題3

y=x(x1)2x+1y=\dfrac{x(x-1)^2}{\sqrt{x+1}} を微分せよ。

解答

ステップ1

ルートの中身は正なので定義域は x>1x > -1 。このとき関数値は負になってしまうことがあるので,対数を取る前に両辺の絶対値を取る:

y=x(x1)2x+1 |y|=\dfrac{|x|(x-1)^2}{\sqrt{x+1}}

(右辺で xx の部分以外は非負なので絶対値を外した)。

両辺の対数を取る(→注2):

logy=logx+2log(x1)12log(x+1) \log |y|=\log |x|+2\log |(x-1)|-\dfrac{1}{2}\log (x+1)

ステップ2

両辺を xx で微分する:

yy=1x+2x112(x+1) \dfrac{y'}{y}=\dfrac{1}{x}+\dfrac{2}{x-1}-\dfrac{1}{2(x+1)}

ステップ3

yy' について解いて yy を元に戻す:

y=x(x1)2x+1{1x+2x112(x+1)}=(x1)2x+1+2x(x1)x+1x(x1)22(x+1)32=(x1)(3x1)x+1x(x1)22(x+1)32\begin{aligned} y'&=\dfrac{x(x-1)^2}{\sqrt{x+1}}\left\{\dfrac{1}{x}+\dfrac{2}{x-1}-\dfrac{1}{2(x+1)}\right\}\\ &=\dfrac{(x-1)^2}{\sqrt{x+1}}+\dfrac{2x(x-1)}{\sqrt{x+1}}-\dfrac{x(x-1)^2}{2(x+1)^{\frac{3}{2}}}\\ &=\dfrac{(x-1)(3{x}-1)}{\sqrt{x+1}}-\dfrac{x(x-1)^2}{2(x+1)^{\frac{3}{2}}} \end{aligned}

注1:答えをさらに整理してもよいですが,これでも十分でしょう。

注2: x=0,1x=0,1 のときは関数値が 00 になってしまうので, 厳密には上記の議論は x0,1x\neq 0,1 のみで正しいです。しかし,微分後の関数も連続だろうと考えると結果は x=0,1x=0,1 でも正しいことが分かります。

注3:例題3は商の微分公式と積の微分公式を駆使してもできます。対数を取る操作が気に入らなければ愚直にそのまま微分してもよいでしょう。

好みの問題ですが,私はパターン2には対数微分法は使いません。

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